第7話 2018年8月9日(木)

まったく嫌な時期になった。

もう少しで盆休みである。

あちこちから遊びの計画が聞こえてくる。


(はいはいBBQね、分かってる分かってる)

(友達と海ね、そうね いいよね海しょっぱいんだよね、水)

(川でキャンプね、川とキャンプくっつけちゃったのね、セットね、お得感ね)

(あっ旅行ね もちろんその手もあるよね

その気になれば海外も行けちゃうよね)

(地元のツレと飲む 飲むよね~)


予定の無い俺にはキツイ季節だ。

世間話は無数の刃となって俺に降りかかってくる。

(予定?ね~よそんなもん)

とキレ気味にぶつぶつ言っている。


そういえば親も友達と遊んだりしてなかったな。

キャンプも家族で行ったことはなかった。

そのせいか力を出してキャンプに行ってみても何をしていいかよく分からない。

よく分からない上に段取りが悪く、テント等のセットと片付けにかなりの時間を要す。

よく分からないうちにヘトヘトになって帰ってくる。

これではテントを片付けに出掛けたようなもんじゃないか。


友達と行くと楽しんだろうな~

と思う。羨ましくて仕方がない。何をしていいのか分からないが何故か無性に羨ましい。

カレー作るの羨ましく、飯盒炊飯羨ましい。川で魚釣り羨ましく、山で虫採り羨ましい。

歌歌うか?キャンプファイヤーするのか?

男同士で酒を飲みながら友情を深めるか?アヒージョを作っている間に女友達の友達といい感じになって連絡先交換するのか?

アンチョビか?

オリーブオイルか?

エキストラヴァージンかっ!?

と語気は強まる。


ふと我に帰ると、以外とチャラチャラしたヤツが『墓参りっスね~』と言っている。

いいヤツだな、と思う。

信用に足る、と思う。

そのまますくすく伸びていきなさい、とも思う。

反対側から割りと真面目そうなヤツから『俺燻製作るヤツ買ったんスよね~』という声が聞こえてくる。

(はっ燻製?)

かっこええんかっ(怒)

バカタレ

信用に足らん、と思う。

燻製したいか?・・・う~ん羨ましい。

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