第11話 2018年9月1日(土)

ようやくやく夏休みを終え喧騒の日々が落ち着くだろうか、子供の揉み合いの声よりも嫁の金切り声に疲労困憊していたが、これが平常状態ではないから、と自分に言い聞かせやり過ごしていたのだ。


文章に出てこなかったが夏休み中、亀は元気だった。

何度か2・3日家をあけたが帰ってくるとジタバタと手足を動かし水中を泳ぐ。

今より小さかった頃は陸に上がって甲羅干しをしていることがあったが最近はほとんどを水中で過ごしている様だ。陸ではノロマな亀だが、危険を察知して陸から水に飛び込む時、水面から潜る時はなかなかのスピードだ。

太古から生き長らえている生物にはストロングポイントがあるよなあ、と思う。

一発屋という言葉があるが、たった一芸でやりくりしている生き物は多い。シンプルなほど良いように思う。


なついたわけではないのだろうが、餌をくれるというのは理解している、というか覚えている様で庭に置いている亀の水槽の横を通るとスイーっと泳いで寄って来て首を伸ばし、こちらを覗いている。

愛いヤツ。

我が家に来た時からすると2回りほど大きくなっただろうか、彼はミシシッピアカミミガメという種類である。日本のイシガメと違い幼少期のこの亀は甲羅がほぼまん丸で愛らしい。


少し調べてみよう

 動物界

 脊索動物門

 脊索動物亜門

 爬虫類

 亀目

 潜頸亜目

 リクガメ上科

 ヌマガメ科

 アミメガメ亜科

 アカミミガメ属の亜種

1966年に菓子メーカーの景品として配布され、大ブームになる。ペットとして流通し、ペットショップや亀すくいで簡単に手に入るが、遺棄した、または逃げた個体が野生化し、日本固有種のニホンイシガメの生活域を奪っているらしい。また幼少期は動物食傾向が強いが大きくなるにつれ植物食傾向が強くなり、レンコンの新芽を食べてしまうという害もあるようだ。


・日本生態学会『日本の侵略的外来種100』選定

・環境省『要注意外来生物』指定

・環境省及び農林水産省で作成した生態系被害防止外来種リストの『緊急対策外来種』に位置付けられる。


三冠王、という言葉が頭に浮かぶ。

一般に三冠王というと野球の、1シーズンで首位打者、最多本塁打、最多打点の3つのタイトルを手にすることだが、僕にとっての三冠王とはジャイアント馬場率いる全日本プロレスのシングル最高峰のチャンピオンのことで正式には三冠ヘビー級王座という。

PWFヘビー級王座

インターナショナル・ヘビー級王座

ユナイテッド・ナショナル・ヘビー級王座(UN王座)

の統一王座であり、武藤敬司がベルトを巻いた姿は一本を腰に、残り二本をたすき掛けに巻き花があった。

しかし個人的には1990年代の激闘を忘れられない。

スタン・ハンセン、三沢光晴、川田利明、田上明、小橋健太、スティーブ・ウィリアムズ。

自分がプロレスを見だした時にはジャンボ鶴田、天龍源一郎全盛ではなかった。

三沢がハンセン越えを果たし、小橋がグングン力をつけていた。

三沢、小橋の超世代軍、川田、田上の聖鬼軍

、四人合わせて四天王プロレスと言われたが外国人レスラーのスタン・ハンセン、スティーブ・ウィリアムズがいなければあの説得力はなかった。

スタン・ハンセンは背丈が190センチ以上ありその体から放つウエスタンラリアットは一発決まれば試合が終わった。

殺人医師スティーブ・ウィリアムズの必殺技は何といっても殺人バックドロップだった。

急角度で相手を頭からマットに突き刺さした。


自分は両刀使いで新日本プロレスも見ていたが、新日本ではスタイナーブラザーズの弟のスコット・スタイナーの投げっぱなしジャーマンや垂直落下式のブレーンバスター、フィッシャーマンズバスター、また雪崩式フランケンシュタイナーなど雪崩式の技も流行った。

闘魂三銃士が台頭してきた贅沢な時代だった。

全日本も新日本も今よりパワーボムがよく使われていた。


前出のスティーブ・ウィリアムズの殺人バックドロップや三沢がいざと言うときに出したタイガードライバー'91、川田の垂直落下式のパワーボムなど危険な落とし方の技が増えだし、三沢は首で受け身をとる、と言われたがこの時代のレスラーはまだ危険な技ではなく説得力で飯を食っていたと思う。

プロレスは説得力である。


そのうち四天王プロレスは試合終盤は大技を交互に出し会うような展開になっていき、60分ドローの試合も出てきて、プロレスの神様カール・ゴッチが苦言を提していた。

僕としてはスティーブ・ウィリアムズ対小橋健太の試合を全日本のベストバウトとしたい。

若手延び盛りの小橋健太が三冠王者スティーブ・ウィリアムズに挑み、粘りに粘るが最後に殺人バックドロップを3発食らい敗れてしまう。

だがこの殺人バックドロップを食らっても何度も起き上がる小橋に、当時新日本より一足先に放送時間が30分になっていた全日本プロレスの深夜放送を映す小さなブラウン管の前で手に汗握っていた。


と、ここで本題を思い出す。

亀だ。

亀の話をしていたのではないか?


まあいいだろう。

四天王プロレスと闘魂三銃士が同時代に見れて贅沢でした、という話でした。

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