ラブモンGO 1

 晩ご飯の時、姉ちゃんと何気なにげない世間話せけんばなしをする。

 学校で起こった事、最近の天気、ごくありふれた話題をしているうちに、キングがハマった『ボクモンGO』の話しになった。


「それでさ、とりあえず歩きながらの『ボクモンGO』は危険だから、やめてもらう事にしたんだよ」


 これまでの経緯を話し、歩きスマフォの危険性を話すと、姉ちゃんが変な事を言う。


「歩きスマフォは確かに危ないわよね。だったら歩きスマフォをせずにゲームをやれば良いんじゃない?」


「どうやって? スマフォが無いとゲームができないよ」


「そうでもないわよ。『プレアデススクリーン、オン』」


 姉ちゃんがそう言うと、いつもアンケートを取るときに現れる光のスクリーン画面が空中に現れた。

 続いて姉ちゃんは、画面に向って指示をする。


「プレアデススクリーン、明日の天気を表示して」


 すると天気予報が表示される。


「プレアデススクリーン、明日の予定を表示して」


 こんどは明日のスケジュールが表示された。



 光のスクリーン画面を見て、姉ちゃんのやりたい事が分かった。


「分かった、スマフォの画面を空中に投影するんでしょ」


 この光のスクリーンだと、向こう側が半分透けて見える。

 これなら歩きながら道路でやっても周りが見通せるので安全だ。


 でも、この意見を姉ちゃんは否定した。


「確かに、スマフォの画面を映す事もできるんだけどね。もっと面白い事も出来るよ」


 そう言って、こんどはこういう指示を出す。


「プレアデススクリーン、弟ちゃんの立体映像を映し出して」


 すると、僕の等身大の立体映像が、食卓の上の空中に浮かぶ。

 自分の姿はちょっと不気味だが、それは髪の毛が一本一本が分かるほど精巧な画像で、僕は驚く。


「すごい、こんな事も出来たんだ」


「うん、今まで使い道がなかったけど、この機能でモンスターを表示すれば、スマフォのカメラを使ったAR拡張現実より良いかもね」


「そうだね、現実味げんじつみがでるね。でも、これで『ボクモンGO』ができるの?」


「いや、それはさすがに無理だと思う。ゲーム会社がこのシステムに合わせて開発しなきゃね」


「そっか」


 僕がちょっと残念そうにすると、姉ちゃんはこう言った。


「ボクモンのキャラクターには版権があるから、そのまま出すわけには行かないけど、似たようなゲームなら作れると思うよ」


「本当?」


「モンスターがいっぱい居て、ボールを当てると仲間になれば良いんでしょ」


「うん、まあ本当は戦わせたりする見たいだけど、集めるだけでも楽しいらしい」


「それなら直ぐに出来ると思うよ。もしゲームを作ったらやってみる?」


「うん、もちろん!」


「じゃあ、開発してみるね。出来たら連絡するわ」


 こうして僕は宇宙人の技術を使ったゲームをプレイする事となった。



 数日後の昼休み、僕のLnieに姉ちゃんからメッセージが飛んできた。


『ボールを当てて、モンスターを仲間にするゲームが出来たよ』


『出来るまで、ずいぶん早かったね』


『うん、まあね。それでゲームのテストプレイだけど、よければお友達もよけれは誘ってね』


 ここで僕はみんなに、このゲームの説明をした。


 するとキングとヤン太はすぐに飛びついてくる。


「もちろんやるぜ!」「おれも参加する!」


 女子はあまりゲームに興味がないのか、ジミ子は、こんな事を聞いてきた。


「テストプレイって、お金もらえたりするの?」


 僕が姉ちゃんに質問を投げると『テストプレイ3日間で2万円でどう?』という答えが返ってくる。

その事を伝えると、


「もちろん、参加するわ」


 ジミ子も即座にOKをした。


 これから行なうゲームについて、みんなでワイワイと話していると、ミサキも興味が出てきたようだ。


「そういえば、なんていうゲームなの?」


 ゲームのタイトルを聞いてくる。

 そこで僕は姉ちゃんに質問を投げると、こんな答えが返ってきた。


『ラブモンGOって名前よ。まだ仮のタイトルだけどね』


 僕は、この事をミサキに伝える。


「ラブモンGOっていうみたい」


「ラブモンか、カワイイ名前ね、私もやってみたい」



 全員が参加する事が決まると、姉ちゃんにメッセージを送る。


『分かった、みんな参加するよ。僕らはどうすれば良いの?』


『今日の放課後、会社にきてちょうだい。そこで説明をするわ』


 こうして僕らはラブモンGOをプレイする事となった。

 しかし、遊んだだけでバイト代として2万円もらえるとは、予想外だ。

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