第3話
タイムリミットがきっかけで付き合い始めた二人。
そんな二人の人生にタイムリミットが訪れ始めていた。
愛と結婚をして一緒に暮らすのにも慣れてきたある日、夕食を食べ終わりくつろいでいると、彼女が突然とんでもないことを言い出した。
「私と別れてください」
彼女から急にそんな事を言われたので混乱して言葉の意味がよく分からなかった。
「もう一度、言います。私と別れてくれませんか?」
繰り返されて伝えられた言葉はやはり聞き間違えではなかった。
どうしてなんだ? 何も思い当たらない。
浮気やギャンブルはしてない。タバコも吸っていないし、お酒は飲むけど付き合い程度。喧嘩はないとは言い切れないけどそんなに大きな喧嘩はした記憶はない。
稼ぎはいいとは言えないが、それでもたまに贅沢ができるくらいは稼いでる。
それでは何故?
「好きな人が出来たの。だから別れてください」
心の声を聞いたかのような答えが返ってきた。
「好きな人ってお前。相手は誰なんだ? 俺の知ってる人なのか?」
「あなたも知ってる人よ。私たち3人小学校から高校まで同じ学校だったから。」
「まさか、それって浩か。どうしてあいつと──」
「この間、偶然に街で出会って一緒にご飯を食べたの。その後、何度かご飯を食べるようになったの。この間、遅くなった時があったでしょ。その時も彼と会ってたの」
「そうか、それで俺と別れてあいつと一緒になるつもりなのか」
「そうなの。彼の事が好きになったの。だから私と別れて」
「そこまであいつの事が好きなんだな、だったら分かったよ。もう好きにすればいい」
別れる事を決めた夜であった。
別れるのを決めたその日から数日間。
彼女は知らない間に私物を新しい住居へと移して新しい生活を始めていた。
二人で話し合い慰謝料は貰わず、貯金は折半にしてマイホームは俺がもらうことになった。
数日後──役所に離婚届けを出し終え役所前。
街でばったり会うことはあるだろうけ、仲良く話したり一緒にご飯を食べたりそう言う同じ時間を過ごすのはもうこれから先ないのだと思うと少し寂しくなった。
「幸せになれよとは言わないけど。せめてで元気に過ごせよ」
「うん」
彼女は少し後ろめたそうに俯きながら応えた。
「あなたも元気でね」
「ああ、じゃあな」
二人は振り返らずにその場を離れそれぞれの道を歩いて行った。
こうして二人の人生はタイムリミットを迎えたのであった。
それから、しばらくして新しい彼女との生活にも慣れてきた時、一通の手紙が届いた。
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