第7話 レベルアップ
「そっち行ったよ」
「了解!」
こちらに向かって木々を掻き分け、三体のホーンラビットが向かってくる。グリーンさんがこちらに追い込んで来ている。
キュビピィッ
ホーンラビット三体が三方向からこちらに向かって角を立てて迫ってくる。
俺の武器は片手剣。前と同じように上から下に叩き斬る。
まずは一体。他の2匹は一旦身を逸らして躱す。
「もっかいお願いします」
「わかったー」
もう一度ホーンラビットの前に回ってもらって追い込んでもらう。
これは俺のレベル上げの為だ。俺の現在のレベルは3。それに比べてグリーンさんのレベルは9。
レベルに差があるとコンビネーションが取りにくいらしいので、グリーンさんにはレベル上げを手伝ってもらっている。
もう一度2体のホーンラビットがこちらに向かって突っ込んでくる。ホーンラビットが跳躍する。
今回はちょうど真横の位置で2体揃っているので楽だ。
俺は横から真一文字に片手剣を振るう。
最初の一体は真っ二つになって消え、もう一体は剣になぎ飛ばされて近くの木に激突する。激突時のダメージか、木に当たったホーンラビットも光の粒になって消える。
ピロリン
電子音が流れる。
「お!レベルアップしたんじゃない?」
グリーンさんに早く見せろと急かすで、ウィンドウを開いて確認する。
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■STR【ストレングス】■■+35
■VIT【バイタリティ】■■+35
■INT【インテリジェンス】■■+20
■MND【マインド】■■+20
■AGI【アジリティ】■■+30
■DEX【デクステリティ】■■+45
■LUK【ラック】■■■■■
■リク レベル4
【木天使ミカエル】
■称号;
【駆け出し】
────────────────
このゲーム。レベルが上がるとステータスが初期化される。初期化されると言ってもレベル1の頃と同じになる訳ではなく、前のレベルのステータスを2で割って、それに追加されていくのだ。
例で言うと、レベル1の最高が全パラ50だとする。この状態でレベル2になると、全パラに+25されて始まるのだ。
『前のレベルの各パラ÷2+現在のステータス』
※LUKラックは上の公式に当てはまらない!
「おー、結構上がったね。やっぱミカエルだからどこか尖ったステがなくて綺麗に揃ってるね」
軽く笑いながらレベルアップを祝ってくれる。
「これなら次の場所行っても大丈夫かな?」
「多分大丈夫だと思いますよ」
「じゃあ行こうか」
そう言って俺たちは「ドーラの水源(上)」のポータルに向かっていった。
パーティーを組んでいると、そのパーティーのリーダーが行ったことのあるポータルは、パーティーメンバーなら一緒に飛ぶことが出来る。俺たちのパーティーのリーダーはもちろんグリーンさんだ。
新たに「ドーラの草原」が追加されていた。以前俺がマッドウルフに倒された時に目指していた場所だ。
グリーンさんが飛んだのを確認して、俺もあとを追うように「ドーラの草原」に飛ぶ。
■
「ドーラの草原」のポータルは花畑の中央にある石畳の上にあった。この花畑の花たちは勝手に摘んでいってもいいらしい。中には麻痺の効果がある「紫電花」なんていうレア度の高い花も咲いている。
「ここから少し歩くけど、レベルアップにもってこいの狩場があるんだ」
ポータルから少し歩いて、花畑を超えて、だだっ広い草原に出た。当たりは草、草、草、草しかなく、広大な大地が見渡せる。
でも、こんなに何も無いところから敵って生まれるのか?そもそも敵ってどうやって生まれるんだ?
そう思っていると、空中に灰色の薄い靄が集まりだし、ひとつの形を形成する。
すると、一体の灰色の毛を持った狼が現れた。
一応鑑定スキルで見てみる。
【グレイウルフ】 ???
────────────────
■unknown
ドロップアイテム/
??? ??? ???
???
────────────────
相変わらず名前以外はサッパリだ。
一応グリーンさんにこの魔物のことを聞いてみる。
「そいつはグレイウルフ。素早いから気をつけて」
今回は俺一人でグレイウルフと対決してみる。
俺は剣を中腰で構える。
グレイウルフは喉を鳴らし、脚を曲げ、跳躍の準備に入る。
額に汗が流れる。と、同時にグレイウルフが地面を蹴り、ジグザグにこちらに迫ってくる。
ガキンッ
剣と爪が交差する。グレイウルフはすぐに後ろに下がり、もう一度跳躍のためにかがみ込む。
今の交差の一瞬。グレイウルフの爪が俺の体に触れた。それだけで、視界端にあるHPバーが4分の1を削られた。かなり強い。
もう一度グレイウルフが迫ってくる。
俺は身体を横に逸らし、上段で剣を構えるモーションを行う。剣が淡い青色の光に包まれ、剣が少し軽くなる。
グレイウルフは真っ直ぐ、身体を逸らす前の俺の位置に突っ込んでくる。そこを俺は剣で叩き斬る。
紅い衝撃波の様なエフェクトが発生し、グレイウルフは光の粒になって消える。
さっきのやつは「武技」と呼ばれるスキルのひとつだ。
さっきの武技はスキル「剣術の心得」の「溜め斬り」だ。上段に構えて、頭の中でスキルの発動を思い浮かべると、スキルが発動する。
それにしても、結構攻撃力があったな。これでもレベルアップしてHPは上がっているはずなんだけどな。
俺はアイテムパレットからメガポーションを取り出し、飲みきる。やっぱり苦い。
「結構強いですね」
「確かに強かったね」
話をしていると、次は2つ、靄が集まり、グレイウルフが生まれる。
「じゃあ、リクはそっちを、私こっちやるから」
「分かりました」
そう言うと、グリーンさんは左のグレイウルフに走っていった。流石はレベル9だ。一撃で仕留めている。
俺はまた、中腰で剣を構える。今回のグレイウルフはちょっと行動パターンが違うみたいだ。少し周囲を伺っているのか、俺の周りを牽制しながらグルグルと回っている。
先に痺れを切らしたのは、俺だった。
剣を下段で構え、グレイウルフに突っ込む。このまま切り上げるつもりだ。
グレイウルフとの距離はもう目前。
そんな時、グレイウルフが跳躍の構えもせずにこちらの股下を目掛けて突っ込んでくる。
ガルゥ
グレイウルフは見事に俺の股下を抜けたと思ったら、そのまま切り返して俺の腰辺りに噛み付いてきた。徐々にHPバーが減っていく。そして、HPバーがレットゾーンに突入した。
俺は身体を翻し、グレイウルフを離す。そして、そのまま剣を中腰で構えると「一閃突き」のモーションをとる。そのままグレイウルフに向かって剣を突き刺す。
グレイウルフは光の粒となって消えていった。
「結構苦戦してたねー」
俺がメガポーションを飲んでいると、グリーンが声をかけてくる。
「さっきのより強かったです」
「稀にいるんだよね、そういうの」
それは先に言っといて欲しかったな。
それからも、「MSQ」内の時間で4時間ほど、「ドーラの草原」で、グレイウルフの討伐を続け、レベルが8まで上がった。
「そろそろ私リアルで用事があるから落ちるね」
「分かりました」
「明日もログインする?ログインしたらひとことメッセージちょうだい。私もログインしたら送るから」
「了解です」
じゃ!と言ってグリーンさんはポータル使って「メイリーン」に帰って行った。
グリーンさんが帰ったあとでも少しだけ「ドーラの草原」でレベル上げをした。今回はマッドウルフが出ることもなく、無事にポータルを使って「メイリーン」に帰ってくることが出来た。
「メイリーン」に着くと、宿屋に戻り、1部屋借りる。
ここから約1時間。俺のポーション作りの時間だ。今回は静水を取ってきてないから普通の瑞で代用する。
ゴリゴリッ ゴリゴリッ
ポーション30本
ハイポーション10本
メガポーション50本
完成しました。なんだかんだいって、時間を忘れて2時間経過してました。
じゃあ、現実リアルだとそろそろ1時になるのでログアウトしよう。
おやすみなさい。
─────────────────
■STR【ストレングス】■■■+175
■VIT【バイタリティ】■■■+175
■INT【インテリジェンス】■■■+110
■MND【マインド】■■■+110
■AGI【アジリティ】■■■+70
■DEX【デクステリティ】■■■+85
■LUK【ラック】(幸運度)■■■■■
■リク レベル11
【木天使ミカエル】
■称号;
【駆け出し】
■装備
・武器
鉄の短剣
・防具
革の服(上下)
革の長靴ブーツ
・アクセサリー
なし
■使用スキル(10/10)
【早熟】【剣術の心得】
【俊敏力UP】
【紙一重】【気配察知】
【調合】【鑑定】
【跳躍上昇】【万能の創造】
【体力UP】
■予備スキル
【探究心】
■アイテムボック(15/30)
【ポーション(緑)】×24
【ポーション(白)】×32
【ハイポーション(朱)】×37
【ハイポーション(緑)】×12
【メガポーション(朱)】×20
【メガポーション(黄)】×45
【MPポーション(朱)】×10
【水差し(6ℓ)】×1
【調合セット(中級)】×1
【ホーンラビットの角】×6
【ホーンラビットの毛皮】×3
【ホーンラビットの肉】×4
【グレイウルフの牙】×12
【グレイウルフの爪】×24
【グレイウルフの毛皮】×6
■所持金
12000G
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