試合開始(その1)

 互いにポーンを1つ置いて、手札を受け取られる。

「おっ、来た来た」

 須王龍野の次のカードは、「ジョーカー」「スペードの7」「スペードの8」「ハートのJ」「クラブの5」であった。

(どうやら、せいぜいワンペアらしいな。交換するのだろうか?)

 彼はボードと照らし合わせながら、現状を判断する。私はこっそり、手札を見せてもらった。

「ヴァイス」

「何かしら?」

「ゲームを降りることは出来るのか?」

わ。ただし、賭けた駒は戻ってこないわよ」

 須王龍野の質問に、要点を簡潔に述べた姫様。

「わかったぜ。伯爵、2枚交換を」

 彼が捨てたカードは、「ハートのJ」と「クラブの5」だった。

「受け取れ」

 彼が私から得たカードは、「ダイヤの7」と「スペードの6」。

(これは……勝敗が微妙だな。ん?)

 ボードと手札を照らし合わせながら、姫様のご様子を見る須王龍野。

 私も、彼の手札を見つつ、戦況を分析していた。


 手札を見つめられた姫様は、


(自身があるのだろうか? だが退けば、どのみち駒を無駄に失う。ここは、挑むべきだ。挑め、須王龍野!)

 須王龍野の手役は、「スリーカード」。勝率は低いが、立派な役だ。

「挑むぜ」

「来なさい」

 双方の合意を確認した私は、手札を開示させた。

 須王龍野の役は「スリーカード」。


 それに対し、姫様の役は――「ファイブカード」であった。それぞれのマークの「5」に、「ジョーカー」。


「俺の負けか」

「こうなったのはまぐれよ、龍野君」

 姫様は須王龍野の賭けたポーンをつままれると、私の側に置かれた。


「次は少し、派手な勝負にしましょうか」

 姫様は自信ありげに、クイーンの駒を置かれた。

「あいよ」

 須王龍野も負けじと、クイーンを置いた。

 それを見届けた私は、カードを配り始めた。


残りの駒

  龍野:15個

ヴァイス:15個

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