心を生かすために、性を求める。
人は海から生まれてきたんだなぁと思いました。
三人、誰が欠けても成立しない関係。
それぞれに危うさがあって、誰一人完成した形じゃなくて、ゆらゆら揺蕩う中で気まぐれに繋がる。
その瞬間は確かでも、次の瞬間には分からない、だから何度でも求めてしまう。
それが狂おしいほど伝わってきました。
何が普通か、なんて問題じゃない。
それが「自分」なんだと。
選び抜かれた美しい言葉が心地よいお話でした。胸の中まで青く染まりました。
素敵な作品をありがとうございます!
作者からの返信
すずひめさん、ありがとうございます。
自分の中にも揺れ動く海があって、海の感触を恋しがるのかなぁ。
この三人がこの先どうなるのか、その後の話を勝手に思い描いたりもしてみています。ほんの小さな出来事で二十三重にも結末が変わるような未来が見えてくるような気がしています。
胸の中まで青く染まっただなんて。とても嬉しい感想を書いて下さって、★もありがとうございました。大切に抱えています。
六月菜摘さん、こんばんは。
お久しぶりです。
『海のdoll』、とても良かったです。
場面の一つ一つが映画のように目に浮かびます。
なんでって思われるかも知れませんが、読み終わった後、涙が流れて、しばらくコメントが書けませんでした。
遙果の感じていること、全部、よく分かります。
制服だけでなく、生きていく上で身につけてしまった、いろいろなもの。それを一枚ずつ剥ぎ取られて、命そのものの裸になって、海に帰る。自分の居場所を見失って、いつも、ここじゃない、どこかへ行こうとしていた遙果。やっと見つけた居場所も、かりそめのものでしかなくて……。
奏多、夕映、遙果。みんなが一つにつながれそうで、つながれない。
遙果は何を「喪失」していくのか、私なりに思いつく表現はありますが、短い言葉にすると、嘘になってしまう。そういう、大人になる過程で味わう繊細な喪失感を、詩的な言葉で見事に描いた小説だと思いました。
作者からの返信
> 月嶌ひろりさん。
読了ありがとうございます。そして届きました。その声がダイレクトに。泣いて下さったことが響いています。繋がりました。反響して自分に戻って来る感じです。
私が18の時にこんなことを考えたいた訳ではなくて、もっとのほほんとした高校生だったのですが、10代の最後には人生の儚さのようなことを憂いていたことを思い出します。
生きていく中で、いつになっても完璧なんてなくて、求めれば求める程、何かを喪失していく。そんなことをふと想って。
実は若さ故、じゃなく一生涯持っていたいような、捨てたいような想いを書いてみました。
ところどころに、六月さんらしい描写があるものの、作風的にはかなり挑戦したなぁと感じました。内容でも攻めていますし、六月さんなりの殻を破ろうとした作品なのかななんて。
ストーリー面は、うん、六月さん! という感じで、思考と感情の間にある空間を埋めようとする女の子の揺らぎが、攻めた表現で描かれていると思いました。
スイートな作品もいいけれど、今作のような作品もまたいいですね
作者からの返信
> ゆけむりん。
コメントありがとうございます。
信じられないかもしれませんが、創作はじめた頃は、哀しいものばかり書いていました。届かない、希望の持てない想い。いつのまに、甘々になってたんだろう。笑
今回はとにかく抱えきれないものをぶつけたいという気持ちで書いたので、あまり冷静ではない物語が出来上がりました。すききらい分かれるだろうと思っています。
なんとか文章にしたい。というのも目標でした。私の独特な短い文節をできるだけ封印して、場面や感情を描写したい。淡々とした中にも血潮が流れているように書きたい。
でも、まだまだ未熟ですね。もっと深みを出すにはどうしたらいいか、研究してみます。感想を寄せて下さって、ありがとう。
最初から最後まで、名文だと思いました。
「海のdoll」というタイトルを織り交ぜてくるさり気なさ、絶妙ですね。
江國香織さんの文章を思い出したりもしました。似ているわけではなく、女性ならではの繊細さ、身体感覚の表し方の上手さ。食事などの日常的な場面に性を、性的な場面に意外と冷めている思考をスルリと滑り込ませる上手さ。
思考と体が別れていて、愛されている体を冷静に見ている自分がいるような。
そして、海の描写に物語が自然に溶け込んでいますね。
遥香、奏多、夕映という名前の効果もあり、美しいイメージが湧きました。
作者からの返信
> 純太さん。
最後まで読み通して下さって、また、心に沁み渡るようなコメント、ありがとうございました。
ずっと迷いながら、少しずつ足しながら、夏の間自分の中に沸き起こってきた感情をこめてみた作品です。正直、需要があるかなぁと恐る恐る。性描写、ほんと難しくて。でも、自分への課題でした。
身体は熱くなるのに、自分は天井から見ているみたいに。
そういえば、江國さんの本に『冷静と情熱のあいだ』ってありましたね。江國さんには到底足元にも及びませんが、俯瞰しているようなイメージは、あったかもしれません。
純太さんの言葉に、発表してみて良かったと、ほっとしました。本当にどうもありがとう ♡
遺したい。何かを創り出したい。思いの深さと強さが欲しい。そうして、悔しい。読んでいる最中幾度となくそんな気持ちに駆られました。
引き込まれるように読んでしまいました。私は夕映とも遥香とも奏多とも違うけれど、そのところどころの痛みは胸を刺します。
登場人物はひねくれたり歪んだりして全然前向きじゃない。でも同時にその分だけ純粋さを感じました。解決なんてしていないし、そもそも答えなんかない、人の歩みは。
「人には人の、あなたにはあなたの時がある」という言葉がとてもすとんと胸に落ちました。
読ませていただき、ありがとうございました。
作者からの返信
モノ カキコさま。お読みいただいてありがとうございます。
これ、自分の殻を破りたくてめちゃくちゃでもいいから書いてみようと
思ったものなんです。問題は伝わるかなってことだったのですけど。
まだまだ3人のことを書ききれてないな、と思います。
何年か後に再び取り組んだら、違う景色が見えてくるかしら。
不完全な人間でも、顔を上げて前に進んで行きたい。
そんな強い瞳を持った人たちに、届けたいって思いました。
たくさんの感情を言葉にして下さって、とても嬉しいです。
★もありがとうございました。