第23話 2018年10月20日

世界三大珍味といえば、トリュフ、フォアグラと何かだ。

三大美女はクレオパトラと楊貴妃と小野小町。(珍味は出なかったけど美女は出たな、今日調子いいな)


ではこれはどうだろう。

世界三大 地味に心を削られるエピソード。

どんなんがあるかなぁ

家に刺身醤油が無いのを承知でスーパーで刺身を買って、持ち帰り自由の刺身醤油の小袋を買い物カゴに入れていたんだけどレジのおばちゃんがそれを見逃して袋詰めして、店を出る頃にレジのおばちゃんが追いかけてきて、『すいません、醤油に気がつかなくて』と丁重に謝ってくるから、それならこっちも邪険に出来んわな、と醤油小袋を受け取り、家に帰ってさあ刺身に取り組んだろかい、というところでワサビが無いに気付く………

ワサビ入ってないヤツやんコレ、サーモンやぞコレ

タスマニアサーモンやぞ

脂多いヤツやぞ

とか、そんなんちゃうねん

同僚の結婚を自分だけ知らない×2やん


×2やん


同時期に2人

結婚

皆知ってる

俺知らなかった


こんな短期間にそんなことが起こりうるんか。

星でしか説明つかんなこれ。

NHKのプロフェッショナルに出てた美容師の人が言うてたけども。

そういう星のもとに生まれた、としか思えんぞ


ただでさえハロウィンシーズンでこっちは気が立ってんねん。

人付き合いの下手さが遺伝したんか子供までハロウィンパーティー誘われてへんやんけ


というわけで憔悴しきり、夜勤のご褒美の一杯のすき家の牛丼を、今週は2杯目を食べることにした。


とは言っても週の頭ですでに牛丼を食っている。どうしようかな~と思って席につくと『お好み牛玉丼』というのが目に入った。

というか弱った心に入ってきた。

悪魔のようにドアをノックして、こちらがドアを少し開けた時にはスルリと中に入っているのだ。

マヨネーズ好きなんだよねオレ


容姿としては、まぁお好み焼きですね。

ご飯の上に刻んだキャベツ

牛丼の肉のところ

そこにお好みソースとマヨネーズ

外付けで生卵と鰹節、青のりがついている。

よくぞその組み合わせを見つけてくれた!というよりは旨いもん同士くっつけたら旨くなるんじゃね?という感じかしら。


注文する。

すぐ来る。

食べます。


まず生卵を割ってあの道具で黄身と白身に分けます。あの道具は名前は分からないけど皆さんが思い描いてるヤツです。

それです、それで合ってます。

普段、基本プレーンの牛丼を食べるため、あの道具を使いなれていない。

『苦手なんだよな俺』

『失敗しそうで怖いんだよな俺』

『親譲りの無鉄砲で、子供の時から損ばかりしているんだよなぁ俺』(親は無鉄砲ではありません。)

でもやるしかねぇ

割りましょう。


カンカン パカ

出来た出来た、やれば出来るんだよね俺。

穴から白身だけが下に落ちて上の容器に黄身だけが残る。

この白身はどうなるんだろうと心配だか話を進めましょう。

黄身を丼に乗せます。


と、この時思わぬことが起きた。

下に落ちた白身が落ちたは落ちたのだか黄身と離れていなかったようだ。

黄身の容器にぶら下がって盆の上に落ちた。

ああ、ああ、ああ

それもど真ん中に。

店員の仕事を増やしてしまった。

今日の店員は初めて見る人で学生に見えなくもない、くらいの年齢の女性だ。

田舎から出てきました、という感じであか抜けない。

すまん、と心の中でつぶやきながら丼に戻りましょう。

黄身を乗せた丼に鰹節と青のりをかけて準備完了です。


簡単に言えばお好み焼きの粉もの部分をご飯に替えただけ。しかしご飯に肉とキャベツを纏める気がない。

職場放棄している。

ご飯にリーダーの素質が無い訳ではないのは数々の過去の功績から明らかなのだか、気が合わなかったんでしょうねぇ。

ご飯が居心地悪そうにしている。

ご飯がやる気が無いところに持ってきて、普段表舞台に慣れていないキャベツがご飯に『お前、好きにやれば?』と言われて舞い上がってしまっている。

浮き足だって好き勝手している。

なので箸で持ち上げて食べることは出来ない。最初から最後までかきこむことになる。

怒るだろうなぁスカルノ。

手をつけないだろうなぁスカルノ。

(デビィ・スカルノです)


たとえばキムチ牛丼は牛丼を食べた気になるが、これは牛丼では無いし、かと言ってお好み焼きと比べたらお好み焼きの方が旨いし。

かきこむ度に盆の白身が目に入り罪悪感に苛まれる。

すまん店の人、溢したのは俺だ、俺が悪いんだ。

不思議とタコライスでは頑張れるご飯もここでは最後まで皆を纏めない。

釈然としないままかきこみ、

釈然としないまま金を払う。

店員の名札が目に入る。

『岡本』

そうか岡本か

岡本すまん

盆に白身をこぼしたのは俺だ。

そう思って支払いをしていると岡本と目があってぎょっとしてしまった。

みちょぱ的なコンタクトレンズをしていたのだ。

黒目が大きくなるやつ

普段人付き合いが無いので間近で見たことがなかった。田舎から出てきた岡本がみちょぱ的なヤツをしてたのでビックリしてしまった。

俺が思うよりずっとイケイケなのかもしれない。

田舎者と決めつけてすまん岡本。


店を出て帰りの車で父の遺言を思い出した。

『期間商品に旨いもの無し』

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