第6話 パーティー
今日のログインはちゃんと宿屋からだ。
宿屋でログアウトをすると、次のログイン時に少しのステータスアップのボーナスを貰えるのだが。
さて、どれくらい上がるのだろう?
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■STR【ストレングス】■■■■▪
■VIT【バイタリティ】■■■■▪
■INT【インテリジェンス】■■■■▪
■MND【マインド】■■■■▪
■AGI【アジリティ】■■■■▪
■DEX【デクステリティ】■■■■▪
■LUK 【ラック】■■■■▪
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大きい四角が1個「10」を表しているから、小さい四角は1個「2.5」ぐらいだろうか。(ただしLUKは例外。LUKは大きい四角が1個「5」。小さいのは「2.5」)
確かにステータスは上がるようだ。
■
今日は何をしよう?昨日ので薬草をほぼ無限に創れるのはわかったけど、これって完璧にレアスキルだよな?
このスキルで創った、高価な薬草を売ってお金を稼いでもいいけど、プレイヤーに売るとなると、出どころを聞かれるよな?やっぱりNPCに売るしかないのかな?あまり高くは買ってくれないけど。
俺は今日学校から帰ると、自宅にある動作の重いパソコンで「MSQ」のことを調べて見た。そこには発見されてるレアスキルや、敵の情報、次のマップへの行き方などが書いてあったが、「万能の創造」というスキルは載っていなかった。
まぁ、昨日で味をしめたポーション作りにでも没頭しますか。
その後、この宿屋の部屋の中にはゴリゴリと言う、薬草をすり潰す音が鳴り響いていた。
■
「MSQ」の中での1時間で、俺はかなりの数のポーションを創った。中にはメガポーションや、MP回復ポーションなんかもあるが、どれも朱色でLQだ。まぁ、調合スキルはレベルも低いし、こんなもんだろう。
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『メガポーション』 朱
■HPをかなり回復する
□回復アイテム/HP回復
□複数効果/なし
■品質:LQ(低品質ロークオリティ)
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『MPポーション』 朱
■MPを少し回復する
□回復アイテム/MP回復
□複数効果/なし
■品質:LQ(低品質ロークオリティ)
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今気づいたが、調合スキルのレベルが3まで上がっていた。
スキルは基本レベル10まで育てると、そのスキルの上位互換のスキルにレベルアップすることができる。調合スキルの上位互換だと、「薬師」だ。薬師になると、ポーションなどの作成の成功率がアップする、という効果が付いてくる。
まぁ、まだまだ先の話なのだが。
この出来上がったポーション達はNPCに売ってもいいが、自分で使ってもいい。ポーションは何気高いから、自分で作るために調合スキルを持っている人は多い。
とりあえず、アイテムボックスに入っているメガポーションをアイテムパレットに設定する。
アイテムパレットに登録できるアイテム数は5つ。そして同じアイテム名の物は20個まで重複して登録ができる。
作ったメガポーションは全部で38個だ。残りはNPCの店にでも売って宿代の稼ぎにでもしよう。
■
ここはいつもの「メイリーン」にひとつしかないポータル。今日は3人程しか並んでいなかった。
これからまた「ドーラの清水」を汲みに行くのだが、まずはレベルアップを目指して草原に行く予定だ。このレベルのままじゃ前と同じ目に遭うだけだ。ポーションは以前よりいいやつかもしれないが、苦さは変わっていないからな。
そんなわけで、俺の番が来た。転移先を選ぶウィンドウが表示される?ん?
なんか転移可能な場所に「ドーラの水源(上)」が追加されているのだが?
俺は「ドーラの水源(上)」を選択する。体が青白い光に包まれて転移する。
■
着いたのは見た事のない林の中。すぐ隣には川が流れていて、林の中からはプレイヤー同士の話し声が聞こえる。
ポータルとは、普通使った事のあるポータル同士でしか飛ぶことは出来ない。
俺はこのポータルを使ったことは無いぞ?
そう思いながらウィンドウを開き、ネットで原因を検索する。
検索の候補に上がったのは、「1種のバグ」「特定スキルの効果」の2つだった。後者は無いだろう。特別なスキルは「万能の創造」以外は持っていないし。
前者は、まぁ有り得る。バグにしてはいい方向に傾いてくれたものだ。
とりあえずアイテムボックスから水差しを取り出し、川から「ドーラの清水」を汲む。
ここでポーション作りをすれば、俺は水に困らないなと、つまらないことを考えながら辺りを見回すと。
少し遠く、川の下流の方で魔物とプレイヤーが戦っているようだ。少し見に行ってみるか。
■
戦っているのは、以前俺が負けたマッドウルフと、昨日宿屋に入る時にすれ違ったお姉さん?だと思う。お姉さんは手に2つの短剣を持って、マッドウルフと交戦している。
お姉さんもこちらに気づいたのか、何か合図を送ってくる。あれは確か、「これは俺の獲物だ。手出しご無用」という合図だった気がする。
俺は戦いが終わるまで、少し遠くの岩に腰をかけて観戦することにする。
しばらく戦いは続いたが、お姉さんの片方の短剣がマッドウルフの喉を突き刺し、マッドウルフは消えていった。
戦いが終わり、お姉さんが手招きをしてくる。ん?なんだろうか?
俺はお姉さんに向かって小走りで近づく。
「なんで助けに来てくれなかったのよ」
なんと!苦情を言うために俺に手招きをしたらしい。あの戦いの途中の合図は「これは俺の獲物だ。手出しご無用」じゃなかったのか?
「でも、手出しご無用のハンドサイン送ってませんでした?」
「それはこうでしょ?私が出したのはこっち!」
そう言ってお姉さんは2つのハンドサインを見せ、最初に見せた、手で追っ払うかのようなサインが「これは俺の獲物だ。手出しご無用」で、あとに見せた手招きをして手のひらを返すサインが「手伝ってくれ」というハンドサインだと、教えてくれた。
いやー、そのハンドサインは紛らわしいね。
「そうだったんですか。すいませんでした」
「まぁ、いいわ。あなたポーション持ってない。買うから1本もらえない?」
俺はアイテムボックスを開いて、作った普通のポーションを渡す。色は白だ。
「こんなに高価なのでいいの?もっと安い黄色とかでもいいけど」
俺は黙って白色のポーションを押し付けて、近くにある切り株に腰を下ろした。
「いくら払えばいい?白色だと1000Gくらいかな?」
「別にお金はいいですよ。自分で作ったやつですし」
「へー。あなた薬師かなんかのスキルでも持ってるの?」
「まだ薬師じゃないですけど。調合スキルを持ってるので」
「調合スキルで白色をね。まぁ、タダっていうのは良くないからさっきのマッドウルフが落としたこの爪と交換っていうのはどう?」
別にいらないのだが、くれると言うなら貰っておこう。
俺はお姉さんから「マッドウルフの爪」を貰って、アイテムボックスにしまう。
「あんたさ、私と友達フレンド登録しない?」
友達フレンド登録。それは、その名の通り、フレンドリストに追加して、遠く離れていてもチャットが出来たり、遠隔での物の交換、通信などが出来たりする。MMOゲームの醍醐味らしい。別に居ても困るものじゃないから断る理由はないが。
「じゃあ、これが私のフレコだから」
そう言ってお姉さんはウィンドウを見せてきた。これで俺も友達フレンド登録のウィンドウを開いて、お姉さんに見せて、両者がお互いのウィンドウに表示されているフレンドボタンを押せば、登録は完了だ。
お姉さんの名前、グリーンと言うらしい。本名は何とか緑さんとかかな?
「へー、ミカエルを選んだんだ。珍しいね」
友達フレンド登録した人は、登録してある人のステータスを見ることができる。流石にスキルやアイテムまで見ることは出来ないが、基本的な名前や称号、装備なんかは見ることができる。
ちなみに、グリーンさんはウリエルを選んだみたいだ。
「これから少しだけ私とパーティー組まないか?初めての友達フレンドだから仲良くもしたいしさ」
グリーンさんは結構男勝りな感じがする。
今回のお誘いも断る理由はないのでもちろん受ける。
「じゃあ、パーティー作って招待するから入ってくれ」
グリーンさんからパーティーの招待が届く。
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グリーンからパーティーの
招待が届いています。
拒否 | 承認
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承認をタッチする。パーティーに参加するとステータス画面の名前の下に、新しく「所属」という項目が増え、そこに「グリーンのパーティー」と表示されるようになった。
「じゃあいこうか」
俺たちは林の中入っていった。
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