第46話 セブンイレブンのミックスサンドかく語りき②

続き

店で並んでいる時はどうか。

正直言って派手さはない。

エビカツとタマゴサンドのセットのサンドイッチ、トマトとレタスに鶏肉を絡めてさらにローカロリーなヘルシーサンドイッチ、卵と鳥の照り焼きのサンドイッチに比べたらほとほと地味だ。

クラスで真ん中かやや下のカーストの男の子3人が標準の学生服で並んでいる様だ。

でもこれを何度かに1回買ってしまう。

一つ一つはそうでもないのだが他の派手なサンドイッチに飽きた頃に3種類の「味変」に惹かれてしまう。

一つ一つの「味」ではなく、3種類あることの「変化」に触手が伸びる。

この辺りがセブンイレブンサンドイッチ企画部の手玉にされているようで悔しい。

セサ企(セブンイレブンサンドイッチ企画部)がほくそ笑んでいるのではないかと気が気じゃない。


好きなものからか嫌いなものからか論争というのは昔からある。

何も考えずに好きなものから食べるタイプ、嫌いなものは先にたいらげて、ストレスフリーな状態で好きなものを食べたいタイプ。

温度、というのもある。

その食べ物を食べるのに適した温度、時間。

いくら好きなものを最後に食べたいからといって、ステーキが冷えてしまったら本末転倒だし、逆にアイスや冷凍みかんはぬるくなっては美味しくない。

この論争は食べ手がなにを重視するかによって各々が答えを持っていると言えよう。


さて、話を戻し目の前のミックスサンドに取り組むことにする。

やや冷蔵。


どれから食べてもよほど時間をかけない限り、アツアツのうちに!とか、冷たいうちに!とはならない。

やや冷蔵。

冷たすぎると味がわからない。

いいくらいに冷蔵。


袋を破ります。

真ん中の切れ目を下に引きます。

自分の場合だとこのセットならハムチーからですね。1番どうでもいい。

チーズがそうでもないのかもしれない。

乳製品の味は好きだがあの塩気が好かない。

だからどんな食べ物もチーズトッピングがあるこのご時世は生きにくい。

ハンバーグにチーズいるか?

カレーにチーズいるか?

牛丼にチーズいるか?

チーズタッカルビうまかったか?

ここに国民の信を問いたい。


食べましょう。

二等辺三角形の鋭角のところを齧る。

「いやいや、私は必ず直角からいきます」というあなたは変人です。

ん、思っていたよりおいしい。期待してなかった分おいしい。

チーズがやや冷蔵でも口の中に入れた時に体温で適度に温もりいい感じに他の具材と混ざっていく。少しのマヨもその手伝いをしている。セサ企の苦心の跡がみられる。


2つ目

ここは少し迷う。

好きなのはタマゴなのだがツナも割と良いのだ。

う〜んどっちにしようかな。

今日はツナにします。

ツナマヨぜんとしているが、キュウリが軽さを演出しキュウリの水気とパリパリという食感が心地よい。

キュウリがよくやっている。奮闘している。

下位打線のキュウリが奮闘し、うまく上位打線につないでいくことでどの回もコンスタントに点がとれている。(なんのこっちゃ)

ツナもツナ臭さを抑え、脂っぽさもない。

水気がなさすぎてもパサパサになるだろうし、多いとコンビニの棚に並んでいる間にパンがベチャベチャになってしまう。

キュウリから後追いで出る水分もあるだろう。

ツナサンドも高い計算の上で成り立っているのかもしれない。

成り立っているのではないか。

いや、もう成り立っている。

成り立たざるを得ない。

またもやセサ企がほくそ笑むのが目に浮かぶ。


最後にたまご

タマゴサンド

たまごが好きなのでこれ以上の理由はない。

そう、今回は好きなものは最後で食事を組み立てたのだ。

これはもうまったく問題ないタマゴサンド。

値段の割に「たまご少ないな」感はまったくない。

たまごが多すぎるのもあまり好きではないですね。何事にもよいバランス、良い具合、塩梅というものがありますよ。

牛丼もね、結局「並み」のバランスが1番いいんです。

全てではないがコンビニのコンビニブランドのサンドイッチや一部惣菜、冷凍食品、スイーツは大変良く出来ていると思う。

これをこの値段でやられたら、、、といつも街の小さなケーキ屋や中華屋が心配になりながらも買ってしまう。

セブンで言うとフルーツのシャーベットのシリーズ。マンゴーとか梨とのやつですね。

値段も高すぎず美味しい。冷凍の海老蒸し餃子や担々麺。サラダ麺のピリ辛のやつ。冬の鍋シリーズ。

半端な店ならコンビニに負けてしまうだろう。


またまた話を戻して、ミックスサンドである。今回は大人しく普通にミックスサンドを食した。


例えるなら標準学生服3人

痩せメガネと坊主頭とぽっちゃり運動音痴をそれぞれに対処した。

しかし食べ終わった後で思いついてしまったのです。

ミックスのミックスも出来ないことはない、と。まだ見ぬ地平があるかもしれないな、と。

このミックスサンドの3種類を2ついっぺんに食べる。


ツナたまご

たまごハムチー

ツナハムチー


実に三通りの道が増えたわけだ。

いや、待てよ。落ち着いて見れば全部いっぺんに頬張る、というのもある。

いけるのか?

たとえばあなたが皇族の人ならやめておいた方がよい。

○○流の華道をたしなんでおります、という奥様もやめといた方がよい。

一般人のあなた。

あなたはやってやれないことはない。

お口をあんぐりとあけ、周りの人を何も気にしなければできる。

ミックスサンドを分かった気になっていたが、ここにさらに四通りの前人未到の新しい道筋が示されたわけだ。


火星に行く。

永久機関を発明する。

ミックスサンドセットを3ついっぺんに食べる。


困難なことに思えますが、こうして火星や永久機関と並べてみるととても簡単なことに思えてきたでしょう?


このアイデアはいけるかもしれない。

セブンが気づく前にローソンかファミマに売れるかもしれない。


というか今回はセブンイレブンをチヤホヤし過ぎた。

断っておきますがセブンイレブンから一切の金銭も受け取っておりません。




もちろん第5の選択として、食べない、というのもあります。

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