支援と自立 1
20回目の改善政策が終わり、ミサキが
「危なかった、あの質問で『自立できない』って答えてたら、火星送りになっていたわ」
するとヤン太があきれた顔で言う。
「でも、あのテストのレベルだったら、もう大丈夫だろ?」
「そうね。さすがに何度も間違えないわよ」
まあ、一度は落ちているが、その点には触れないで置こう。
この日の放課後はいつも通り、楽しい時間を過ごした。
そして数日後、思い出したかのようにジミ子がミサキに質問をする。
「そういえば『
「うーん、あの日以来、来なくなったわ」
ミサキが
「どうなったのか調べて見ようぜ」
そういってキングが検索をすると、『AHG共生団体、日本支部の閉鎖のお知らせ』というページが見つかった。
キングがスマフォを見ながら、このページを読み上げる。
「閉鎖してるみたいだぜ。ええと『差別が撤廃できたので、この団体は解散します』そんな内容の文章が書いてある」
「お金がもらえないと分かって解散したんでしょうね」
ジミ子が冷淡に言い放つと、ヤン太はそれに
「まあ、そうだろうな。明らかに補助金が目当てだったもんな」
この意見に異論を唱える者はいなかった。
「もうちょっと情報がないか、探ってみるぜ…… おっと、やっぱり炎上してた」
キングが更なる情報を引っ張ってきた。
そこには『AHG共生団体、日本支部の実体』という、まとめのサイトがあり。
日本の代表のプロフィールが載っていた。
このまとめサイトによると、この代表の出身の大学は
早瀬田大学と言えば東京六大学に入る名門で、入学するには偏差値が65~70くらいないと入れない。
そんな大学の人物が、あのテストで不合格になる訳もなく、代表のアホ毛は偽物だったらしい。
「代表のアホ毛は偽物か…… そら炎上するよな」
ヤン太があきれながら言う。ここで僕はふと疑問を口にする。
「でも、このネット中心の世界で、バレないと思ったのかな?」
「やっぱりアホだったんじゃないの? 詐欺みたいな事もしようとしてたんだし」
ジミ子があざ笑う。まあ、たしかにバレてるし、本当にアホだったのかもしれない。
このまとめサイトには、代表のトゥイッターのアカウントまで載っていた。
僕たちは
すると、もちろん大炎上をしていた。
炎上したきっかけは20回目の改善政策の後の、宇宙人のロボットからの書き込みからだ。
『アナタはアホ毛を所有していませんが、自立学習支援の対象者デス。
本日、午後4時にお迎えにあがりマス、ソレまでに火星に旅立つ準備をシテ下さい』
この書き込みを受けて、フォロワーが一斉に書き込みを開始した。
『
『騙された。信じていたのに』
『一緒にアホ毛の地位向上を計るんじゃなかったんですか?』
主にこの代表を非難したものが多い。
しかし、少し
『話しが違う。補助金でねぇじゃねーか、お前が俺に金を払えよ』
『火星送りなんてイヤだ、どうにかしろ』
これは、この代表の話に乗っかってお金をだまし取ろうとしていた人達の書き込みだろう。
腹が立つのは分かるが、ここにこんな書き込みをするなんて、詐欺の共犯者だと言っているようなものだ。
これらの書き込みは酷いものだったが、代表の返事もそれ以上に酷かった。
『いやあ、まさかバレるとは』
『チーっす、すいません』
一応、形だけは謝ってはいるが、反省の色は全く見えない。
この代表のメンタルの強さは異常だった。
「コイツ、すごいな」
ヤン太が代表のメンタルに、あきれながらも感心する。
「そうね、この状態でも全く
ジミ子もヤン太の意見に同意する。
「コイツ、この状況でも
普通、これだけ炎上をすると、アカウントを削除したり、少なくとも
ところが、この代表は更新を続けていた。
「あっ、火星からのトゥイートもあるよ」
最新の更新は火星からだ。
火星でもスマフォが使えるらしい。
僕らはこのトゥイートを通して、火星の
--------おしらせ--------
今週と来週は更新が不安定になります。
よろしくお願いします。
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