通信制限と解禁 1

 第6回目の改善政策の後、キングが満面の笑顔を浮かべながら語る。


「よっしゃー、ようやくGameゲームが再開できるぜ!」


 そうだった、SNS、チャット、掲示板など、色々と解禁がされたのだ。

 チャットでやり取りの出来るオンラインゲームなどもそれに含まれていた。


「またオンラインゲーム三昧か?」


 ヤン太がそう言うと、キングが即答で答える。


「もちろんだぜ!!」


 今までゲームは出来なかった見たいなので、反動で大変な事になりそうだ。

 いや、オフラインでゲームはやっていたので、正確に言うとゲームをやっていなかった訳ではないのだけど……



 チャットやSNSなどの解禁は、いつからになるのだろうか?


「ちょっと試してみるね」


 僕はみんなにそう言うと、ためしにLnieを開き『テスト』とだけ打ち込みメッセージを送る。それは直ぐにみんなの元へと届いた。


 どうやらもう解禁されているらしい。


「これからすごい便利になるね」


 ミサキが微笑みながら言うが、ジミ子がそれを冷静につっこむ。


「元に戻っただけ、だけどね」


 まあ、確かにその通りだ。宇宙人の支配される前に戻っただけだ。

 ジミ子の指摘にミサキは照れくさそうに笑ってごまかした。




 授業が終わり放課後になると、キングが「今日は直ぐに帰りたい」と言い出した。おそらくゲームがやりたいのだろう。

 僕らはそれに合わせる事にした。この日は特に集まらず、それぞれ自宅へと帰っていった。


 家に帰り、僕は自室のベットの上でスマフォをいじりながら時間を潰す。


 インターネットをいじってみると、宇宙人はかなりネットワークのインフラ改善を施したようだ。

 通信速度がかなり速くなっているようで、画像が多いWebページでも瞬時に表示され、動画などもスムーズに再生される。


 掲示板を久しぶりに覗いてみると、非常に賑わっていた。


 だが、久しぶりすぎて書き込む人のテンションがおかしい。

「イヤッッホウゥーー」とか「アバババババ」など、意味の分からない奇声に近い書き込みばかりだった。


 まともな情報は得られそうにないので、僕はニュースサイトを覗いてみる。

 すると今回の改善政策はインターネットの業界に対して革新的な大改革だったらしい。



 まず、インターネットを運営する会社はサーバという情報やサービスなどを配るコンピューターを配置する。

 このサーバという機械を宇宙人が効率よく改良したらしい。状況によって変わるが、5倍から20倍くらいは速くなったらしい。


 僕はこれでも十分だと思うのだが、宇宙人には納得のいく出来では無かったらしい。


『基本的な部分からダメ』


 という理由で、宇宙人が自分の技術をもちいたコンピュータを使って、サーバの機能をレンタルするサービスを開始したという話だ。


 いくつかの会社は試しにこのサービスを使ってみたところ『軽く10,000倍を超える性能をたたき出した』という話だった。


 これからインターネットはかなり快適になるだろう。

 宇宙人はたしか『チョットだけ改良』と言っていた気がするが、とんでもない改良だ。

 もしかしたら、彼ら宇宙人にとっては、こんな事は大した事はないのかもしれないが……



 そんな事を考えていたら、キングからLnieが届いた。


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キング「すげーぜalienエイリアンの技術!最高!」


ジミ子「たしかにインターネットが早くなった気がする」


ミサキ「そうだね、なんとなくだけど」


ツカサ「インターネットのニュース記事では、サーバって機械が5倍から20倍早くなったらしいよ」


キング「俺には具体的な数字が分かるぜ!」


ヤン太「マジかよ、教えてくれ」


キング「60FPSだと、アメリカのサーバのゲームは今まで23~41フレームは掛かっていたけど、わずか4~7フレームで表示される!」


ヤン太「説明してくれ、FPSってなに?」


キング「framesフレーム perパー secondセカンド、1秒間に何回画面を書き換えるかだな、60FPSは、1秒間に60回画面を書き換えると思ってくれ」


ツカサ「ええと、つまり23~41FPSは0.38~0.68秒、4~7FPSは0.06~0.11秒かな」


キング「そうだな」


ヤン太「ちょっと待って、その秒数の違いが分かるのか?」


キング「ゲームやってて分からないの?」


ツカサ「いや、分かるの凄いとおもうよ」


キング「そうなのか? まあそれだけ早くなったよ。俺はまたGameゲームの続きをするぜ!」


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 そういってLnieの会話は途切れた。


 相変わらずゲームに関してキングはすさまじい。

 そんな差を実感できるとは人間としておかしな気もするが、ここに確かに存在している。


 僕がどんなにゲームの腕を磨いても、キングに追いつく追い付くとこはないだろう。根本から何かが違うきがする。



 そういえばゲームで思い出した、僕は以前スマフォでゲームをいくつかやっていた。プレイヤー間のやり取りがチャットとみなされて、いままでスマフォのゲームはプレイ出来なかったが、今日からは再びやれるはずだ。


 僕は久しぶりにゲームを起動した。

 画面をポチポチとタッチすると、確かに早い。ストレス無く次から次へと画面が切り替わる。


 だが、僕は疑問に思う。まったく楽しくないのだ。

 ただ画面をタッチしてメッセージを流していく。

 他にやることといえばキャラクターとアイテム倉庫の整理。


「このゲームは何が楽しかったのだろう……」


 久しぶりにやったスマフォのゲームに対して、僕は完全に熱を失っていた。



 この日の政策は特に混乱も無いように見えた。

 だが、後日から混乱が始まった。

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