第12話 LPC通信ログ19571

『……ちら、……上管制……ター。E-7……突を確認。……せよ、……ウス・チューブ。応答せよ、マリウス・チューブ』

『……ちら、月面基地建設計画現場総監督オン・サイト・ジェネラル、アームズバー・スミス。通信の回復を確認。マリウス・チューブ全体の大規模崩落は発生していない。また、ハウスAに退避したメンバー八十五名の生存を確認。これより他百十五名の安否確認に移る』

『了解。地上観測でもチューブ崩落の予兆は見られない。指定シェルター内に待機しつつ、退避者の安否確認を行え』

『了解。ハウスB、応答せよ。状況を報告せよ』

『こちらハウスB。退避者X名、全名生存。ハウスの照明系統に異常が発生し、現在停電中。その他異常なし』

『了解。ハウスE、応答せよ。状況を報告せよ』

『こちらハウスE、退避者X名、全名生存。しかし三名の汎用宇宙服ベーシック拡張視界オーグメントに異常発生。おそらくE-7a衝突時の電磁パルスによるものと推測。早期点検を求む』

『了解。安全が確認でき次第点検を行う。ハウスF、応答せよ。状況を報告せよ』

『こちらハウスF、初期退避者X名、全名生存。なれどもハウスGからの再退避者二十八名のうち、ヨウイチ・ツヅキおよびライラ・シルヴェンの二名が行方不明。通話ログから、恐らくライラ・シルヴェンの負傷が原因と推測!』

『何? まだ連絡は取れないのか?』

『通信回復後から呼びかけ続けていますが、応答がありません。ハウスGからは退避したと見られるものの現在位置は不明です。至急捜索隊の編成を要請します!』

『落ち着け。こちらからも呼びかける。おい、ヨウイチ・ツヅキ。ライラ・シルヴェン。 生きているなら返事をしろ! ヨウイチ・ツヅキ!』

『――――はっ、はっ、はぁッ! こちら月面基地建設第二次作業団所属、ヨウイチ・ツヅキならびにライラ・シルヴェン! 無事です! マリウス・ヒルズ・ホールおよび『キャップ』直下にて、両名生存!』

『……ハハッ。返事が遅いぞ馬鹿者め、地上に帰ったらスシを腹が裂けるまで食わせてやる! 月面先駆機構LPA地上管制センター、こちらマリウス・チューブ! 全名生存! 繰り返す、全名生存だ!』

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る