3.理解不能 意味不明
夏祭りに向かう人たちは浮き足立っている・・・俺?俺には関係ない。西條君に聞いてみたけど、興味がないとばっさりだったね。子供らしからぬ・・・
まあ、俺も小学生の時は爺さんと母さんに連れられて行ったりもしたけど、たしかに幼稚園の頃と比べたら魅力は感じなくなっていた。それがあのおませさんなら尚更だろう。
・・・今度半禁句化してるエプロンと一緒に服でも買ってくるか。毎日同じような服ばかりじゃつまらないし・・・あくまであの子がね!別にワンピースとか似合うだろうなとか、成長の仕方によってはメイド服とか普通に着られそうだなとか思ったわけじゃないから!断じて。猫耳買っちゃおうとか本当に思ってない。オカネタイセツ。
「浪花、私用事あるんだけど。」
はっきり言ったらどうなのよ
俺の無言の頷きを承諾ととって華麗に去って行きました。ちなみにその彼は三年の先輩だ。垂れ目のちょっと愛嬌のある人で、彼女を溺愛しているらしい。確かに、俺の好みではないにしろ可愛いんだろうから、わかるよ。
ま、誰も俺の好みなんか興味ないか。
「浪花。帰り付き合え。」
王様登場。俺に拒否権はない。
「わかった。」
・・・あれ、方向的に昇降口じゃありませんね。無言で王様に付き随う下僕はなぜかそのままトイレに押し込まれた。
「お前さ、無駄に髪質いいよな。癖はあるが。・・・おい、顔見せろ。」
トイレに押し込んでまですること?いつもは空き教室で怖いもの見たさで前髪掻き分けられて、気持ち悪いだのなんだの言いながら暴力の流れだ。たしかにこの場所は例の教室に近い、人通りの少ない場所ではあるけど・・・いや、それ以前に便器に顔突っ込まれそうなのが、ね。
「・・・醜い。」
率直な意見をどうも。しかしそう直球に言うくらいなら見なきゃいいと思いますがね。
俺がいま何より恐れているのは、この顔をあの子に見られ、嫌われること。自分でも怖くて鏡を見られないのに、こいつは強引に覗き込む。
「バケモノ。」
接吻・・・唇が触れ合うこと。主に恋人同士で行う。なぜか辛辣な言葉の後、鮒羽はそれを俺に施した。叫びたい衝動がある。あるが、とにかく歯を食いしばって耐えた。気持ち悪さに鳥肌が立つ。だからと言って、出口の方に鮒和がいるのだから、逃げるにも逃げられない。
「やめろ。」
やっと顔が離れ、そう言った途端に暴力が開始される。もしこの場に誰か来たら、どう思うだろう。個室のはずなのに一室だけ地震でも起きているようなありさまだったら。
「この辺にしといてやる。さっさと帰れ。」
ボロ雑巾もかくやという俺は、鮒和が出ていくのを見送って、口を漱いだ。気色悪いなんてもんじゃない。女の子になんてやってみろ、裁判沙汰 なんだからな!俺に金がないだけなんだからな!ほんと、嫌いで気色悪いなら構わなきゃいいのに。
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