第11話 強敵③
ギガポーションを使って回復した俺たちはミノタウロスの次の行動を観察するために少し後ろに下がっていた。
大体のボス系モンスターは最後のゲージに行くと、思いもよらない攻撃を放ってくるため、迂闊には近づくことができない。
それに、また前衛組は武技を当分は使うことができないため、どうするかの作戦会議もかねている。
■
作戦は前衛組がミノタウロスの攻撃を引きつけ、エリーさんがミレイさんに魔法攻撃力をあげるために「ライジング・インテリジェンス/知力上昇」の魔法を掛け、mレイさんの所有する
「じゃあ、行くぞ!」
その声で前衛三人は三方向に散開し、各々がミノタウロスのヘイトを散らばせる。
ミノタウロスは三方向から掛けられる挑発一つ一つに答えるように、グリーさん、りきとーさん、俺、一人ずつに一撃ずつ反応を示し、後衛の二人には一切興味を示していない。
「ライジング・インテリジェンス!」
エリーさんの支援魔法が発動し、細かく決めた作戦の第二段階に入る。
俺はミノタウロスの懐に入り、威力の小さい攻撃を無数に入れていく。グリーンさんは二つの石斧を紙一重の所で躱し、剣で捌き、攻撃が俺たちに当たらないようにしている。りきとーさんは一撃の攻撃力が高い、振りかぶっての攻撃などをミノタウロスの背後から背中、片口、頭を狙って攻撃している。
そこにミレイさんの詠唱が聞こえてくる。
「炎の祭壇、灯るは一つの光。今この時 神に願う ———」
ミレイさんの周りの床が円状に光りだす。
「空の果て、今見ぬ理想郷。無窮の夜空、散りばむ無限の星々 ——」
光始めた床には、ルーン文字で円を描く。
「王の力、雷の王よ。摂理に反する御身の人智を超えし力 我が一身に受け入れる ———」
ルーンが刻まれた円。その中心から幾多の幾何学模様が刻まれ始める。
「
書き込まれた円は発光を強めていく。
「天界の門 人外の入り口 今そこに立ち 汝に会いに行こう ———」
魔法陣となった円は広間をソナーのように一瞬、光を飛ばすと赤と黄色の混ざったような色に変わる。
「純白の神殿、天使の讃美歌。代償は既に払った ———」
ミノタウロスもミレイさんの魔法の発動に気づき、注意を向け、石斧を振りかぶる。
「さぁ、我とともに!」
詠唱が終わりを迎え、魔法陣の光が凝縮しミレイさんの目の前まで浮かび上がる。
『シャイニング・フレア!』
ミレイさんの目の前にあった光の玉が無くなったと思うと、ミノタウロスの足元に先ほどミレイさんの足元にあった魔法陣が浮かび上がる。
ミノタウロスの近くにいた俺たちバックステップでその場を離れる。
すると、ミノタウロスの足元から一本の光の柱が天に向かって伸びていく。そこにいるミノタウロスのHPゲージをジリジリと減らしながら、光の柱はどんどん強く光りだす。
数分光の柱は光続け、光の柱が無くなったそこにミノタウロスの影はすでにない。
すごいな、魔法。確かにマジックアイテムを使ってレベルを上げたといっても、あれだけ苦戦していたミノタウロスを一撃で屠るなんて。詠唱は長いけどそれであの威力なら納得がいく。これが俺の魔法を始めてみた感想だ。ちなみに、ミレイさんの使ったマジックアイテムは「ショート・レベルアップ/一時的階位昇華」と呼ばれるSランクアイテムだ。ってか誰に言っているんだ?
大きな戦いが終わった、まずはドロップアイテムの確認だ。さて、あのミノタウロスは何を落としてくれたのかな?
俺が手に入れたアイテムは、猛牛の角、猛牛の革、猛牛の石斧、スキルオーブ:詠唱短長化、ガチャチケットの六つだ。
グリーンさんは、猛牛の角×2、猛牛の革、ガチャチケット×2の計五つ。
りきとーさんは、猛牛の角、猛牛の革、猛牛の剝製、ガチャチケット×2の計5つ。
最後にすごい活躍をしたミレイさんは、猛牛の角、猛牛の革、ガチャチケット×3の計5つ。
エリーさんは教えてくれなかった。まぁ、そういう人もいるよね。
ガチャチケットなのだが、ボス系のモンスターを倒すと一枚は確実に落ちるらしい。そのガチャチケットからは、スキル、武具、アイテムのどれか選べて、その中からチケット一枚につき一つ何かが当たるらしい。
試しに、一番枚数の多いミレイさんが引いてみるらしい。
アイテムボックスでガチャチケットを選択して、使うを押すと目の前に三つの豪華な箱が出てくる。三つの箱にはそれぞれ、スキル、武具、アイテムと箱の上にプレートが出ている。ミレイさんはその中からスキルを選んだ。
ガチャチケットで回すガチャで出るスキル、武具、アイテムはそれぞれ、☆以上、Cランク以上、Cランク以上のものが出るらしい。
ミレイさんが選んだスキルの箱の蓋を開けると、箱の中は真っ白だった。
ガチャの引き方は、真っ白い箱の中に手を突っ込んで、手を握る。そして手を箱の中から出すとスキルだったらスキルオーブが、武具だったら当たった武具が、アイテムだったら当たったアイテムが、お知らせにメールとして届くらしい。
ミレイさんが箱の中に手を突っ込んで、箱の中から手を出す。なんか見てる方は最初の方はドキドキしそうだけど、何回もやると飽きてきそうだ。
「何が出た?」
同じ女性のエリーさんがミレイさんに聞く。ミレイさんはそれにごくりと喉を鳴らして、ウィンドウを俺たちにも見えるようにして答える。
――――――――――――
ガチャチケット:スキルの結果です!
運営より、スキルオーブ:サリエル☆☆☆が届きました。
まだ受け取っていません。
――――――――――――
まさか、最初に引いたガチャ結果が
この流れに乗ってしまおうと、俺、グリーンさん、りきとーさんは一斉にガチャを回し始める。
—結果—
俺 スキルオーブ:詠唱短長化☆
グリーンさん スキルオーブ:疾走☆
スキルオーブ:愚者☆☆
りきとーさん スキルオーブ:塔☆☆
スキルオーブ:女教皇☆☆
ミレイさん スキルオーブ:狂化☆
スキルオーブ:料理☆
みんなどんだけ引き強いんだよ!俺なんてかぶったんだぞ!いや、普通のドロップで☆付きスキルが当たるのは運がいいんだろうけどさ。
りきとーさんはものすごく悔しそうにしている。当てたスキルは二つとも☆☆のアルカナスキルだが、スキルオーブ:塔はスキル保持者にあらゆるバットステータスを受ける。という自滅スキルだし、スキルオーブ:女教皇は女性限定のスキルだ。なんというか、うん。かわいそうに。
グリーンさんのスキルオーブ:愚者は使い捨てスキルだけど、一度だけスキル使用者の想像したこと、ものをゲームのシステム、ルールに触れなければなんでもできるっていう最強スキルの一つだ。
ミレイさんの最初にあてたスキル、サリエルだって、魔法使いの、それも攻撃系の彼女にはぴったりのスキルだ。効果は、スキル保持者の魔力、魔法攻撃力上昇。魔眼スキルと同じく、凝視した敵に対して、バットステータスを与える。っていう魔法職にはもってこいのスキルだ。
■
あれからいろいろとあって、ガチャの結果で泣く人もいれば、自分の当たったスキルを自慢する人がいたりして、結構な時間が過ぎた。
最後にフレンド登録をして、一緒に洞窟を出た。りきとーさん達はメイリーンには戻らずに他の村に用があるとかで、洞窟前で別れを告げた。
りきとーさん。女教皇スキルどうするんだろう?ミレイさんに買い取ってもらうのかな?
そんなことを考えていると、メールボックスに一件、通知が来ていたことに気づく。
――――――――――――
おい!今どこにいんだよ!早く来い!
差出人 プレイヤー名空
――――――――――――
やばい!宙との約束をすっかり忘れてた!
俺はグリーンさんと急いでメイリーンに向かった。
なんでグリーンさんも一緒かっていうと、宙に紹介したいからだ!
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