ギルド戦 1
「はぁ、また増えたのかぁ~」
ため息交じりにキングが
「どうしたの? どうせまたゲームの事でしょ」
あまり関心がなさそうだが、ジミ子が詳細を聞き出そうとする。
「その通り、
ジミ子はいまいち訳が分からないようだ、さらに質問を重ねる。
「仲間が増えるのは、良い事なんじゃないの?」
たしかにジミ子の言う通りだ。ゲームは仲間の数が多いに越したことはない。
キングが嫌な顔をしている理由にはならないだろう。
「いや、それがさ、このゲーム、週に一度、ギルド戦って言って、プレイヤーのギルド同士が戦うんだけど、それが問題なんだよな」
なんでキングが嫌がるのか僕も理解ができない、これは詳しく話しを聞かないといけないだろう。
「ギルド同士の戦いなら、人が多い方が有利でしょ? なんで
僕がキングに質問をすると、横からジミ子が鋭い意見を言う。
「わかった、初心者で戦いの場では使い物にならないんでしょ?」
確かに、ある程度はゲームの腕前がないと、こういったプレイヤー同士での戦いでは意味がないかもしれない、場合によっては足手まといになる可能性もあるだろう。
「いや、今回加入した人は、結構な腕前の人だよ。有名人で俺も名前は知ってるし」
予想外の答えが返ってきた、ますます憂鬱な理由が分からなくなった。
「理由がまったくわかんねー、なにがそんなに不満なんだよ?」
ヤン太が話しが進まず、しびれを切らした。するとキング分かりやすく答える。
「ギルド戦ってヤツは団体戦で、俺がやってる
「別に独占できてれば良いんじゃないの?」
ジミ子が理由が分からないようだが、僕とヤン太はキングが不満な理由がわかった。
「戦闘が起こらないんだね」
僕がそう言うと、キングがうなずく。
「そうなんだ、強くなり過ぎて戦闘が起こらなくなってしまった。しかもまだウチのギルドの勢力が拡大し続けている。ますます戦闘がおこらない状況だ」
「なんでそんな風になっているの、原因は?」
ミサキがあまり興味なさそうに聞いてくる。
「うーんそれが不明なんだよな。考えられる理由としては、利益を独占してるから、それを目当てに人が集まっているくらいかな?」
「それが原因なら、そのギルドを抜けて、他の小さなギルドに移るしかないんじゃないかな」
僕が打開策を提案すると、キングは悩みながら、その案を受け入れた。
「そうだな、戦闘が全く起こらないから一時的でも別のギルドに移るか。まあ、これで問題解決だな、ありがとう」
この問題はこれで解決したように思えた。
しかし、翌週、またキングが頭を抱えてこう言った。
「ギルド戦で戦闘が起こらなかったんだ……」
「えっ、どうして? ギルドを移動したんじゃなかったの?」
僕が疑問を投げかけると、キングが詳しい事情を話してくれた。
「ああ、俺は所属するギルドを変えた、そしたら元のギルドのメンバーのほとんどが着いてきてしまって、新しい強大なギルドが出来てしまったんだ……」
「つまり、ギルドの名前が変わっただけで、状況は変わっていないと」
「その通りだぜ。ああ、なんでこんな事になってしまったのか……」
「原因を分析してみれば?」
ジミ子が建設的な意見を言うが、キングはいまいち理由が分からないらしい。
「うーん、とくに理由はなさそうなんだが……」
僕が思いついた事をキングに質問する。
「そういえば、いつ頃からギルドの勢力のバランスが崩れ始めたの?」
「2~3週間くらい前かな、急に勢力図が変わった気がする」
「意外と急だね、他の
「いや、全く聞かないな、ウチの
「うーん。もう一度、ギルドを移るしかないんじゃないの?」
他に思いつかないので、僕が再び同じ提案をする。
「そうか、まあそうだよな。もう一度、移ってみるぜ」
これで大丈夫だと思ったのだが、二度ある事は三度ある。
翌週になって、再びキングがこう言った。
「戦闘が起こらなかった……」
いったいそのゲームはどうなっているんだろうか?
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