28.ちょっとした?やらかし
・・・だからって!だからって!だからってっ・・・ 俺のバカ!
朝起きると、八重川さんは真っ赤になって唇を噛み締め、丸くなっていた。
むう。いつのまにか抱き付いてしまっていたようで。もともと昔から抱き枕常備だったツケでしょうか。かさばるし、寝られないわけじゃないから置いてきたが・・・
「ご、ごめん!」
「謝って済むなら警察はいらん。報復もおこらん。」
どうしよう。本格的に怒っている。暫く宥めすかしても臍を曲げたままのやっさん、ダンゴムシよろしく丸まったままうんともすんとも言わなくなってしまった。
「八重川さーん・・・あ、昨日のクッキーありますけど。」
「食べ物で釣るな!」
言いつつ結局食べている。実は彼の仕送りの殆どはお婆ちゃんかららしく、八割型お菓子である。なぜ、ばら撒かれないかって?それはほら、やっさんが大好物だからです。購買にはお菓子も売ってないので。
「・・・あの、許してくれます? 」
「うーん、どうしようかな。」
「ちょっと!僕抜きで朝から何やってるんですか!」
微妙に和解ムードが漂い始めたところでバーンと登場深琴君。
「おはよう、 深琴君。」
「おはようございます・・・じゃなくて!八重川さん、 あなた謝罪をいいことに、浪花さんに何をさせようとしていたんですか!? 」
地味に舌打ちするやっさん。何を考えていたんだろ。
「全く、昨日もふらふらで帰って来たと思ったら、八重川さんとかもう浪花さんに抱きついて、いきなり服脱ぎ始めるんですから・・・あれ、後半は冗談ですよ?」
怒りをかみ殺すやっさん。ちょっとタチの悪い冗談だが、それでも可愛いのだこの子は。気まずい空気まで一掃してくれた。
「さ、ご飯の支度してくださいよ。」
深琴君が冷たい・・・けど可愛い!
朝練から戻りご飯を食べると、機嫌直してくれました。
それで、今日から深琴君は特訓の時などに見学に来ることになります。・・・まあ守る対象がいた方が身も入るってものですが、ちょっと恥ずかしいですよね、結構な醜態晒したりするんで。
あ、そうそう。あまり変化がなくて忘れていたが、勉学の方はと言えば。よくわからないが高度なことをやっている、らしい。教える人が何人もいて、その説明がどの人もわかりやすいからかそこまで難しくはないが、なんていうかこれが結構楽しかったりする。
で、ここ出た後も大学入るまで一年のブランクがあるわけだから、その間を埋めるものが欲しいとお願いしたら、喜んで引き受けてくれました。取り敢えず安心。
で、こっちは運動の方。前髪邪魔・・・故に、本格的に授業に入るときには星型のなんとも可愛らしいの一つと、りぼんのついた愛らしいのでとめるのだが。いやさ、買い直すのもばからしくて結局そのままなんだが・・・まさかの深琴君到来なんていうことになってしまうとは。
それに、ついに教官にも言われてしまった。現実には、ピンで留めている余裕などない、と。
うっかり口を滑らせ、本格的に護衛が始まるときに切ると言ってしまったのだった。
実際には深琴君が見ていることなど忘れてしまうほどハードだったということだけ伝えておこう。
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