第41話 「うっくん」な食べ物考察
「うっくん」な食べ物考察
我ながら良い題だな
「うっくん」が良かったな
「うっくん」って何かしら?と考えているそこのあなた。
あなたが「もしかしてあのことなんじゃないかしら?」って考えてるそれ、それです、それで大体合ってます。
そうです、焼きいもを食べている時の、いや、飲み込んでいる時のあのちょっと詰まりながら、喉、食道を無理矢理広げながら、つっかえながら、ぶつかりながら、波風立てながら胃に入っていくあの感じです。
辞令が出て出向が決まってからもさんざんごねて、元の部署をひっかきまわして移動していく。
好きなんだよな、あの感じ。
焼き芋を口に入れて、少しずつ食べればいいのだがなぜかそれなりに頬張ってしまう。
貧乏根性というか、つい戦後のひもじさを思い出してしまう。
それなりに頬張ってモクモクというかウグウグというか、そういう感じで焼きイモを咀嚼せしめる。
やがて唾液と混ざり、また噛むことでイモの細胞壁も崩れわずかなイモ内部の水分も出てきて、口の中でこなれてくる。
口の中でこなれ、充分に甘みを楽しんだな、モトはとったな、と思ったら飲み込む作業にとりかかる。
なのになぜか必ずつっかえるんですね。
さっきはこなれたと思ったのに!
もう固形のものは残ってなかったのに!
でもこのつっかえが焼きいもの魅力ともいえる。食べている間に「うっ」っとなって「グッ」となって目を白黒させて飲み込むところに焼きいもの魅力がある。
ストイックというかマゾというか、自分を苛めている部分がある。自分を苛めてその苦しさを楽しんでいる部分がある。
この場合、芋は昔ながらのほっこり系が望ましい。
ほっこりしているがパサパサはしておらず充分に甘いものが望ましい。
安納芋のような蜜芋というか、焼くと蜜がしみ出してきてべちゃっとするものは好ましくない。それはそれで美味しいのだが「うっくん」にはならない。
それだけで餡の様なクリームの様な甘さと柔らかさがあるのだが、「うっくん」が無いのが寂しい。身体が「うっくん」を覚えている。
「うっくん」はそのまま放置してはイケナイ。
食道の若干の苦しさ、口の中の渇き。
「うっくん」をしてしまった以上、何かを飲まなければならない。いや、むしろこの苦しさとそのあとの飲み物で胸のつかえを流しこむ爽快感のために焼きいもを食べているのかもしれない。
さて、何か飲まなければいけなくなりました。ここでみなさんは飲み物は何をチョイスしますか?
【お茶】
悪くはないですね。緑茶なら74点あるかな。
紅茶やウーロン茶はイメージが沸かないですね。
【コーヒー】
ん〜いまいちですね、ブラックでもそれ以外でも50点前後かな。
【オレンジジュース】
健康思考で良いんですけどねぇ、今それじゃあないんですよね〜。41点。
【コーラ】
バカタレがっ(怒)あっち行っとれ!!
正解は牛乳です。92点です。
イモの乾きの摩擦に対しての牛乳の柔らかさ。そして普通なら甘いものと甘いものが合わさるとより甘いほうが勝ってしまいますがなぜか焼きいもと牛乳だとお互いが引き立て合う。イモのあとの牛乳甘く、牛乳のあとのイモ甘い。イモの渇きと牛乳の潤い。
「うっくん」の苦しさと牛乳の洗浄。
調査したわけではないんですが、おそらく焼きいもと牛乳が合わさった時になんらかの化学反応を起こしていると思いますね。
バナナなんかは一見「うっくん」しそうでしないですね。良くも悪くも腰がないというか。
最近気づいたのですが焼きいも以外ではカップ焼きそばが「うっくん」な食べ物です。
特に液体ソースよりも粉ソースの方がより上質な「うっくん」をお楽しみいただけます。ついつい口に入れすぎてしまうこと、牛乳と相性がよいことが焼きいもと共通しています。
実はきなこ界隈もあやしいな、と睨んでいて今後も調査を続けていく所存です。
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