第2頁 氷
ふと目が覚めて見る窓の外は、暗くてもわかるほど雪が積もっていて、外に出ると冷凍庫の中みたいにキンキンした。
見渡す限りの家はどこもまだ明かりがついてなくて、空には無数に星が輝いている。
空気が綺麗で、でも鼻と耳が痛くて、歯がカチカチ言って、喉の奥は冷たい空気でスーッとして、パジャマとマフラーだけ身に着けた身体がガタガタ震える。
静かな夜に、ぼんやりと見える月と私だけが目立つ。
履いてきた長靴はサイズが合わなくて、寒さからなのかキツいからなのかわからない痛みが足にきた。
冬は好き
綺麗で冷たい
長い前髪をかき上げて、ゆっくりと踏みしめるように歩く。
今の、私だけの夜を、歩いてみたくなったから。
ザクッギュッと雪が鳴く。
目が痛い
ザクッギュッ
何も居ない
誰も居ない
ザクッギュッ
通学路に出た
ザクッギュッ
いつも横切る川が凍っていたので、積もった雪に気を付けながら、土手を降りて近づいた。
ドンッ
「 え 」
ドボンッ
ゴボッ
ガボッ
ゴポンッ
冷たくて
痛くて
寒くて
苦しくて
凍みた
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