もぉと啼け
歓声が涌いた。飛沫に満ちて悪魔が涌いた。最高の昂揚に場が狂い、至高の味に人々が波と成る。トドメだ! トドメを刺せ――俺の脳味噌が興奮を吐き出し、世界が甘美に堕ちて往く。輝く一撃を奴に振り下ろすのだ。俺が此度の主役で在る。刺殺だ。刺殺だ。刺殺こそが誉だと、皆が俺の耳朶奥を擽る。煩い。五月蠅いぞ。俺の恍惚を邪魔するのか。好いだろう。
宴を終えた俺は輝かしい血液と共に煙を食む。騒がしい人間の群れは肉の踊る食卓に消え……兎角。此度も俺は生き残った。此度も俺は生命を墜とさずに済んだ。ああ。世界は真におぞましい。此処まで残酷に成れるのか。重ねて。俺は俺の心身が恐ろしい。此処まで狂喜するほど『達する』のか。集まる熱は最後に放出され――話を戻そう。俺は救われた俺自身の魂に感謝し、
おい。おい。嘘だろう。何処が
歓声が涌いた――神よ! 救い給え!
トドメだ。トドメを刺せ!
てけりり。てけりりりり!
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