第27話 もう老後は家庭菜園しか残ってないのではないか、という話

今年の夏、それまで庭に毎年植えていたトマトやナスやピーマンの夏野菜をやめた。

それまでも地表から30センチほど掘り返し腐葉土を混ぜたりしていたのだが今年は50~60センチほど掘り返し、小石を取り除き、肥料を混ぜて1ヶ月ほど寝かせた。

本格的に冬の野菜を作ってみたかったのだ。特に大根を作るのに土をやり直す必要を感じていた。大根は成長の途中で根に小石に当たると伸びなくなると何かで読んだのだ。

そしてそれを信じることにした。

宅地用に整地した土地は地表から30センチほどは真砂土、その下は小石や粘土質の土などが混ざった土で深く掘るのは一苦労であった。

ある程度の深さから土は固くなり、またクワが小石に当たって弾かれる。

手のひらにマメができ、手首はしっかり腱鞘炎?になりながら掘っては小石をとり、また掘っては小石をとる。たった2畳ほどだが、ちょこちょこちょこちょこ作業していると1ヶ月くらいかかったんじゃないかしら。

掘った土は半分くらい小石だった。

小石を入れた方が地面が締まるのかもしれない。

つまり戻せる土は元の半分ほどになってしまい、今度はホームセンターに通いせっせこ腐葉土を買っては畑に混ぜた。

肥料も混ぜた。

それから1ヶ月ほど寝かせ、畝を4本こさえ、大根・白菜・玉葱を植えた。

教えて貰う人もおらずすべてが手探りだ。

畝に黒いシートを張り、缶ジュースの缶をギザギザに切ったようなヤツで種を植える所だけシートを切っていく。


玉葱は種類不明、よく分からずホームセンターでお得と書いてあった玉(すでに小さな玉葱の形になっている)のを買ってしまった。20個入り200円を2袋也。


大根は種を買った。

『トーホク交配

青首大根 秋祭り』

これはホームセンターで大根の中で一番人気と書いてあった。


白菜も同じくトーホク交配

『ハクサイ郷秋60日』

こちらもホームセンターで白菜の中で一番人気と書いてあった。


種の袋にどのくらいの数の種が入っているか表記していない。グラム数が書かれているだけだ。種を買ったことが無いので不安がよぎる。少なかったらどうしよう…もう一袋買って帰ろうか…

悩みつつも一袋ずつ買って帰るとはたして種は沢山入ってました。


1つの畝に2列植えていくとして玉葱2列、大根3列、白菜3列植えることにしたがこのくらいなら種は充分、余るほど入っている。


1つの穴に6~7粒、30センチほど離してまた6~7粒。

植え終わってたっぷり水をやりました。

数日で芽が出て、それから2週間ほどしてから良さそうなのを残してあとは間引く。

この時少しの罪悪感。

『大根すまん』『白菜すまん』という気持ちになる。

秋はまだバッタが多く、美味しいのかまだ小さな白菜の葉を食いまくってくれたがあえて放置。

枯れさえしなければこれから寒くなってバッタは消え、白菜は中から新しい葉っぱが出てきて人が食べるのも困らないだろうという考えからだ。


それから2ヶ月ほど経ち、白菜はまだ心許ないが大根はそれなりになった。

庭に出ることが増え、『葉っぱが繁りまくっているのは栄養の片寄りかもしれないな』などと自分なりに考える時間もまた楽しい。

植物にはリンと窒素と何かもう1個栄養が必要で、それぞれ葉っぱが繁るとか、根が伸びるとか、実が大きくなるとか役目があるらしい。

大根は根っこだからそこに行く栄養より葉っぱに行く栄養が多いのかも。来年余裕があればそこら辺も考えてやってみよう。

11月の終わりに大根を1本抜いてみることにした。平日で会社が休みの日に子供を幼稚園に送るのに庭に出ていて、抜いてみるかという話になった。

どれにしようどれにしようと散々言ったあと見えてる根っこが一番太いのを抜くことにした。(マアソウナルワナ)


子供に収穫させるのも親として大きな楽しみだったのだが意外にも幼稚園年長が大根を抜けず、父自ら抜くことになった。

葉っぱが繁っているのでこれを束ね、葉っぱの生え際を掴む。

おりゃ

おっでも確かに思ってたよりも手応えがある、というかスポッとは抜けないな。

おりゃおりゃっ


抜けました。


(え゛~(汗))


短い。

みじかっ

嫁も気を使って何も言わないが、短い。

というか根が別れている。

小石は取り除いたが腐葉土の中に木のカスみたいなのも入ってたからそれに根が当たったのかも。

それで下に伸びずに太くなったのかもしれないな。

そんな事を考えながら。

嫁が料理に使ってくれました。

葉っぱは刻んで浅漬けに

根っこはほとんどをラーメン鍋に入れてくれ、残りは千切りにして大根サラダ用だというマヨネーズをつけて食べることに。


まず思ったのが、水分がすごい。

みずみずしい。

種類のせいか取れたてだからか分からんが、刻んで水をきっていたのに水分がどんどん出てきてマヨネーズはしゃばしゃばになった。

この食べ方をするなら刻んでからもっと置いといた方が良さそうです。

ピリ辛感はまったく無く子供も食べやすい。

ラーメン鍋の方の大根は、その日入れたのに大部角がとれている。

やはり水分が多いようです。

作って割とすぐに煮込んで2日目くらいの容姿になっている。

こちらもそのままおでんにすると崩れ過ぎてよくないかもしれません。

とはいえすごく食べやすい大根。

満足。

思ってたより土いじり好きだな俺。

老後もたぶん土いじりだな俺。

友達いなくても出来るし(涙)


そしてこれで下ネタだけのヤツじゃあないと分かって貰えたと思う。

平和な誰も傷付けない文も書けるんだからな。ウンコチンコばっかり言ってるわけじゃないんだからな。

NHKの趣味の園芸が取材にくるかもしれないな。

困ったな。

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