#234(5週目日曜日・午後・セイン)

「これだけ多いと、目を通すのも一苦労だな…」

「面倒なら、見る必要は無いかと」

「なにか面白そうなのはあったにゃ?」


 昼、ギルドに顔を出すとギルド掲示板には多数のメッセージが届いていた。


「そうだなぁ、大きく分けると…


①、勧誘・売り込み・同盟の申し込み。いままで交流が無かったPCからPTやギルドなどの関係を結ぼうという誘い。これは格下格上?問わず、様々なところからきている。


②、すでに交流がある組織からの抗議文。自警団、勇者同盟がメインだが、自由連合からも注意勧告がきている。


③、(浅い)交流があった個人(所属組織とは別くちで)からの説明要求。


④、まったく交流のないPCからの抗議。ほとんど荒らしに近い状況だが、様々な人間模様が見られて、読んでいてちょっと面白い。


⑤、その他。指導の要請や(どう考えても罠だが)女性PCからの告白。あとは本当に意味不明な(例えば「妹さんをボクにください」とか「カップラーメンの蓋と酢酸ビニール樹脂の組み合わせによる可能性についての論文」など)書き込み。


 …てところかな」

「くだらないですね。勧誘はともかく、芸能人でもないのに、いちいち行動の意図を説明する義理はありません」

「相変わらず、アイにゃんはバッサリで安心するにゃ」


 アイに比べれば遥かに常識的な意見(ツッコミ)をあげるニャン子だが、基本的には同じ人見知りであり(常識的かつ否定的な意見を言うものの)内心では賛同したい意識が強いようだ。


「バカ正直にビジネス敬語で返信するつもりは無いが…、まぁ、適当に応えるなり、あおるなりしてやるさ」

「いや、煽っちゃだめにゃ」

「いいじゃないですか。どうせ仲良くする気なんて無いのですから、敵対意志をハッキリさせるのはお互いのためです」

「それはまぁ…、そうなのかにゃ?」

「まぁ、EDや勇者同盟と仲良しごっこをやるつもりはハナから無い。下手にしたがっても傀儡や捨て駒にされるだけだ。全てを疑えとは言わないが…、全てを信じるのは聖人ではなく、ただのバカだ」


 勇者同盟は傀儡だったEDを(BLの出現で)あっさり切り捨てる選択を選んだ。もちろん、まだ完全に捨てるつもりは無いようだが…、"秘密兵器"的なポジションから"パシリ"程度のポジションまで大きくランクダウンしている。その証拠が、魔人侵攻イベントへの介入命令だ。PKと言う点では活動として間違っていないものの(BLがある状態で)表舞台で活動させれば主要メンバーの顔(ID)が割れかねない。それが分かった上で、勇者同盟は指示を出したのだ。


「ん~。そういう(組織的に)ややこしいのは苦手にゃ…」

「安心してください。猫畜生には何の期待もしていませんから」

「うぅぅ…、アイにゃんの優しさで涙が止まらないにゃ~」




 現在の大手組織との関係は…、

・勇者同盟:極めて危うい友好。王国軍防衛側の村を落としたのは無許可であり、特に防衛に参加していた白から睨まれている。


・自警団:敵対。本体とは完全に縁が切れているが、ビッチが1人で運営している広報課は味方(傀儡)のまま。


・自由連合:危うい友好。C√を容認している組織なので表向きは俺を避難できないが、敵対組織に同時加入しているPCもいるので完全な友好状態とも言い切れない。


・ED:敵対。結局、魔人側防衛にはEDの主要メンバー(1軍)は不参加だった。EDと俺の仲が悪いのは俺の立ち回りのせいも大きいが…、勇者同盟との関係もギクシャクしているようだ。


・ヘアーズ:険悪。元々は交流が無かったが、今後は敵対状態になりかねない。一応、今回の失敗は勇者候補の新人が悪かったってことになるそうだが…、それでもよく思わない者は少なくないだろう。


・ユンユンチャンネル?(正確な名前は覚えていない):友好。リスナーからの抗議も予想されるだろうが、√間の争いには不介入であり、C√攻略の話は前から公表しているので、ユンユンの対応力を超えるレベルで荒れることは無いだろう。


・雑多なL√PC:軽い険悪。難易度上昇などの悪影響はあるものの、基本的には現状を面白がっている意見が多い。所詮は「雲の上の出来事」だという認識なのだろう。


・雑多なC√PC:友好。面白がっているPCが殆ど。自警団のせいで肩身が狭くなっているので「朗報」と受け取る意見が大半のようだ。


・雑多なPK:友好。今回PK(実際にはアイたちが中心なのだが)が活躍したことにより、今後の動向に期待するPCが少なからずいるようだ。しかし、自警団やBLの影響からくるオワコンムードはぬぐい切れていない。




「それで、今日(午後)はどうしますか?」

「そうにゃ! 今日(イベント)はどうするのにゃ!?」

「それなら決まっている。2人とも、ついてくるか?」

「「??」」




 顔を見合わせて疑問符を浮かべる2人。なんだかんだ言っても息があっていて、思わず笑ってしまう。

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