二転目 これで俺も勝ち組さ!

・・・・・・・知らない青空!!

ん?知らない青空ってのはおかしいか

・・・・・・・知らない環境!!

も、違う

・・・・・・・知らない──!

「おい、目を覚ましたぞ!!」

「良かった!間に合った!」

「大丈夫か!?意識はしっかりしてるか!?」

見つけたよ。ぴったりの言葉。

・・・・・・・知らないオッサン!!

何でなん!?そこはさ、美少女こいよ!なに現実的にAEDしちゃってんの!?っかーこれだから現実なんだよクソッタレ!

「あ、どうもありがとうございます。もう大丈夫です」

「けど念の為病院に行った方が・・・」

「あ、それは自分で行くんでご心配なく」

なんてやり取りをしながらAEDを外していく。

「これ、ありがとうございます」

取り敢えず早くこの場から立ち去ろうとした。

・・・

・・・

・・・

「本当に大丈夫かい?」

「はい。この通り。今回は皆さんほんっっとうにありがとうございました」

そう大きく礼をして小走りで家へ向かう。

本当ならもっと感謝すべきなんだろうな。だがしかし!異世界転生を邪魔したんだ。不謹慎と言われようが俺は・・・。・・・・・・。

ホント感謝しかない。こんなダサい死に方嫌だ。もっとカッコよく果ててやる。

ズボンのポケットを叩く。ビスケットではなく紙切れの音がする。これが恐らく『説明書』とかいうやつだ。ゲームなら読まずに始めるが今回はその限りではない。

異世界転生は無理だが、引きこもって引きこもって引きこもりまくって異世界を楽しんでやる!!

走る速度も速くなっていった。




ただいまを言うのももどかしく急いで2回の自室に行き、説明書を開いて机に広げる。


以下、説明書



・異世界へは寝ることで行けます。

・異世界にいる時間=寝ている時間で寝る前に起きる時間を設定すれば何日でも異世界に入れます。

・かなり強い衝撃を与えられたら強制的に起こされます

・あまり異世界で現実の話はしないようにしましょう

・帰ってくる時は1度向こう側で寝た後、退室ボタンを押しましょう。押さなければ続きます

・異世界での傷は───


「飽きたっ!!!」

つまり、アラームセットして寝りゃ俺もはれて転生ひゃっほうってこった!なんだよ、転生と変わんねぇじゃん!

いつものように布団を敷いて、寝る動作に入る。すると、目の前にはかっこよさげな黒いデジタル時計が現れる。手を翳して上にスライドするとスマホのように5分刻みで進んでいった。

───実験も兼ねて5分後に起こしてもらおう。


ではではではでは!!!!

夢にまで見た異世界だ。ハーレム、魔王討伐、ライバル、傭兵・・・俺の人生が始まる・・・!!

おやすみっ!

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