第6話ママチャリ5

  「カレンお嬢様まずはご無事のお帰りでなによりです。して、そちらの男性は……?」

 この街の領主様を派手に吹き飛ばし、何事もなかったようにしている走太に誰も声をかけることが出来ずにいたなかザ・執事服を着た老年の男性がこちらに来る。



「爺や!心配をかけていしまってごめんなさい。安心してこの方は私の危ない所を助けて頂いた命の恩人よ。もしこの方に無礼を働いたらこの私が許さないと思いなさい」


どこか警戒しながらこちらを見ていた執事さんに対してカレンが走太の事を説明する。


いきなり来て意味のわからない乗り物で主人を吹き飛ばして誘拐されたと思われていたカレンを連れて来てたら普通は警戒する。 今回はカレンがしっかりと説明し日頃からよっぽど信頼されているのか驚くほどあっさり信じてくれた。


「なるほど。それは失礼致しました。私はルーラマッツ家の執事長を務めさせて戴いております、セバス・カットナーと申します。この度はお嬢様の危ない所を救っていただき誠にありがとうございます。今は亡き主人に代わって深くお礼申し上げます」

「いや、俺まだ死んでないからな?勝手に殺さないでくれる?一応俺お前の雇い主だからな?」

「いえいえ、セバスさんとお呼びしても? 今回は本当に偶然だったので気にしすぎないでください。それに、僕の力が及ばず少なくない犠牲もありましたので……」


走太は悔しがるように地面を見つめる。

決して前を向かずに振り返らずに地面だけを見つめる。

セバスさんとカレンさんも悲しい表情で空だけを見つめている。

周りの人達はどうしていいのか分からずとりあえず黙る事にした。


「おーい、聞こえてる?さっきから死んだみたいな話してるけど俺ちゃんと生きているからね?てか、今君目があったよね?」

「それでも恩人なのは変わりません。もし、ソウタ様がよければお屋敷にご招待したいのですが、どうでしょう。お礼も兼ねて食事でも」

「セバスそれは名案です。私ももっとソウタ様のお話をしたいと思っていたので、もう日も暮れる時刻です。そのまま御泊りになってください。丁度今すぐに使える寝室が空いたので」


 神様か貰った知識で街の地理はある程度わかるけど流石にいきなりは不安だったので二人からの提案は正直助かる。

 それに貴族のお屋敷にリアルメイドもみてみたしな。


「それは助かります。初めての街なので勝手がわからずこの後どうしようかと思っていた所なのでお言葉に甘えさせていただきます」

「それでは早速いきましょう……「だあああ!いい加減にせい!」あらお父様生きていたのですね」


 死んだと思われていたカレンのお父さんこ即ちこの街の領主が息を吹き返した。


 完全にこの三人が無視を決め込んでいただけでそれを周りはどう反応したらいいのかわからずずっと苦笑いしていた。


「なにそのえっ生きてたの?みたいな反応、俺偉い立場の人間なんだよ?特にそこの男!お前だよお前、ソウタとかいったな普通なら極刑ものだからな?」

「極刑だなんて!僕が一体何をしたっていうんですか?!」


 いきなり極刑だなんて横暴だ!ちょっと勢い余ってぶつかっただけの不幸な事故なんだよ。それに別に死んだわけでもないのにあんまりだ!


「いや、全部声にでてるからな?しかもあれ完全に狙ってやっただろ、それに事故だろうが故意だろうが貴族を吹き飛ばした時点でアウトだよ」

「な、なんだってー」



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