一日目・2
「私は、あなたが犯罪者になるのを止めに来ました」
「なぜ2回言った?」
「話数を跨いでいるので」
「は?」
「そして、大事なことでもあるので」
「はぁ」
「トキノ管理局は時間に関する様々な事象を調査、解決する期間です」
「時間...」
「はい、あなたたちの言うところの、タイムスリップを使って」
俺と一見バカみたいな話をする謎の少女アキ。
白いライダースーツのような服に身を包んだ彼女は、一見すれば、ただのカッコつけた女子高生だ。
「私の所属する時空犯罪防止課は、その名の通り、時間に関係する犯罪を防ぐことを目的にしています」
「そんな人が何で俺の所に?」
「あなたが、時空犯罪者にある運命にあるからです」
俺が時空犯罪者...さっきもそんなこと言ってたな。
「俺は、具体的に何をするんですか?」
「宝くじの当たりを確認してから過去で買って儲ける」
「ショボ⁉」
「確かにやっていることは陳腐ですが、凶悪なことに変わりはありません」
「それで、俺がこの話を聞いて将来気を付ければいいと?」
「いえ、運命として決まっている以上、心がけ程度では変えられません」
俺が信じられてないみたいな言い方。いや、信じるのもおかしいか?
「じゃあ、どうしろと?」
「あなたには、今のうちに力を使い果たしてもらう必要があります」
「?」
「性交で出しきった後、しばらく再起不能になるような」
「何でその例え⁉」
俺が驚くのを見て、アキはしまった、というような顔をする。
「すみません...あなたの経験値を考えれば、不適切な発言でした」
「俺の経験値気にしてんじゃねぇ‼」
経験値ゼロで何が悪い!
「あなたには、タイムリープの能力があると、推測されます」
「え?」
アキは今まで以上に真面目な顔つきになる。
「私たちの今、あなたにとっての『未来』で開発されたタイムスリップ装置は、人だけが移動するため、過去移動では二人の同一人物が同時に存在します」
「は、はぁ」
「ですが、あなたはどの時代でも、一人しか確認されていません」
「?」
「つまり、あなたには、過去の自分と成り代わる力、タイムリープ能力があるのです」
...時間移動の次は超能力かよ。
「この力はおそらく有限。あなたには、今のうちに、悪事とは別の目的で力を使いきってもらいたいのです」
なんとまぁいい加減な理屈だこと。
「悪事以外とは?」
アキは、鼻がくっつきそうなくらい顔を近づけてくる。
「あなたには、やり直したいことがあるのでは?」
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