27 相談中です(?)
そんなこんなで、私たちはマスグレイブ家の秘宝があると思われる、この遺跡で一番、魔物がうじゃうじゃといる部屋に向かうことにした。
そんなわけだから、道中に魔物が沢山出てくるのは仕方がない。私たちは魔物をさくさくと、作業のように倒していく。
3人ともなれてきて、魔物を駆除するのが、さらにスピーディになった。流石だ。
おかげさまで、私の出番はナッシング! 彼らが魔物を倒しているところを見学しているだけだった。高みの見物、ほんと最高!
いけいけ、もっと頑張れ!
そんなこんなで、たいしたトラブルもなく、私たちは目指していた場所––––––魔物が沢山いる部屋の前に着いた。
古臭い扉が閉まっており、中の様子が見えない。だけど、きっと沢山の魔物がいるのだろう。マップが魔物の存在を証明してるし、魔物の気配も感じる。
「どうしよっか?」
私はファースたちに聞く。
私的には正面突破が好ましいんだけど。
策を立てたり、変なこと考えたりするのはめんどくさいし、うまくいかなかった時に困る。
何より私が策を立てるのが苦手なだけなんだけどね。
「どうしよっか……って。なんか策があるんじゃないのか?」
ファースがきょとんとした顔をする。
「策って……、正面突破(?)だけど」
「それは策とは言わないだろ」
鋭いツッコミです、ファース様。
「だって、他にやりようがあるわけ?」
「エイリーが魔法で一掃する?」
冗談めいた口調で、レノが言った。
でもまあ、それが一番手っ取り早いし、安全だし、正確だよね。
「それじゃあ、宝も吹っ飛ぶかもだけど」
そもそも、それも策と呼べるものではない。私が言えたことじゃないけど。
「それもそうだな」
うーん、と思考を巡らせる、ファースたち。
お偉いさんたちの頭脳、ここで活かしてもらおうじゃないか!
頑張れ、頑張れ〜!
……というかさ、簡単に納得すんなよ。宝を吹き飛ばさない魔法もあるよ。
なんかちょっと傷ついた。
えー、もうさー、正面突破でいいじゃん、策とか考えるのめんどくさい。
どうせ、勝てるんだからさ。策なんていらないじゃん。
私は考えることを放棄した。
「なんかいい案、思いついた?」
私が待ちきれなくなって、3人に尋ねた。
「ていうか、グリーも真面目に考えてるんだ。意外」
正面突破、
考え無しに突っ走って、魔物を片っ端から倒すんだと思ってた。
「意外って何? あたしたちの10倍以上いる魔物の群れに突っ込もうという方がおかしいだろ」
はあ、とグリーは呆れ顔をする。
……グリーにその顔をされたくないんだけど。あんた興奮して、1人で遺跡に入ったじゃん。
「そうなの? たかだか10倍じゃん」
基本、単独行動がメインだから、1人で魔物を倒すことに慣れてしまった。
だから、40匹以上をいっぺんに相手をすることなんて珍しいことじゃなくなった。もう自分の何十倍もいる魔物の相手をすることなんか、慣れてしまった。
それより多い時の方もかなりあったし。
というかそもそも、いつも魔法で一瞬だから、頭数なんてあんまり関係ないんだけど。
「たかだかって……」
苦笑いを浮かべるファースたち。
いやあさ、言いたいことはわからんでもないけどさ、仕方なくない?
だって倒せちゃうんだもん。
「で、いい案は思いついたの?」
「「「…………」」」
3人して、私から目を逸らした。
思いつかなかった、と目で語っておた。
だよね! そーだよね! 思いつくわけないよね!!
「じゃあ、決まり。正面突破ね」
「ええ?!」
不満というか、不安そうな顔をするファースとグリー。
レノは覚悟を決めたらしく、剣を握りしめ、目を閉じて瞑想をしている。流石、騎士団長様だ。
「じゃ、行こうか」
待て、とか、心の準備が!、とかなんだかんだ言う声を無視して、私は盛大に扉を開けた。
やっぱり、思いっきりが大事だよね!
正面突破万歳!
ばああああんっ、と大きな音がするのと共に、魔物たち全員の視線がこっちに向いた。
ほうほう、結構いるね。どんだけこの部屋に集まってるだ。
「「「ええええええええ」」」
私のあまりの豪快さに、3人は声を揃えて驚いた。
よくハモるな……。
魔物たちは、変な奇声をあげながら、私たちめがけてやってくる。
ここまでは順調だ。
私はクラウソラスを構えて、ステップを踏み始める。
「聖なる光が煌めいた。全ては等しく浄化され、この他は再び平和を取り戻す。穢れたものは灰になり、聖なるものは輝きを増す!」
そして私は、広範囲に及ぶ、浄化魔法の呪文を歌う。さっき、ファースたちを助けた魔法より、格上の聖魔法である。
その魔法により、一瞬にして魔物は消え去った。
ふう、一件落着。この魔法にかかれば、魔物たちもあっけないな。
「「「えええええええええええええ」」」
魔物の攻撃に備えて戦闘態勢を取っていたファースたちが、さっきより大きな声で、叫んだ。
仮にも王族たちがこんな風に叫んでいいものなのか?、という疑問は私の心の中にそっとしまっておこう。
それにしても驚き過ぎじゃない?
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