第12話 宙=空

 メイリーンに着くと、ポータル前に「MSQ」では会ったことはないけど、なぜかだれか分かった。


「よ、よう。空」

「ようじゃねーよ!いつまで待たせれば気が済むんだよ!メールもチャットも繋がんねーしよ!」


 目の前にいる、緑色の髪色をしている男の子。ネーミングプレートが紫色をしているから所属はルシファーだろう。そして見知った顔立ちをしている。


「リク?その子誰?」

「ああ、リア友の空」

「どうも、初めまして」


 二人は俺を蚊帳の外にしてフレンド交換をし始めた。

 それから、ひとまず話をするためにメイリーンにあるカフェに行くことにした。


 ■


 メイリーンにある、こじんまりとしたカフェ。客は俺らを除いて三人しかいない。席数は10個もあるのに。


「で、本当にカサブランカの霊薬持ってるのか?」

「え?リク霊薬持ってるの?あー、持ってるか」


 グリーンさんには俺のスキルの能力を教えている。それでなんで持っているか分かったんだろう。


「もってるよ」

「まず見してくれよ」


 俺はアイテムボックスからカサブランカの霊薬を取り出す。


「おー、ほんとに持ってたんだな。てっきり嘘かと思ったわ」


 おいおい、そんなつまらないことで嘘なんかつかないよ。

 それにしても、店にいた周りの人の視線が痛いのだが。


「とりま落ち着け。店の中だ」

「それで、いくらで譲ってくれるんだ」

「いや、あげるよ」


 俺がそういうと、空はあんぐりと口を大きく開けた。


「リク、流石にそれはまずい」

「え?なんでです?」

「確かにリクは霊薬とかを簡単に手に入れることができるけど、他の人は違う。それに霊薬が安価で露店に回ったらいろいろとまずい」


 そこからもいろいろと議論した結果、露店で売っている最安値で売ることにした。


「そんなに安くていいのか?」

「別にいいよ」

「そんなことより、空って言ったっけ?今どっかのパーティーに入ってる?」

「はい、一応入ってますよ」

「そっかー、残念だな。気が向いたらチャットしてね。もちろんリク繋がりでもいいよ」

「そうゆうことでしたらもちろん」


 その後も茶を一杯ずつ飲んで、店を出た。


「じゃあ、俺はこの辺でログアウトしますね」

「え?空、宿屋でログアウトしないの?」

「え?当たり前だろ。お金ないんだから。逆に陸斗は泊ってるのか?」

「まぁ、まだ二回だけだけど。それとゲームではリクな」

「ごめん。それにしてもお前金持ってんだな。うらやましい限りだ」


 そういって、空はログアウトしていった。


 ■


「この後どうする?」


 現在の現実時間リアルタイムは夜中の二時だ。


「俺もログアウトしようかと思います」

「そうか。じゃあ私も寝るかな」

「じゃあ、おやすみなさい」

「おやすみ。また明日ね」

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