毒舌少女と優雅な日常

@s238

第1話 1日目

僕岡田蓮は1年生の時に加藤さんとよく話すようになった。

これは僕と彼女の波乱万丈な物語

四月

 体育館での始業式がおわり全校生徒が新しい自分の教室に戻って行く、僕は2年4組の教室に入る。

「よう、蓮」

教室の窓側で後ろの方にある自分の席に着くと正敏が話しかけてきた、嬉しそうな顔をしているが何かいいことでもあったのだろうか。

有田正敏

厳つい体格、背は僕より少し低いがそれでもじゅうぶん大きい同じソフトテニス部に入っている。

ためらいなく(僕だけに)殴りかかってくる危険人物。

「このクラスあの3人が揃っているぞお前みたいなドMと同じクラスだと知った時は焦ったがなんとか楽しい1年になりそうだ」

「変態ではないな」

「いつも殴られて喜んでるだろ?」

「否定はしない」

「悲しきかな世界はそれをドMと呼ぶのだ」

僕の評価については文句があるがそれよりも気になることがあった。

「ところであの3人って誰のことを言ってるの?」

「ハァ、あの3人といえば福富、宮田、加藤の3人に決まっているだろ、まあお前はチンパンジーと同じくらいの知能しか持っていないからわからなくても仕方ないがな」

どうにもこいつは僕の評価をまちがえている。

僕だってその3人の噂なら聞いたことがある、同じ学年でメチャクチャモテている人たちだ、あまりに有名だからこの高校でその3人を知らない人はいないとさえ言えるだろう。

「失礼な僕だってその人たちのことぐらい知ってるよ、特に加藤さんとは1年生の時によく話したからね」

「記憶の改ざんをしなきゃいけないほど辛い一年だったのか」

かわいそうにとでも言いたそうな口調だった、言っておくが加藤さんと仲がいいというのは嘘でも記憶の改ざんでもない1年生の時に同じクラスだったのだ。

そんなことを思っていると予鈴が鳴った、

「じゃあ俺かえるわ」

「おととい来てね イタイ‼︎」

叩かれた、ドラマで見た挨拶しただけなのにな…しかも正敏は何事なかったかのように自分の席にもどってくし。

 さっきまで誰もいなっかった後ろの席に人が座る音が聞こえる、振り返ってみるとあの加藤さんがいた。

加藤莉緒

小柄でポニーテール、きれいな顔だけどかなりの毒舌、目力が強くて睨まれるとすごく怖い。

さっきも言ったように1年生の時に同じクラスで仲がいい女子。

「おはよう、加藤さん」

僕はいたって普通の挨拶をする友達への挨拶として正しいものだと思われる。

「初めまして岡田くん」

彼女から返ってきた挨拶は友達への挨拶として正しくないものだと思われる。

「冗談だから醜い顔で泣くのはやめなさい」

そもそも泣いていない…。

「そろそろ担任の先生が入ってくるわよ」

「そういえばこのクラスの先生は誰?」

「さすが愚鈍な岡田くんね担任の先生も確認していないなんて」

どうでもいいことだが僕はグドンという言葉を使っている人を初めて見た、

意味がわからなかったのは黙っておこう。

加藤さんからは恐ろしく冷たい視線が注がれている、僕は視線を合わせないように斜め上を見ながらおそるおそるきく。

「なんだい加藤さんなにか言いたいことでもあるのかい、サスペンスドラマの凶器で使えそうな目をしてるけど?

「ハァ、まあオラウータンよりも知能が低いあなたが担任の先生を確認していないのも愚鈍の意味を知らないのも仕方のないことね。」

なんで僕がグドンの意味を知らないのがバレたのだろうか…。

「ちなみに先生は高田先生よ5秒で忘れるだろうからメモしておきなさい」

どうにもこの人たちは僕の評価が間違って伝わっているらしい、しかしまぁ…。

「あの高田先生か…」

思うところはいろいろあるが顔には出さないようにしよう。

「あの暑苦しい先生が担任なのはすごく嫌だわ」

加藤さんは口に出していらっしゃった。

 噂をすればなんとやらチャイムがなると同時に体の大きな高田先生が入ってきた。

「この一年間を絶対に一生忘れられない一年にするぞ‼︎」

開口一番なんて暑苦しい挨拶だ、加藤さんがもうぐったりしていらっしゃる。

高田伸也

僕らの担任になった先生で体育教師、正敏よりも体がごつく僕よりも背が高い。

泣く子も黙る熱血教師だ。

「じゃあ一年間の予定のプリントたくさん配るから冊子にしてけ、5秒で終わらそう」

ムチャを言うな。

僕は配られたプリントを冊子にしていく、

ガチャッ、ガチャッ、ガチャッ、ガチャッ、ガチャッ、ガチャッ

ふむ、止めた芯が少し曲がってしまったがまぁ平気だろう。

終わったら作った冊子をどうすればいいのか聞こうと思って後ろを振り返ると加藤さんが残念なものを見る目で僕を見ていた、これはかなり居心地が悪いので言い訳をさせてもらおう、

「ま、曲がってしまったとはいえこのくらいなら平気だろう……多分」

「違うそこじゃない、どうしてホチキスを6箇所も止めているの⁉︎しかも開く方も3箇所止めてあるから開けないじゃないその冊子」

言われて冊子を確認する開く方と開かない方で3箇所ずつ止められている、確かにこれはひらけないだろう。

「盲点だった」

「「本物のバカだ」」

クラスメイトの声が重なる、どうにも話を聞かれてたらしい、また僕の評価が間違って周りに伝わりそうだ…。


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