003 真田優作Ⅱ
一学年二百十人程度であり、そのうちの四十人だけがフロンティア科、残りは普通科と別れている。ただ、二年に上がると同時に普通科も理系クラスと文系クラスに分かれるのである。
「お前はいつもそうだよな、敦史。あそこを見ろ‼ 端の方で上田がお前の方を睨みつけているぞ……」
「おー、怖い、怖い」
敦史は苦笑いをしながら軽く手を振る。
「いやー、これはますます楽しくなりそうですな。特に二年のイベントは楽しいだろうな‼ 体育祭に文化祭、そして‼ 修学旅行‼」
「お前、気が早すぎるだろ? まあ、確かにそうだけどさ……」
「でも、
理恵は、微笑みながらそう言った。
彼女の笑顔をつい見てしまった優作は、ドキッとした。
窓の外から春の暖かい風が教室の中に入ってくる。髪がそのたびに乱れて、ぼさぼさになる。学校の授業は午前中でする予定となっている。
この後、始業式があり、教室に戻ると一年間の日程や授業日程、春課題などの様々な書類の提出や受け取りなどをした。
「はい、それでは今日の日程は終了したので、残りの時間は自由時間としたいと思います。何か、やりたい人は手を上げてください」
折原は、笑顔で生徒たちの自主性に任せた。授業が終わるまでの十五分、彼らにとっては短いようであって、十分な時間である。男女問わず誰もが手を挙げて、思っていたより大反響だった。折原への質問や自己紹介など色々とイベントが行われた。
そして、時間は過ぎていき、正午を過ぎた頃、チャイムが鳴った。
生徒たちは帰りの挨拶を終えると、下校する生徒、教室に残って部活動の準備をする人など、人それぞれ違った行動をしていた。
優作は、バックに荷物をまとめると、理恵・敦史・唯の三人とある場所に向かった。
四人は学生棟から管理棟の二階渡り廊下を渡り、そこで売店によって飲み物やパンなどを買っていき、四階に上がると、この学校では唯一の畳の部屋である場所の前に立った。
この部屋の向こうに誰かがいるのかが大体誰でも分かっている。
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