Chapter7

 人の集中が極限に達したとき、研ぎ澄まされた五感は果たしてどうなるのか。


 少なくとも源士の場合は、まず聴覚がシャットされる。深い深い海の底へと沈んでいくかのように。またあるいは、一人防音室へと放り込まれたかのように。あらゆる音声は意識の外へと叩きだされ、意味をなさなくなる。


 その度合いは、集中力を増すたびに強まっていく。最後には――


「聞いてんのか、おい源士!」


 右頬に軽い衝撃を受けた。行き過ぎた集中力は霧散し、ようやく意識が揺り戻される。


「ん? ああ……ああ?」


「寝ぼけてんのかよ……」


 一時断線した記憶をどうにか復帰させようと頭を振る。集中が度を過ぎて、周りが見えなくなる。源士にはままあることだが、悪い癖である。


 しかし、今日のような日でもそういう癖が出るとは。


 ――気負いすぎている、な。


 一世一代の大勝負、と言えば極端な話だが、源士にしてみればそれくらいの気の持ちようであった。なにしろ、ここで負ければ、一生バイクに跨れないのかもしれぬのだから。


 一昨日、我が部の誇る唯我独尊なるエースライダー、長尾に挑戦状を叩きつけられた訳だが、資金も時間も、ついでに誇れる腕もない源士と兵吾は窮地に陥った。


 そこに救いの手を差し伸べた一人の少女。甲斐美晴は、何故かというか、やはりというべきか、腕の立つメカマンであった。


「兵吾君、パワーライン一番三番六番、チェック!」


「オ、オーケー!」


「よろしい! 駒井君、イナーシャモーションの最終調整!」


「良し、としましょう。しかし高速域のデータは不足していますから、完成度は七割ってところですが」


「ま、結構! 源士、メットディスプレイのリンクチェック!」


「おう……えーっと」


「えーっと、じゃない! 時間ないのよ、キリキリ働け!」


 今度は後頭部からすさまじい勢いで衝撃を受けた。痛みを感じたわけではないが、思い切りぶん殴られたのだということは分かる。殴った奴は……まあ言わずともわかることだ。


 若干のノイズが入る視界で振り返ると、鬼か悪魔のような形相の少女がこちらを凝視していた。


「殴るのはやめろ。メットがいかれたらどうするんだ」


「今からガチの突きあいするのに、んなヤワなメットなわけないでしょ? 早く報告!」


「イチイチうるさいな……パワーゲージ、レブ、バッテリ……ショットサイト、全部リンクしてる」


 ヘルメットに備わった液晶ディスプレイに表示される計器類に目を通しながら、すべてが正常であることを確認する。ボロくとも競技用プロテクタ。さすがに、少女の殴打程度で破損することはないが、その凶暴さはなんとか改善してもらいと思う源士である。


 茶味がかったショートボブ、鳶色の瞳。女性としての体格的な魅力については、源士の価値観から評するのは憚られるが、ともあれ活動的な印象を宿していることには違いない。その少女こそが甲斐美晴。事の発端、此度の元凶、あるいは諸悪の根源。元を正せば、あの高慢な長尾の鼻っ柱を圧し折ってケンカを売ったのは美晴その人だ。


 源士の声が、メットのマイクを通じて各自のイヤホンに伝わる。頷いた美晴の髪が、大きく揺れた。


「オーケー! 最終チェック……コンプリート!」


 その時、示し合わせたように最終調整終了のブザーが鳴った。これで、以降は誰もマシンに手を加えることはできない。ただ一人、ライダーたる源士がハンドルを握る以外は。


「ふぃー……何とか間に合ったな?」


「ギリッギリだけどね。ふふん、我ながらよくやったわ」


 安堵のため息をつく兵吾。無理もない。美晴の言う通り、良くやったのだ。何しろ、今のマシンはこれまでとは全く違う。フレームと外装を除けば、そのほとんどのパーツは美晴と寛一がどこからか引っ張ってきた出所不明の部品群とそっくり入れ替わっている。外観以外は、およそ別物といっていい出来だ。それを、わずかに一夜でやってのけたのだから、不眠不休の努力は推して知るべし、である。


「しかし、あの長尾という男は大成しますよ」


 仕事を終えたノートパソコンを閉じ、寛一が呟いた。何を思ったか長尾を称賛しているらしい。ただし、その表情は多分に呆れを含んでいた。


「もっとも、彼の才能はライダーとしてではなく、興行屋としてのそれですが」


「そうね、たった一日でよくもこれだけの客を集めったもんだわ」


 こちらも半ば呆れ顔。苦虫を噛み潰したような、さながら出来の悪い教え子を見る教師の目つきである。


「それだけ本気なんだろう? あいつは……本気で俺たちをここから追い出そうとしてるのさ」


 そのための証人は、多い方が良い。そういう目論見だろう。長尾景樹は自己顕示欲の塊のような男だ。それだけに、考えていることは至極予想しやすく、手に取るようにわかる。


 調整を終えたヘルメットを脱ぐ源士。カメラ越しの視界から解放された源士の前に広がっている世界は、見慣れていながら、しかし異質なものだった。


 ひび割れたアスファルトも、破れかけたフェンスも、くたびれたパドックも、すべて少しも変わらない。源士が修練を続けてきたいつもの練習場。


 だが、明らかに違うものがある。


 フェンスの向こう側にも、色あせたスタンドにも、パドックの余剰エリアにも。


 群がる人、人、人。あり得ない数の観客が集まっていた。


 ほとんどが放課後に暇を持て余した学生だろう。物見遊山から黄色い声援を送る女子生徒――遺憾ながら長尾の女子人気は相当ある。誰も本性など知りはしないだろうが――、他のクラブの連中までうろついているあたり、この試合の関心の高さが伺われる。


 ざっと見回したところで、この学校の生徒の半数以上が集結しているらしい。


「やっべーぞ。これで負けたら俺たち笑い者だ。クラブどころか学校にも来れねえぞ?!」


「キミたちはまだマシでしょ? どうせ今でも評判ド底辺なんだから……私なんて裸で校内一周よ。転校早々そんな真似して、私は痴女か」


「さらーっとディスられたことはまあいいとして……おまえでもネガティブなことを言うんだな? 甲斐」


 昨日からずっと、口角を吊り上げた不敵な笑みばかり浮かべていた美晴が、どこか浮かない顔をしているのは、何故か面白い。


 こんな奴でも、人並みに感情の浮き沈みくらいはあるのか。まだ何もかも信頼できるわけではない。それでも、いくらか親しみくらいは湧くというものだ。


「あん? 私がいつにネガティブになったって? ああん?」


「凄むな凄むな……」


 2回目のブザーが鳴った。これはメカニックスタッフ退去、それと同時に、ライダー同士の顔合わせの合図だ。


「それじゃあな。頼んだぜ、源士」


「ん、任された」


 ハイタッチをして、兵吾がスタッフ区画へと走っていく。こわばった表情は緊張を隠せていないが、絶望しているわけではなさそうだ。


「僕は君を信用しているわけじゃない。が、期待はしておこう」


「そうかい。一応聞いとくが、どうしたら信用してくれる?」


「……さあな」


 目すら合わせることなく、雅丈は去って行った。不穏だ。まだ彼が、どういう男か完全に把握しきれていない。少なくとも、お互いに心を許しているわけではない。認められたからどうと言うわけではないが。


「さってと、アタシたちも挨拶行くわよ」


 二人が去った後で、腕組みする美晴が言う。バイクに跨ったままの源士が降りるのを待っているらしい。


「お前もか? 俺だけで良いはずだが」


「一応、チームの監督だかんね」


「それ、いつ決まった?」


「アタシが決めた。今決めた……よっと」


「うわっ」


 灯を入れたままのマシンからのそっとと降りると、急に美晴に飛び掛かられた。と言っても、嬉し恥ずかし如何わし……という類の者では当然なく、単純に身長差の問題だろう。源士の肩に手を駆けると、耳元に顔を近づける。


「あれ見て、あれ」


「ええ? ……妙な連中がいるな……学校の関係者じゃない、な?」


「ご明察。あっちが月間ブラストの記者、あっちはサンテックス……チューニング屋の営業、あっちは……顔見たことないけど、多分同業者」


 と、源士にしか見えない位置で彼女が指差す客席には、確かにおよそ学生とは言い難い人々の姿が見て取れた。初老のハンチング帽をかぶった男、妙齢の女性、若いが、学生とは思えない金髪の男。最初の男はご丁寧にカメラまで持っている。なるほど、そういうことか。


「長尾は俺なんか見ちゃいない、ってことか」


「かもね。今日の対決をこっそり記事にでもしてもらうつもりなのか。他の連中も長尾の関係者でしょ」


「……面白くないな」


 心の底で得も言われぬモヤモヤとした感情がうごめいている。不愉快な指向性の感情だ。


「へえ? キミでもそんな気になるんだ?」


「そう思うか?」


「まさか、キミの心に闘争本能があるのは知ってる。だから、アタシはキミを選んだ」


 美晴が微笑む。彼女は源士を信じているのだ。




***




 さて、顔見せである。慣例に従って、試合直前にライダー同士が審判の前で相対し、ボディチェックやルールの確認、そして正々堂々と勝負することを宣言する『騎士の誓約』を実施する。


 見届け人として、ライダー各自は一人だけ帯同を許可される。往々にしてそれはチーム監督の役目だが、今回はある意味で部の敵役となる源士である。帯同者にはすでに指揮官のように振る舞っている美晴が就いた――実際、彼女がマシンの改造から作戦立案まですべて陣頭指揮を執ったのだが――。


「逃げずによく来た。というべきかな?」


「そいつはどーも……逃げ出すほどのことじゃねぇよ」


 相変わらず、まず嫌味を言わなければ始まらない長尾である。いちいち受け流すのも癪なので、こちらも多少は嫌味らしいことを返してみるが


「そうだな。ここで逃げ出されては、僕の引退セレモニーが台無しになる」


 やはり通用しない……引退セレモニー?


 すると、やおら長尾の付き人がマイクを差し出した。


 受け取った長尾は、微笑をたたえて客席に手を振る。


「今日この場に集ってくれたみんな。試合の前に、僕の話を聞いてほしい!」


 客席がざわめきだした。と同時に、件の記者たちも、長大なカメラのレンズを長尾へと向けた。


「引退セレモニー……はぁ、そういうことね」


 どうやら美晴は何かを察したらしかった。


「何がそういうことなんだ」


「あいつの着てるスーツ、見てみ」


 平生のライディングスーツには変わりない。毎日クリーニングでもしているのかと思うような純白のそれだ。が、今そのスーツに学園の名前やシンボルはなく、代わりにいくつかのデザインロゴが肩口や胸に配されている。あるものは著名なバイクメーカーのもの、あとはタバコに、飲料水メーカーのシンボルも。


「まるでプロライダーみたいだな。スポンサーマークなんかごてごてと付けて」


「だからそういうことよ。あーアホらし。こんなとこで自慢しなくてもねえ」


「今までこのクラブで様々なことを学ばせてもらった! それに、いくつかの結果も残せたと思う!」


 長尾の演説はなおも続く。慣れている。いっそ、自らに酔っていると言ってもいい。大した役者ぶりだ。


「みんなの声援にも本当に感謝している。だが、僕にはもう次の展望がある。持てる能力のすべてを叩き付けることのできる場所……さらなる高み……そう、僕はここを辞して、プロになろうと思う!」


 観客に向かい両手を大きく広げる長尾。高らかに宣言すると、スタンドは一気に沸き上がった。観客も観客で、その場の空気に呑まれている節がある。


「なに、あいつそんなに人気あるの?」


「まあ娯楽の少ない町だからな。みんな餓えてるんじゃないのか……それはそれとして、プロとはな」


 勿論、長尾はアマチュア大会でそれなりの成績を収めているから、スカウトが来ることもあるかもしれない。よもやとは思うが、そうでなくても資産家の息子、プロ参戦にチームの一つや二つ立ち上げるのは造作もないことだろう。


 そんな長尾の自尊心も十分に満たされたらしい。一息つくと、満足したような笑みで手を振っている。試合はこれからのはずなのに、もう今日の仕事はやり終えたといったような表情だ。


 源士にしてみれば、すっかり蚊帳の外に置かれている気分である。学園のスター長尾景樹にこれから倒されるモブ一名。立場としてはそんなところだろう。下手に期待されて騒がれるのも面倒だから、このまま空気のような存在でも別にかまわない。などと源士などは思っているが、横にいる少女は、まったくもってそれが不満らしい。


 先ほどからずっとそわそわしている。時折渋い顔をするのも確認済みだ。


 しかして、長尾の満面の表情を見たあたりで、遂に我慢できなくなったらしい。


「もう無理、限界」


 言って、美晴は長尾に歩み寄る。半ば強奪する形で、彼の手からマイクを引っ手繰った。


「ご高説ごくろーさま。聞いてて欠伸が出たわ」


「はっ、負け惜しみか? 当然だ、君らと僕の間には隔絶した壁があるからな」


「うーん……ま、いいわ。今のところはね。ところで、一個だけ聞きたいことがあるんだけど」


「どうぞ? 何を聞かれたところで、僕の勝利に揺るぎはないがね」


「じゃ、遠慮なく。今日、アンタに勝てば、源士もプロで通用する……ってことでOK?」


 誰がそんな言葉を想像しただろう。だが、黙っていれば上品に見える彼女の薄い唇は、間違いなくそういう風に動き、増幅された音声はスピーカーを通じて場内に響き渡った。


 一瞬にして静まり返ったスタンドが、にわかにざわめき立つ。


『アイツ何言ってんだ?』


『もしかして、あの山県って奴、結構やるの?』


『めちゃくちゃ弱いって聞いたけど』


『でもあんだけタンカ切ったんだぜ。ひょっとすると……』


 スタンドから聞こえてくる声でもわかる。場の雰囲気が、明らかに変わった。先ほどまで長尾の一人舞台だった会場が、今は美晴のビッグマウスによりどちらの味方とも言えない雰囲気に変質している。少なくとも、アウェイという空気ではなくなったのだ。


「言霊ってものがあるとしたら、こういうことを言うのよねー。言うだけならタダだし、便利便利」


 美晴はマイクを遠ざけて、源士や長尾にだけ聞こえる声で呟いた。まったく悪びれていない。むしろ今の状況を楽しんでいるように見える。


 しかも、これも狙っての事だろう。長尾の顔がしっかりと紅葉しているあたり、彼女の挑発が十分過ぎる程効いているのだ。


「そろそろ止めとけよ。お前が喋りだすと、試合が始まる前から血みどろになりそうだ」


「試合はもう始まってるわ。舌戦も心理戦のひとつってね」


「そう思うなら、自分の身は自分で守っとけよな」


 頭に血が上りかけた長尾が拳を握って半歩ばかり近寄っていたのを、美晴は気づいていただろうか。美晴を庇うように、源士は二人の間に割って入った。


「弱い犬ほどよく吼える。負け犬根性のしみついた貴様に、万に一つも勝てる見込みなどあるものか」


 眉間に深く刻み込まれた皺は、いっそ禍々しささえ覚える。その険しさを湛えた長尾の笑いは、怒りと嘲りが入り混じって歪んでいた。


「何度も何度も一触即発の空気作りやがって。長尾も、こっちから煽っといてすまんがどうせこれからやり合うんだ。ここから先は槍で勝負をつけようぜ」


「きっ、貴様も……!」


「あ、不味ったか?」


「ばーか、火に油」


「あの~、お取込み中すみませんが、そろそろ『宣誓』を……」


 いつ殴り合いに発展してもおかしくない状況で、審判を(半ば無理やり)任された下級生が申し訳なさそうに間に入った。よくやったぞ下級生、名前は覚えていないが……


 『宣誓』とは、有体に言って選手宣誓そのものであるが、ことに誇りと格式を重んじる騎士の遊戯を礎に発展してきたスポーツである。儀式のように、厳かに行うのが通例となっている。


 練習試合や私闘とはいえ伝統が蔑にされることもない。山県はひとつ安堵の溜息をついて、長尾はいつ掴みかかってきてもおかしくない怒気を舌打に乗せながら、主審の前で向かい合った。


「こほん、えー、汝らに問う。汝らが正義を槍として、汝らが誇りを鎧とし、その心身を賭した決闘の勝敗は神聖にして不変なるものとする。この理に従うならば、互いに槍を掲げるべし……」


 主審が定番の口上を棒読み気味で読み上げた。


 定例に従えば、ここで選手が互いの槍天高くを掲げるのが常である。


 それに従い、源士は右手に持った槍のイミテーションを空に向かって突き上げる。が、長尾の冷え切った双眸はそれを見るなり、そのまま自分のマシンへと歩き去って行った。


「ふん!」


「長尾先輩! あー……えーっと、どうします山県さん。ルールだと反則……」


「いいさ、どうせ誰も気にしちゃいない。ほら始めようぜ」


 惑う後輩を宥めると、試合準備を促して源士も宣誓場を後にした。


 マシンへと戻れば、既に試合開始までわずかに三分を切った。後はマシンに跨り、火を入れるのみである。


「ふふん……よしよし、あいつ大分頭に血が上ってたみたいね」


「お前な。試合前からあんなに煽ってどうするんだ」


 終始ケンカ腰だった美晴は、とにかく長尾を怒らせることに腐心しているように見えた。見るからに悪役のそれだ。宣誓の言葉にもある通り、ブラストは正義とか誇りを信奉する競技の末裔だ。そんな中で美晴のそれは、正々堂々からはかなりかけ離れた態度である。


 だが、当の美晴は悪びれるどころか、まだ物足りないという風にも見える。


「クリーンファイトがしたいと思うなら、もっと実力をつけることね。正直、今の私たちの実力じゃ、これだけやって勝敗は6:4ってとこなんだから」


「あれだけマシンに手を入れてもか?」


「マシンは勝敗の一要因に過ぎないの。それに、性能で言えばまだ分が悪い。こっちは練習車のチューンナップに過ぎないのに、奴が使ってるのは型落ちとはいえワークスの車両よ。そこに彼我の技量差を掛け合わせて、やっと6:4ってとこ……」


 そう苦々しく呟く美晴を見て、源士はようやく彼女の懸念を理解した。少なくとも源士は、出来る範囲の努力はしたと思っている。寝る間を惜しんでマシンの改造に注力し、その性能と特徴を頭に叩き込みはした。だから、それで負けたのなら仕方のないことなのだと、そんな気持ちが心のどこかに巣食っていたのかもしれない。それが負け犬根性だと美晴に言われれば、反論の余地は一切ないだろう。


 彼女は、とことん勝利のみを突き詰めている。負ければ全てが台無しになる。勝つ以外に至上はない。そういうシビアさが、今の美晴には見える。


 今の今になって、源士は一つ、自分の甘さと言うものに気が付いた気がした。


「やっぱ、お前ってすごいのかもな」


「でしょ? そう思うなら勝ってみせなさい」

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