第13話 新たな仲間
やばい この子痛い。
それが俺の見た第一印象だった。
■
俺が「MSQ」にログインしてもまだグリーンさんはいないみたいだ。前に学生って言っていたから部活動かなにかだろう。
俺は軽くフィールドに出て、レベル上げをすることにした。
■
少し経ち、レベルも1個上がったちょうどその時、1つの電子音が鳴り出した。
「はい。もしもし」
『もしもし?グリーンだよ。今インしたから一旦メイリーンに来てくれる?』
「わかりました。5分くらいで向かいますね」
電話を切った俺はまっすぐポータルエリアに向かった。その途中グレイウルフなどに遭遇したがレベルが前のミノタウロス戦で上がったからか簡単に倒すことができた。
■
「おーい、こっちこっち!」
メイリーンのポータルに着くとすぐ近くにグリーンさんの姿があった。
「遅くなってすいません」
「全然大丈夫だよ。それより紹介したい子がいるんだけどいいかな?」
「別に構いませんよ」
「あー、でもここじゃあれだし宿屋の会議室を借りようか。まだあの子もインしてないみたいだし」
「わかりました」
2人で歩いて宿屋に向かっていった。相変わらず広場の露店の数は多く、増えることはあっても減ることはなさそうである。
おや、そこに見える一見危ない店はユウリさんの露店じゃないかな?
「グリーンさん。ちょっと寄りたいお店があるので先に行ってもらっていいですか?」
「そうなの?まぁ分かったよ。先行って待ってるね」
俺はユウリさんの露店に足を運んだ。
「こんにちわー」
「いらっしゃい!お、リク君か。今日は何を買いに来たんや?」
「そうですねー」
相も変わらずユウリさんの露店には変わったものが多い、特にこの骸骨を象ったペンダントとか誰が買うんだろうか?
「おぉ、リク君はめざといなぁ。そいつは装備時STRが30上昇する効果の付いたものや」
「げっ!」
なんだその無駄に性能のいいアイテムは。なんでこんな形にしてしまったんだ。
「いいやろそれ、渾身の力作なんやで。特にこの形、何度も作り直してやっとできたんや」
あー、これはこの人のセンスなわけね。何も買わないのも失礼なので紹介されたペンダントを買うことにした。
「じゃあそれください」
「はいよ、15000Gだよ」
「げっ!そんなに高いのか!」
「そりゃそうさ。こんなにいい効果がついてこの値段なんだ、結構安くした方だと思うんだけどな」
そんな…こんなにダサいペンダントがそんなにするんて。
俺は渋々とそのペンダントを買ってユウリさんの露店を後にした。
この後はグリーンさんの待っている宿屋に向かわなければ。
俺は速足で宿屋に向かっていった。
■
宿屋の前に来て中に入ると、ちょうどグリーンさんが借りた部屋から出てきたところだった。
「遅かったね。今ちょうど迎えに行こうかと思っていたところだよ」
「すいません」
俺ははにかんで謝罪をする。グリーンさんも怒っていっているわけではない。
「紹介したい子はもう中にいるから入っていいよ」
既に紹介したい子は来ているらしい。一体どんな子なのだろうか?ちなみに女の子だそうだ。
「失礼します」
既に部屋のドアは開いているが一応言っておく。
中に待っていたのは…
最初に目に入ったのは、真っ黒いゴスロリ服だった。次に目に映ったのは真っ白いロングの髪に真っ赤な唇。まるでお人形さんだ。
「こいつはルナって言ってな、ほかのゲームで知り合ったんだけどMSQやってるって聞いてな。」
「フンっ!」
ルナはそっぽを向いてしまった。グリーンそんの紹介の仕方が気に入らなかったのだろうか?
とりあえず俺も自己紹介を済ませてしまう。
「あなたがグリーンから聞いていたリクね。思ってたより使えそうじゃない」
なんだこのガキは?ふざけんじゃねーぞ!って、思ってた時期もありました。
■
「ダークマター」
ルナの放った漆黒の魔法は目の前に居た小ボス、クエストのボスを一撃で倒してしまった。
「どう?これで私のすごさがわかったかしら?」
ルナの所有するスキルのひとつのエレボスという星五の
「常闇の短杖」は装備している者の闇魔法の威力を5割増してくれるというバフ効果のついたものなのだが、闇魔法自体が元からほかの魔法より群を抜いて強く、それを5割マシなんてされたら魔物はたまったもんじゃない。
その後も、2~3個簡単な討伐系のクエストをクリアして、今日の冒険は終了だ。
グリーンさんは明日朝が早いとかで先にログアウトしてしまって、今いるのは俺とルナの2人だけだ。
噴水の縁に腰掛けた2人の空気は気まずい。
「ねえねえ」
「何かしら?」
「このゲームはずっとやってるの?」
「ええ、少なくともあなたよりはやってるわよ」
「へー、すごいね」
……
そこで会話は終了してしまった。
そのまま長い沈黙が続く。
……
「そろそろ2時だけど寝なくても大丈夫なの?」
「子供扱いしないでくれる!明日は学校が休みなのよ!」
「へー、開校記念日とか?」
「あなたには関係ないでしょ」
そう切り捨てられると、ルナはプンプンしながら噴水広場からどこかに行ってしまった。
俺はなんか失礼なことを言っただろうか?
その日は俺もこれをきっかけにログアウトすることにした。
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