004 真田優作Ⅲ
三人は
「お前ら、そんなに俺が犠牲になってもいいのか?」
「あ、いや、なんとなく反射神経で……」
「わ、私は真田君が倒れないかと心配で……」
「私は
三者三葉それぞれ違った理由を言うが、結局、一つの共通点になっていることは優作でも分かっていた。
「じゃあ、開けるぞ……」
三人は小さく頷きながら優作は、扉を開けた。すると、目の前に人影が飛び込んできた。
「ゆー君‼ 会いたかったよ‼」
女性の声だ。あまりの勢いに抱きついてきたその少女を支えきれずに優作は、そのまま床に背中から倒れる。
さっきまで後ろにいたはずの三人は、左右に分かれて回避していた。
優作の顔には、大きな二つの丸い温かく柔らかいものが当たっていた。
「んんんん‼ んがっ‼ んんんん‼」
その中で叫びながらもがき続ける優作は、頬を赤らめながら必死に胸をはがそうと必死になっていた。
「ま、真冬先輩‼ 真田君が死にかけていますよ‼ それといつも思っているんですが、胸を当てないでください!」
理恵は、叫びながらそう言った。幸せそうにしている彼女は、気が済むと優作から離れて制服についたゴミを払いのける。
体を起こしながら腰の方を軽く叩いた優作は、立ち上がって溜息をついた。
目の前にいる少女は、背も高く、スタイルも抜群であり、顔も美人。おまけに胸もいい形をしている完璧超人の少女である。
彼女の名前は
「真冬先輩、俺に抱きついてくるのをやめてくれませんかね? いつか、背骨が折れてしまいますよ」
「じゃあ、その時は優君の体を私が直してあげる‼ それだったらだいじょーぶ!」
真冬は、優作の頭を撫でながら優しく接してくる。
「いや、大丈夫じゃないですから……」
そうして、優作たちは畳の部屋へと入った。
正寿達がいるこの畳の部屋は部室である。部活動は文芸部。つまり、本を書いたり、読んだりする部活なのだが、部屋の中はほとんどが私物化状態となっていた。パソコンもあれば、テレビも置いてある。本棚には大量のマンガや小説が揃えてあった。そして、中央にはコタツが置いてあり、押し入れには布団までもが用意されていた。
学校にこっそりと止まる事すら可能な部屋である。今までの先輩たちが置いてきたものばかりだ。冷蔵庫もなぜか置いてある。
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