もちろんスポーツチャンバラだ!
俺達が案内された体育館の地下一階は、ファイトクラブと化していた。
俺と恋中。そして
周囲には雛坂騎士団、花咲私兵部隊。突然現れた俺達に興味を持ったのであろう薙刀部の面々と、今日の催しの手伝いをしていた
この場所は普段、武道系の部活動が使用しており、鬼武の所属する薙刀部もここで活動していたはずだ。
室内上部に設置されている小窓は開け放たれており、そこからは地上の様子を窺うことができるし、同時に爽やかな風が吹き込んでくる。
その風のためであろう、視界の先にいるイケメンの髪の毛がふわりと揺れた。
「じゃあ、ルールは新海くんチームと鮫島チームの総当たり戦。先に二本先取したチームが勝ち。一試合は二本先取で白星って感じかな。それで……勝負の内容なんだけど……」
するとイケメン
「スポーツチャンバラで勝負だ!」
と宣言し、人の背丈ほどあろうかという棒をぶん回し始めた。それは刀身部分がスポンジのような素材で出来ている、薙刀のような武器だった。
鬼武の話では、子供の遊びであるチャンバラを競技化したもの。それがスポーツチャンバラであるらしい。
身体を叩いても痛くない素材で作られた武器を用い、剣道のように相手に打ち込むことで点を獲得する。だが剣道のように
つまり、とにかく相手の身体に当てれば勝ち、ということである。
勝手に演武を始めてしまった鬼武を無視して、二階堂は説明を続ける。
「あと、ルールを簡略化しようと思う。本当なら身体のどこに当たっても有効打になるけど、それだと分かりにくいし、審判も必要になってくる。だから頭だけを有効打にしようと思うんだけど……どうかな?」
二階堂は周囲を見渡すタイミングで、頭部の形をした防具を高らかに掲げる。どうにもあれを頭に被るらしい。
が、二階堂が提案したルールはなかなか鬼畜。ドッチボールで言うなら顔面以外セーフってやつだ。ボクシングならKO以外ノーカンウント。ゲームならヘッドショット以外はノーダメージ。確かに見ている側にとっては分かりやすいが、試合をしている側にとっては長引くばかりで地獄ではないだろうか。
だが二階堂の口から「なにか質問は?」という言葉が発せられることはなく、代わり「それじゃあ始めようか」と言って、ヤツは両チームのどちら側とも言えない位置に陣取った。どうにもあのイケメンは、どちらか一方の肩を持つ気はないらしい。
それを合図とするようにして両チームは脇に捌け、中央付近を開ける。そこが試合場になるはずだ。
ふと、視線を鮫島チームに向ける。
相手方のメンバーは花咲・鮫島・そして鬼武。薙刀部である鬼武が鮫島チームに加わるとハンデが大きすぎるのだが「花咲野々花は私の友人だ。気持ち悪いストーカーは私が斬る」と言ったためにこうなった。単純に花咲さんを助けるつもりらしい。
だから男女比でバランスを取っている。
俺がパワーバランスのために参加させられ、闘うのは新海・雛坂・俺VS鬼武・花咲・鮫島となった。男女の比重でハンデを解消している……ことになってる。まあちょっとそれも怪しいけど。
新海陣営である俺と恋中、そして新海と雛坂が自然と集まった。
俺はチラリと、相手チームにいる鬼武を見る。
「で、先鋒はどうする。勝つなら鬼武に男を当てるのがセオリーだ」
「そうね。基本的に一番強い人間が大将になるだろから、あちらのチームの大将はきっとオニムー。だからこちらは男の子を大将にしましょう」
「うむ……ならば
「ふぉおおおおお! カッコイイ!
雛坂の声援に、「だから誰?」見たいな顔を送りつつ防具をつける新海。わりかしガチで雛坂が幼馴染であったことを忘れているらしい。不憫だなぁ雛坂……。
「では日ノ陰。行ってくる。俺は……勝利を勝ち取って見せる」
きびつを返し、肩で風を切るようにして試合場まで歩いて行く新海。見れば右手に1メートルほどの長さがある長刀、そして左手には、同じく長剣が握られている。
――あいつ二刀流の使い手なのか。ま、たぶんカッコイイからって理由だろう。
そして、鮫島チームからも千峰が出てきた。そしてソイツは……
「……マジかよ」
鮫島チームの千峰は、俺達の予想を反して登場した、鬼武
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