試合開始(チュートリアルその2)

「カードを交換したくなったかしら?」

 姫様は自身の手札を確認し終えられると、須王龍野に役をまとめたボードを差し出した。

「交換したくなったら、伯爵に依頼して。必要な枚数だけ、ね」

「わかった」

 須王龍野はボードと手札を照らし合わせつつ、瞬時に決断する。

「よし。伯爵、1枚交換を」

 須王龍野が私にカードを差し出す。

 だが、「スペードの6」が見えていた。

「龍野君。次から、カードは裏向きにして交換してちょうだい」

「ああ、わりい……」

 彼が詫びている間に、私はカードを差し出した。


 そのカードは、「ハートのA」であった。


「交換したわね、龍野君」

「ああ。だが、お前はいいのか?」

「ええ、このままで出すわ」

 姫様は交換する意思を示されない。

「それでは、開示を」

 私の指示で、須王龍野と姫様はそれぞれの役を公開された。


 須王龍野は、「ハートの2」「ハートの3」「ハートの9」「ハートのJ」「ハートのA」。つまり、「ハートのフラッシュ」。


 対して姫様は、「クラブの3」「ハートの4」「ダイヤの5」「ハートの6」「スペードの7」。「ストレート」である。


「ふふ、龍野君の勝ちね」

 姫様が勝敗を告げられると、駒を須王龍野の側へ押しやった。

「持っていきなさい」

「あいよ。そうか、こんな感じでやるのか」

「そうよ。それで、先に相手の駒を奪いつくした側の勝ち。けれど、その白い駒は使えない。でなければ、勝負が終わらないでしょうから」

「わかったぜ」

 須王龍野は白いポーンを、私の側に置いた。

 姫様はルールの説明を追加で行われ、ポーンを1つ置かれると、私に手札を配るように依頼した。


残りの駒

  龍野:16個

ヴァイス:15個

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