#247(5週目日曜日・夜・ディスファンクション2)

「よし、とりあえず山は越えたな。すこし状況を確認するから、警護を頼む」

「うっす」

「任せてくださいよ」


 (B)の村、防衛線。


 1番湧きのいい高台に陣取り、周囲魔法を撃ち続ける作業を少し止め、同盟に連絡をとる。用件は、もちろん、状況の確認。今のところはソコソコ稼げているが、問題はココからの展開。俺は、目先の経験値につられてヘマをするマヌケではない。そう、俺は白の賢者なのだ!


・防衛戦についての捕捉

①、王国側・魔人側共通で村は3つのエリアに分かれており…、遠距離主体の防衛線と、迷路化した村内、ボスが控える本陣、に分かれる。


②、防衛線での攻防は、いくつかある高台に陣取る防衛側と、通路を確保する侵攻側に分かれており、防衛側が有利に設定されている。侵攻側には定期的に門の破壊や通路を確保するためのNPCが出現するので、それを上手く利用して門を破壊したり、高台に侵入して妨害ユニットをキルしたり、そのまま内部に侵入する事となるので…、防衛側は奇襲にも警戒が必要となる。(遠距離耐性の高いNPCも出現するので遠距離職のみが稼げるわけではない)


③、攻城NPCが門を破ると、村内部に容易に侵入できるようになる。門が突破されても足止めが無いので高台から攻撃は可能だが、攻城NPCは門を破壊し終えると高台を攻撃するので、基本的には防衛線は放棄して村内部で戦う事となる。


④、最終盤になるとイベントNPCが出現し、強制的に防衛線が崩壊する。イベントNPCはそのまま村内部に侵入してバリケードを破壊しながらゆっくり進むが、イベント終了時間までには絶対に本陣に到達できない。遠距離攻撃なら一方的に攻撃可能であり、倒すことは可能だが…、体力が異常に高く、あまりコレにかまけていると本陣の守りが手薄になる。


⑤、本陣は初期状態では敵対PCのみが侵入可能。1人でも侵入者が現れると警報が鳴り響き、防衛側のPCも入れるようになる。ボスの指揮官を時間まで守りきれば防衛側が勝利となり、倒せば侵攻側が勝利となる。




『おい! そっちの村はどうなっている!? クレナイは来たか??』

『いえ、まだです。しかし、(A)は余裕があるようですが…、(B)はコロッケの介入もあり押され気味な状況です』


 コロッケが攻め込んできたと言うことは…、Hは防衛のために(C)に配置したのか? 多少、予定外な部分もあるが、展開は概ね予想通りだ。やはりクレナイは内輪もめで不参加のようだ。


『(B)の状況はどうなんだ? 持ちこたえれそうなのか? それとも突破されそうなのか!?』

『なんとも言えない状況です。PKの数は充分ですが、検問を設置してリスポーンを制限しています。このままいけば最終的にコロッケを止めるPCが居なくなる可能性が…。その場合、コロッケなら本陣攻略は容易かと』


 マズい状況だ。クレナイ以外なら何とかなるだろうと思っていたが…、セインが強すぎて(A)を無視する流れになっている。セインならコロッケを倒せるだろうが、止めなければ確実に本陣を落とすだけの実力はもっている。このままでは、2対1で王国側勝利で終わってしまう。


『よし、セインに指示を出して(B)を守らせよう!』

『いえ、それはやめておいた方がいいでしょう』

『なぜだ!?』

『コロッケの背後にHがいる可能性があります。ここはPKを撤退させて(A)へ向かわせ、セインに(C)を攻略させましょう。相手はかわりますが、予定通りです』


 確かに、クレナイとコロッケが入れ替わっただけで、作戦通りなら何の問題も起きないだろう。しかし…、それでは(C)を差し出す形になり、俺の稼ぎが無くなってしまう。それだけは何とか避けなければいけない。


『消極的過ぎる判断だな。クレナイならともかく、セインならコロッケを倒せる。それに、Hは先の事を考えれば正体をあらわすマネはできないはずだ!』

『希望的な推測ですね。Hが介入してくる可能性はゼロではないですし、クレナイも突入してくる可能性は残っています』


 くそ! 俺の言う通りにやっていれば丸く収まるって言うのに! どいつもこいつも好き勝手しやがって!!


『いちいち口ごたえするな!』

『 …。』

『Hが出てきたらセインに戦わせればいい話じゃないか! 勝てばよし、負けたらリスポーンして(C)を落とせば済む。むしろHの正体を探るチャンスじゃないか!』


 そうだ! 勢いで言った案にしては結構いいアイディアだ。むしろセインには、このまま泥をつけておきたいくらい。よし、これでいこう!


『それでは彼を使いつぶすことになりますが…』

『ダメならそこまで! これくらいの危機は乗りこえてもらわないと、同盟に加わる資格なんてない!!』

『そうですか、そこまで言うのなら…、彼にはコチラから…』

『その必要はない! せっかくだから俺から連絡を入れておく。お前は今からでもPKを掻き集めて(B)に送り込め!!』


 危ない危ない、このままコイツに連絡を任せておくと何を口走るかわからない。セインのバカに余計な情報を与えてはダメだ。バカはバカらしく、頭を空っぽにして特攻していればいいんだ!


『そうですか。どれだけ集まるかはわかりませんが、出来る限りは当たってみましょう。そちらも、お願いします』

『任せておけ、時間が惜しい、それじゃあな!』


 よし! なんとかやり過ごした。


 結局セインの方は…、多少ゴネたものの、同盟の情報を信じて(B)へ移動した。あとはHと刺し違えてくれれば言うことは無い。


 完璧だ! ぶっちゃけ、同盟なんてどうでもいい。俺は同盟のためにあるんじゃない。同盟が!俺のためにあるんだ!!




 こうして、ピンチがチャンスに代わる。セインとHを同時に潰せるチャンスに。多少ヒヤヒヤしたが、やはり最後に勝つのは俺。俺でなければ…、いけないのだ!!

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