第8話 バレた……
昨日、「MSQ」から出ると、
そんな遅くまで起きていて、朝は起きれるはずもなく、学校を2時限からの遅刻になってしまった。
3時限目からの授業も頭がボーっとして、授業を聞く気になれず、度々ウトウトしながら寝そうになっていたりした。
──昼休み──
「よう陸斗。お前が遅刻とか珍しいな」
俺が机に突っ伏して寝ていると、隣から声をかけられる。
「んん?あぁ、
「ほんとに眠そうだな。昨日そんなに寝んの遅かったのか?」
「まあね」
「珍しいな。何やってたんだよ」
「ゲームだよ、ゲーム」
「え?陸斗がゲーム?珍しいなー」
そう言って宙はおどけてみせる。
「なんてゲームをやってたんだよ」
「MAGIC&SWORD Questってやつだよ。知ってる?」
「ああ、しってるよ。ってか俺もやってるしね」
ほー、この地域で俺以外にもVR機器持ってるやつが身近にいたんだな。そこに驚きだ。
「そうなんだ。ちなみにだけど神座どこにした」
「俺は木の神にしたよ」
「まじで!俺も!」
俺は机に突っ伏していた身体を起こし、宙に正面から対面する。
「俺はルシファーにしたけど、陸斗は?」
「俺はミカエルにした」
「珍しいな」
俺は椅子の下に置いている鞄から弁当を取り出し、机の上に広げる。宙も自分の弁当箱を持ってきて、俺の正面の席で椅子の向きを反対にして座り、一緒に食べ始めた。
「でさ、あのカサブランカの霊薬が欲しくてさ、何度も山に登ってるんだけど、全く遭遇しなくてさ」
実は「カサブランカの霊薬」、ある一定確率で「ミクロの山」の山頂の花畑に姿を表すそうだ。確率としては30分の1ほど。
そんな確率の低い薬草を、簡単に入手することができる俺のスキルって凄すぎないか?
「俺カサブランカの霊薬持ってるから売ってあげよっか?」
「マジで?助かるわ」
それから、「MSQ」で会う約束や、プレイヤー名を聞いて、午後の授業に望んだ。
■
『プレイヤー名グリーンがログインしました』
俺が「MSQ」にログインすると同時に上のログが視界の上隅を流れる。
「あ、リク?今どこいる?」
グリーンさんからチャットが送られてきた。
「MSQ」のチャットは音声認識での入力だから簡単で楽だな。
「俺はメイリーンの最初の宿屋にいます」
「じゃあ噴水広場まで来て、私もすぐに行くから」
「わかりました」
俺は宿屋から出て、左に曲がり、噴水広場を目指した。まだ、宙はログインしていないみたいだ。
■
「お、きたきた。こっちこっちー」
そう言いながら、噴水広場の噴水の縁に腰をかけ、手を振っているグリーンさんを発見した。
「すいません。遅くなりました」
俺も宿屋から時間たってないと思うけど、もしかして、グリーンさんここにログインしたんじゃ…。
「今日もレベリングする?」
「お願いします」
「じゃあ行こうか」
俺とグリーンさん、2人はメイリーンのポータル目指して歩いていった。
途中、グリーンさんのリアルでの面白話を聞いたりもしていた。グリーンさんって学生なんだな。
■
今日はグリーンさんに新しいポータルに連れてきてもらった。場所はドーラの水源の川上の方にある洞窟、「ドーラの洞窟」だ。
今更だけど、ドーラってなんのこと?
出てくる敵は虫系が多く、蜘蛛とか芋虫とかがいると、グリーンさんに教えてもらう。
洞窟の深層部にもポータルがあるらしく、今日は2人でそこを目指す。
「そろそろ敵が出てきてもおかしくないけど・・・」
さっきからかなりの長さ(1キロほど)の道のりを降りてきてるけど、まだ1回も
「上位レベルの人達が狩りに来てるのかな?」
「少しここら辺で待ってみますか?」
「そうするかな」
俺とグリーンさんは洞窟の隅にある石に腰掛け、俺はポーション作り、グリーンさんは持ってる武器を砥石でとぎ始めた。
「リク?何それ?」
俺がポーションを作るために予め「万能の創造」で創っていた朧華草をストレージから取り出すと、グリーンさんが奇妙な目でこちらを眺めていた。
(しまった。まだ最初の街じゃギガポーションは作られてない)
そこで、俺は盛大にやらかしたことに気がついた。スキルはそのプレイヤーの実力等に大きく関係してくる。だから他のプレイヤーは自分のスキルをなかなか公開しない。
それは俺も同じだ。特に俺のスキルは知られちゃダメな気がする。
「リク、何それ?見たことないんだけど。鑑定しても信じられないし」
グリーンさんは多分俺が持っているこれを鑑定したのだろう。多分鑑定したらこう出たのだろうな。
━━━━━━━━━━━━
『朧華草』 ランクA
■薬草
□調合アイテム/素材
■品質:S《スタンダード》
━━━━━━━━━━━━
「どうしたのそれ?」
「これには深い事情がありまして」
「どうしたのそれ?」
どんどん詰め寄ってくるのやめてもらえませんか!怖いです。
グリーンさんがこちらに詰め寄ってくるので、俺も後ろに下がるが、場所は洞窟。すぐに壁際に追い込まれる。
■
数分後、俺はグリーンさんに詰め寄られ、すべてを話すことになった。
「何そのチートスキル。それにレア度が5って聞いたことないんだけど」
「MSQ」にはレア度が大きく分けて5つあるが、そこに「レア度5」というのは存在しない。
「それに能力向上とかのスキルならすでに何個か発見されてるけど、無から何かを生み出すってチートすぎるでしょ」
そういってグリーンさんはもう一度岩の上に腰掛ける。
「このことは周りには言わないで下さいよ」
「え~。どうしよっかな~」
グリーンさんは話をはぐらかすように、少し遊んだ口調で言う。
「ほんっとに!言わないでくださいよ!」
「もう~、しょうがないな~。その代わり私とずっとパーティー組んでてよね」
これは話の最中に、俺の秘密をばらさない代わりに、グリーンさんが飽きるまで俺はグリーンさんのパーティーにいるという約束をしたのだ。
「それはわかりましたって」
はっきり言って、俺を話したくないんだろうな。正確には俺のスキルとつくだろうが。
そこからは謎の沈黙が続いた。
■
俺たちが岩に腰掛けて、俺はポーション作り、グリーンさんは剣の調子を見ていると、洞窟に入って初めての敵が出てきた。それは…。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます