第11話 【物理】理系とはね返り
「テスト1日目が終わったわね!」
「ああ、今日は苦手科目ばかりだったからなかなか気が晴れないがな」
「貴方は英語と倫政だったかしら。確かに理系にとってはちょっと大変だったかもね。私は楽だったけど」
「そういえば、君は今日物理基礎があったそうじゃないか。様子から察するに、出来栄えは良さそうだな」
「まあね、何故かほとんどが貴方と一緒にやった問題の類題だったわ...もしかして先生の弱みか何か握ってるの?」
「握っていても、君が想像しているような道徳もクソもない手段は使わんよ。だが、物理基礎に限っては難しい問題は大体パターンが決まっているから、逆に予想しやすいのだ」
「なんだか予知能力みたいに聞こえるわ」
「物理でも同じだが、力学はストーカーが出来ればそれで良いんだ。一つの物体にかかる力を丁寧に書き出し、運動方程式を書けば、解けない問題なんてないはずだ」
「前にも力学はストーキング学だとか言ってたわよね。運動方程式と何の関係があるの?」
「運動方程式は、力と運動を結ぶ唯一の架け橋だ。力が加われば運動も変わり、運動が変われば位置も変わる。だから、数秒後の小球の位置を特定するには、物体にかかる力まで遡る必要があるんだ」
「なるほどねー。でも、運動方程式って一定の力が加わったときに、加速度が定義されるっていう式でしょ。一定じゃなかったらどうなるの?」
「おお!君にしては良い質問だ。加速度や速度を積分できないような複雑な力がかかる時、大学入試レベルなら『保存則』を使う他ないんだ」
「さらっと失礼なこと言うわね。保存則って力学的エネルギー保存則?」
「まあそれもあるが、衝突や二物体の運動では『運動量保存則』というものがある。まあこれも2物体の運動方程式を足すことですぐに導き出せるものだがな。ちなみにはね返り係数なるものもここで出てくる」
「それは聞いたことあるかも!e=1とか2とかのやつだったっけ」
「e=1はまだしも、e=2とか3とかはせいぜいハメック星やこりん星にあたりまでいかないとないんじゃないか?」
「ごめん適当に言ったわ、こりん星ってだいぶ懐かしいわね」
「eの値は0〜1の間で定義される、ぶつかる前とぶつかる後の速度の比のことだ。はね返り係数が2だと、ぶつかったら2倍の速度で跳ね返ってくる。この場合誰もが一度ジャンプするだけで宇宙飛行士になれる」
「それじゃあはね返り係数がマイナスだとどうなるの?」
「文字通り、ブラジルまでひとっ飛びだな」
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