第26話 【心理学】文系と条件付け

「なあ......君は子供に勉強を教えたことはあるか」


「どしたの急に......?」


「昨日、近所の公園で花火を作っていたら小学生くらいの子供が数人集まってきてだな」


「待ってそれどういう状況よ。なんで花火作ってるの」


「花火の原理について聞かれたから、金属イオンの炎色反応について説明していたら、いつのまにか子供達がいなくなっていたんだ。俺の説明はそんなに退屈なのだろうか......」


「小学生には流石に難しすぎたのかもね。あとあなたの話し方にも絶対なんか問題がありそう」


「知識を手っ取り早く得るには講義形式が一番効率的だろう!後から身につければいいではないか」


「子供の興味とあなたの受験勉強を一緒にしちゃダメでしょ......あのね、子供達は純粋な好奇心からあなたに質問しているのよ。決して難しいことを無理して理解しようとしてるわけではないのよ」


「うーむ、では君なら一体どうするんだ」


「そうだなあ」


彼女は瞳を閉じて深く息を吸う。何かを想像するときに行うこの癖は、どこか理乃に似ている。いや、彼女の名前が理乃であることには違いないのだが。


「少しずつ教えて、その度に褒める!」


「なんだか、意外と単純というか......親みたいな事をするな」


「あらあら、こういうことにもちゃんと原理があるのよ。子供でも理解しやすいことから教えていって、分かってくれたら褒めるの。煽てるでも、頭撫でてあげるでも、もっと知りたいって思ってもらえれば、同じようにしてどんどん理解してもらえるんだよ!これを条件付けっていうの」


「条件付け?」


「そう、細かく言うとオペラント条件付けのことよ。対象のした行動がプラスになって返ってきたら、次からもっとその行動を起こしたくなるの。もちろん行動をして損しちゃったら、その行動はしたくなくなっちゃうこともあるんだ」


「そ、その原理に則って言えば、俺がつまらない講義をしたせいで子供達の知的探究心は弱まってしまったかもしれんな......」


「ふふ、まあ気を落とさないで!実際に、勉強すれば得なことは結構あるんだしそんな気にしなくてもきっと元に戻るわよ」


「そうか、それは良かったよ。しかしこのオペラント条件付け、当たり前かもしれないが意外と色々な事柄に当てはまってるな。pv欲しさに沢山小説を公開したくなるのも同じだな」


「え、一体何の話......」

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