第14話 好き嫌い

以前ミシシッピアカミミガメについて書いたが、この亀は小さい頃は動物食が強く、大きくなるにつれて植物食が強くなるという。

毎朝仕事に出る時と会社から帰って来た時に餌をやる。

朝は亀の餌という、シリアルのようなヤツを与え、夕方は糸ミミズをキューブ形に固めたような餌を与えるのだがどうやら亀にも好き嫌い、というか好みがあるらしい。

シリアル(のような餌)には少しだけ干した海老も入っている。これは本当に少しだけで、都合干し海老は毎回貰えない。

小さな頃はシリアルは食べようとしなかった。シリアルをやってもツンとしていて、『知らんし』という感じだった。それまで食べていた餌と違っていたのかもしれない。

今は学習したのか、食べないとやっていけないからかシリアルも食べる。

いつもはシリアル5個

3日に一回程度干し海老も混ぜてやる。これが柿の種3、ピーナッツ1に並ぶ亀の黄金率かもしれない。

シリアルと干し海老を同時に与えると必ず海老から食べる。

不思議と、必ず干し海老からである。

好きな物は後でタイプと好きな物は先にタイプがいる。一見好きな物は先にタイプは何も考えていないように見える。好きなものは後でタイプに『あーあー何も考えず好きなものから食べて、だからいっつも最後にほうれん草のおひたしだけ残って飲み込めずにいつまでもくちゃくちゃすることになるのよ』と蔑まれている。

しかし考えてみると日本には温かい物は温かいうちに、冷たいものは冷たいうちに、という思想がある。

このために料理人はいかにその料理の美味しいタイミングで食べさせるかに苦心し、チンチンに焼いた土鍋をやれ食えそれ食えといい、時に上顎の皮がベロンとなるのだ。

その理論を適用すると好きな物は後でタイプはしっかりこのタイミングを逃すことになる。ビーフシチューの熱々の人参を食べ、しっかり冷めた牛タンを齧ることになりかねない。必ずしも好きな物は後でタイプがインテリジェンスとは限らないのだ。

また、好きな物は先にタイプはまれに残している嫌いな物を免除される場合がある。

この問題はどっちもどっちと言えよう。

しかし亀がそこまで考えているようには見えない。衝動、欲、それは生き物の中で最も美しいものの1つだ。


一方、糸ミミズキューブは好きなようで小さな頃からよく食べたし今も寄ってくるスピードが速い。

餌は頭の大きさと同じくらいの量をあげるといいらしい。

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