25. 捨てる神あれば拾う神あり

黒部、松永卒業及び久松、浪花、八重川、谷崎C組脱出。勇子さんは方針転換が遅かったため、神田はまだ熟しきれていなかったため、橋下さんはC組最後になるためにテストを放棄、残留になった。

で、嬉しいのか寂しいのかわからない祝賀が開催され、そこで衝撃の事実が発覚した。

霜月筋肉学校を卒業した者は、年に数回講習を受けることを義務付けられている。まあつまり、散り散りになったとしても時期がある程度限定されるため、特に申し合わせたりしなかったとしても会える可能性は高いそう。

「寂しくはなるけど、もう会えないわけじゃないもの。だから、橋下さんもちゃんと卒業して。きっと前いた人たちにも会えるわ。」

「ちゃんと、わかったよー。ゆーちゃん。外出てからも、がんばってー!」

「浪花、泣いてる?」

「り、料理が辛すぎただけですよ!黒部さんこそ、その光ってるのなんですか!」

と、デザートを頬張りながら言う俺。

「よし!全員ちゃんと卒業したら、そんでまた集まったら、古都にでも行くか!」

「蒲原?なぜ古都。」

「卒業旅行といえば古都だろおう、谷崎!他にどこがある?」

「俺、てっきりアスレチックに行くとか、トライアスロンに参加するというかと思った。」

「お前どんだけ蒲原に毒されてんだよ。」

やっさんに呆れ半分言われたが、久松は同意してくれた。

「あ、確か神田くん一年よね?なら途中でどこかに編入するなら、二年でそれこそ修学旅行・・・・」

「あー!浪花お前、行きそびれるじゃん!勇子さんナイス!途中脱出して戻る?」

「あの、先輩。たぶんちょっとでも離れたら戻せなく・・・」

「は、ならないよ。それに頼めば学院が街中にある道場紹介してくれるから、技量も落ちないし。」

「八重川もちゃんと勉強したんだな。 ここ出ても、大丈夫だな。」

「・・・黒部さん。」

ちょっと寂しそうなやっさん。

いや、それより修学旅行。あれほど気が重かった修学旅行。小学校も中学校も悲惨だった・・・ううん。ずっと鮒羽に連れ回されてた記憶しかない。しかし今は変なスイッチが入っているときていて、暴力で済まされない可能性大。体は鍛えても、服は足を生やして逃げてはくれないし。そもそも深琴くん関係でなければ手をあげることもできないし。ほんと、よかったとしか言いようがない。

「そういうことだ浪花!安心してちょっと休暇を・・・」

「いや、俺は行きたくないんです。ここにいられてよかったと思うくらいなので。」

「まあ、行くってんなら俺も行かなきゃだし面倒だから助かるが。」

「そうだな。それに近場の宿屋代とか掛かるし、忍者ばりに監視するとなると・・・」

あれれー。なんか久松とやっさんがおかしいよ?まあいいか。とりあえず行かないのだから。

「ははは、あの高校の修学旅行それこ古都だったはずだから、みんなで行けばいいか。」

穏やかな時間が過ぎ、その翌朝、松永さんと黒部さんはこの学院を後にした。

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