教育実習生の留学生 5
3時間目と4時間目を乗り切って、僕らは昼休みに突入した。
4時間目の英語の授業はレオ吉くんが凄かった。動物ノ王国の住人は母国語と英語が喋れるようになっているらしく、綺麗な発音をしているらしい。お世辞抜きに英語の先生が褒めていた。
英語が不得意なミサキはうらやましそうにしていたが、以前に実験台になった『英語が出来るようになる薬』の成果が、もしかすると役に立っているのかもしれない。
僕らは机をくっつけて島を作る。もちろん今日はレオ吉くんもその中に加わる。
「いやあ、お弁当は楽しみですね」
レオ吉くんが笑顔を浮かべながら言った。するとそれにミサキが笑顔で応える。
「食事は楽しいよね。今日はどんなお弁当なのか、期待しちゃう」
それぞれが弁当を広げる中、僕は、母さんから渡された大きな荷物を取り出した。
荷物は
「お、重いと思ったら、こんな量が……」
重箱を開くと、卵焼き、唐揚げ、ウインナー、昆布巻き、鮮やかで様々な料理が出てきた。レオ吉くんと二人分と言われて渡されたが、いくらなんでもこの量は多すぎだろう。
「お弁当ってこんなに豪華なんですね」
そう言うレオ吉くんに僕は正しい情報を与える。
「これはちょっと異常です。これを見て下さい、これが普通のお弁当です」
近くにいたミサキの弁当を指さして説明した。
まだ僕らはお弁当に手をつけていないが、ミサキのお弁当はすでに4分の1が失われていた。もちろん消失先はミサキの口の中だ。
しょうがないので、僕はヤン太やキング、ジミ子の弁当をあらためて示す。
レオ吉くんは一通り弁当を眺めてから、
「皆さん、比較的少ないですね。特に彼女のお弁当が小さいのですが、大丈夫ですか?」
気になったのかジミ子の弁当を指さしながら言った。
「は、はい。私は背が小さいので、これで十分です」
ジミ子は緊張しながら答える。
そういうえば僕とミサキ以外はレオ吉くんと初対面だった。僕はレオ吉くんに友人の紹介をする。
「こちらがジミ子、こちらがヤン太とキングです。僕の親友です。
「ど、どうも」「よろしくお願いします」
がらにもなくかしこまった返事をするヤン太とキング、やはり国王となると緊張はさけられないかもしれない。
「まあ、食事をしましょう」
僕がこの場を仕切り「いただきます」の挨拶をすると、みんなでの食事が始まった。
食事が始まると、レオ吉くんが笑顔を浮かべながら食べ始める。
「から揚げ、冷めても美味しいですね。ご飯もおにぎりにすると、また違った味わいになりますね。暖かい卵焼きも美味しかったですが、冷たい卵焼きも美味しいです」
心の底から食事を楽しむレオ吉くんを見て、友人の緊張はすぐに解けた。
「レオ吉くん、俺のエビフライも食べてみるか?」
ヤン太が自分の弁当からおかずを出しながら言う。
「本当に良いんですか、ではもらいます。美味しいです」
エビフライはあっという間にレオ吉くんの大きな口の中へと消えた。丸のまま、尻尾も含めて……
尻尾を食べるのはどうかと思ったが、好んで食べる人も居るので、まあ平気だろう。
続いてキングがミニクリームパンをすすめる。
「これ、食べてみますか?」
「はい、いただきます。これは甘いですね。柔らかくて、なめらかで美味しいです」
幸せそうに食べるレオ吉くんを見て、ジミ子も勇気を出して自分のおかずを差し出す。
「私のアスパラの肉巻き、食べますか?」
すると、レオ吉くんの口が止まった。
「ジミ子さん、あなたのおかずは少なすぎます、流石にもらうのは気が引けます」
もうしわけなさそうに断りを入れると、ジミ子がシュンと落ち込んだ。
そこで僕はある案を申し出た。
「では、おかずの交換といきましょう。ジミ子からおかずをもらう変わりに何かをあげる。それなら良いですよね?」
するとレオ吉くんの表情が明るくなった。
「はい、それでいきましょう。実はボクはそのアスパラの肉巻きも食べたかったんです。交換してくれますか?」
「ええ、どうぞ食べて下さい」
ジミ子が差し出したアスパラの肉巻きをパクリと食べると、やはり笑顔を浮かべる動物ノ王国の国王。
この昼食でレオ吉くんと、友人との距離は一気に縮まった。
レオ吉くんが食事をしているだけで周りも含めて幸せな気分にさせるのは、何かカリスマのようなものを持っているからかもしれない。
ちなみにミサキはレオ吉くんにおかずをあげていない。
あっという間に自分の物を食べ尽くし、おかずの交換が始まる頃には、すでに何もなかったからだ。
食事だけで言うなら、ミサキの方がよほど
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