第14回目の改善政策 2

 第14回目の改善政策の中で時間が大幅に余ってしまった。

 余った時間を使って宇宙人への質問を受け付けている。



 さて、僕は何を質問しようか。

 アンケート画面にも使われるプレアデススクリーンをにらみながら考える。


 宇宙人の出生の星の事や文化、また、他の星にも宇宙人が居るような事をいっていたので、それも気になった。だけど僕は、これからの地球に関しての質問にする事にする。まあ、質問をしたところで、それが選ばれる確率はかなり少ないと思うけど。



 さて、テーマが決まったところで何を質問しよう。

『これからの地球はどうなってしまうのか』という質問をしたいが、それは具体性に欠ける。ある程度は絞り込めるような質問でなければならない。


 そこで僕はこんな質問をした。


「この改善政策はいつまで続くのでしょうか?」


 僕が質問を言葉に出して言うと、音声入力で質問が提出された。


 宇宙人は良いこともするが、混乱をもたらす事も多々ある。

 この改善政策でいきなり発表して実施するのではなく、別の形で事前に告知があれば、もう少しまともになるかもしれない。その為にはまず、この改善政策を一度、終わらせる必要があるだろう。



 質問を受け付けてから、しばらくするとある程度の集計が終わったようで、宇宙人への質問を開始された。

 福竹アナウンサーが内容を読み上げる。


「ではまず最初の質問です『宇宙人さんは地球人の事をどう見ていますか?』との事です」


 これは初めからなかなか興味深い質問だ。宇宙人はなんと答えるのだろうか?


「ユニークで面白い文化でもあるケド、マダマダ未発達な文化の惑星人だネ」


「未発達ですか、どうすれば発達できますかね?」


「マア、お互いの意思疎通が出来れば良いと思うヨ」


「意思疎通なら今でも出来ていると思いますが」


「まだまだネ、例えば人類に一つの問題が起きたとき『こういった方針で対応に当ります』と、統一した見解がなかなか出せないじゃナイ。直ぐに答えを出せないと惑星にとって致命傷になる場合もあるからネ」


「まあ、確かにそうですね。二酸化炭素の排出の問題とか、いまだに揉めてますしね」


「ソウネ、二酸化炭素の問題はワレワレが解決しても良いんだけどネ、まだ致命的になっていないから任せるヨ」


「そうですね、人類で自ら解決しなくてはならない問題ですね」


 言われてみれば、最近は宇宙人に頼りすぎていたのかもしれない。医療問題、食糧問題、全て宇宙人の手によって解決された。

 二酸化炭素の問題くらいは自分たちで解決したい所だが、国ごとに利益を主張していて会議はまるで進まないみたいだ。なんとかしなくては行けないのだが、これがなかなか難しい。



「では続いての質問です。『火星の野菜は地球上でも食べれますか?』という質問ですが、これはどうでしょうか?」


 これを質問したのはミサキだろうか? 確かにあの野菜はうまかった、地球でも販売すれば売れるだろう。


「生産量は順調に伸びているからネ、要望があれば発売するケド」


「私も火星の刑務所の番組を見たのですが、あのトマトとか甘そうでしたね」


「生産管理が出来てるからネ。知りたければデーターを公表するヨ」


「それは農家の方々も助かると思います。是非、お願いします」


「分かったネ。野菜の方も出荷できるようになったら公表するヨ。あと、ワレワレが改良した、もっと甘くした品種も出荷するネ」


「そうですか、色々と楽しみです」


 これは地球上の野菜もあのレベルに近づくかもしれない。今後の食事が楽しみになりそうだ。



「さて、時間も差し迫って来ました、これが最後の質問になりそうです『この改善政策はいつまで続くのでしょうか?』との質問ですが」


 なんと僕の質問が採用された。さて、どんな反応が返ってくるだろうか。


「ソウネ、ワレワレから見ると、この惑星の住人と技術がまだまだ未発達に見えるのネ」


「そうですね、宇宙人の技術力から見ると、まだまだ未熟で、赤ん坊のようかもしれません」


「その例えで言うと、ワレワレが親の立場で、この惑星の住人が子供だとするじゃナイ。そうすると、子供が独り立ちするまでは、ワレワレが見守る必要があると思わないカネ?」


「ええ、そうしてもらえると色々と助かりますね。ところで気になったのですが、『独り立ち』とはどのくらいの水準の技術を身につければ良いのですか?」


「ソウネ、何らかの要因があっても種が全滅しないくらいの技術力は身につけてほしいネ。この惑星がダメになって住めなくなっても大丈夫なくらいにネ」


「すると何でしょう、例えば火星への移住とかが出来るようになれば大丈夫でしょうか?」


「イヤ、火星だと近すぎてダメだネ。地球と火星が同時に住めなくなる場合もあるからネ。せめて10光年くらいの移住は出来ないとダメだよネ」


「……それは、かなり先の話しになりそうですね」


 ここで時間が来たようだ、福竹アナウンサーが時計を確認すると、番組を締めにかかった。


「さてお時間となりました、また来週お会いしましょう」


「マタネー」


 こうして番組が終了した。

 しかし、改善政策の終了条件が、10光年の移動が可能になるという事か……


 少なくとも僕が生きて居る間には実現しそうには無い。

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