源江戸日記(弟四部)三郎89 その通りで御座りますと言うので、雨を降らす方法でも教えてやろうと言うと、そのような事が出来るのですか、ご老中は陰陽師もなさるのでと言うので、現地に行って


源三郎江戸日記(弟四部)89


その通りで御座りますと言うので、雨を降らす方法でも教えてやろうと言うと、そのような事が出来るのですか、ご老中は陰陽師もなさるのでと言うので、現地に行ってからのお楽しみ、

じあなと言うと、承知しました、それでは明日迎えにきますと言うと、二人は帰って行ったのです、おみなが本当に雨を降らすのですかと聞くので、そんな事出来るわけないが雲を消す、

事は出来るぞと言うと、


それを見せてくださいと言うので、それでは見ておれと外を見て良い天気じあが、あそこに雲があるじあろう、右の小さい雲じあと言って、右手で指差して、わけの分からぬ事を言って、

指差していると少しづつ薄くなり、その内消えてしまったのです、おみながすご~い、殿は神ですかと愕いたのです、伊衛門や山形達も驚いています、湯上りの酒を飲み、ニヤ、ニヤ、

笑うと、


何か仕掛けがあるのですね、教えて下さいと言うので、仕方ない教えてやろう、みんなはじ~と雲を眺めた事ないので、気づかないのじあが、雲は消えたり出たりするのじあよ、雲は、

水蒸気が密集して出来る、特に海の上に発生して風で流されるわけじあ、海水が熱せられて水蒸気となり空に上ると、冷やされて雲になるわけじあ、しかし快晴じあと太陽で熱されて、

水蒸気にもどり拡散する、


それが又集まり雲となる、水蒸気になる量が多くなると更に密集して黒い雲になり、やがて水となり地上降り注ぐわけじあと説明すると、おみながそうか消え易い雲を見つけて指をかざ、

していればやがて消えるわけですねと言うので、そういう事じあ簡単な理屈じあろうと笑うと、どうして気づいたのですかと聞くので、子供の頃野原に寝そべって空を見ていたら気づい、

たのじあよ、


みんなに消すことが出来ると言って、やったらビックリしていたので、訳は教えなかったのじあよ、今日はそれをばらしてしもうたわと言うと、殿は異変は直ぐに気づくのですねと酌を、

するので、おみなは少しふっくらしてきたなと言うと、いやです、美味しい物を食べているので肥えたのですかねと言うので、嘘じあよと笑うと、まったく、意地悪な殿様とふくれたの、

で、みんなが大笑いしたのです、


ギヤマンの湯のみに冷たい水を入れるとギヤマンが曇るじあろう、あれはギヤマンの回りの空気が冷やされて雲になり、そのまま置いておくと底に水滴が出来る、普通の湯のみでは曇り、

は分からぬが、底が水で濡れるじあろう、あれは中の水がこぼれるのではない、これが雲の原理じあ、特に梅雨時になると空気中に水分が沢山溜まるので、雨が降りやすくなるのじあよ、

と言うと、


なる程何でも理屈があるのですね、でも普通の人はそんな事考えもしないですよ、山形そうであろうというと、ハイ、考えた事もありませんでした、殿は好奇心が大盛なので奇策を思い、

つくのですねと言うと、おみながそれでは下で大釜に水を入れて沸騰させて水蒸気にして空に上げれば、それが雲になり雨も降らす事が出来るのではと言うので、その通りじあよ、しか、

し相当大きな釜が必要じあなと言うと、


今はできなくても何百年後は可能になりますよと目を輝かせたのです、伊衛門がお方様も段々殿に似て、色々気がつかれるようになりましたなと言うので、その内に追い越しますよと酒を、

飲み干すので、それは頼もしいと源三郎が酌をすると、エヘンと咳払いをして、潅漑用のため池を作るのでしょうが、それを簡単にするのは火薬で爆破して大きな穴を作り、その土で堤を、

築くのですね、


用水路は2間下に堀り池の水が流れるようにするが、随分下なので、水車で水を汲み上げるようにする、こうすれば池の大きさが倍になり、堤の土は運んでこなくても良いので金寸は少し、

しか掛からず、手間も随分すくなくなると言う事で御座りますなと言うので、源三郎がすご~いと手を叩くと、みんなも、驚きましたと感心するので、どうじあ、源三郎参ったかと言うの、

で、


手をついて恐れ入りまして御座ると頭を下げると、またもや、みんなが大笑いしたのです、水車は足踏で回るようにするか、心棒を工夫して歯車をつけて牛か馬に引かせて回すようにして、

置けば、水の流れが少なくても田に水がいれられる、こうしておけば完璧じあな、水車の動力は精米、脱穀にも使えて一石3丁じあなと言うと、工夫次第では倍の石高になるのは簡単なの、

ですねと頷いたのです、


それでは巡察に行こう、山形博打場はイカサマをやっていないのなら見逃してやれ、ごろつきは叩き潰してやれと言うと、承知しましたと言って出掛けて行ったのです、女将にこの城下、

の大店はと聞くと、松屋にございます、米問屋、飛脚問屋、この温泉に旅籠と料理屋もやってなされます、良い旦那で町の為にもつくされていますと言うので、悪人はおらぬと言う事じ、

あなと言うと、


いますよ女郎屋をやっている政吉は、鬼の政吉と言われていまして裏で高利貸しをやっています、博打場も子分にやらせているそうです、時々手入れがあるそうですが胴元は子分なので、

子分が捕まりますが、又違う子分にやらせているそうです、それでは金が払えなくなると女郎屋で働かせているわけかと聞くと、そうです、干ばつになり暮せなくなると金を貸しその、

肩に娘を取るそうですといったのです、


町奉行は何をしているのだと聞くと、沢山の賂をもろうているそうですと言うので、藩の重役もからんでいるのかと聞くと、分かりませぬが町奉行は次席家老の田所様とは親しいそうです、

松屋とも親しいですよと言ったのです、松屋も賂は渡しているのじあろうというと、何もしないと藩との商いを出来ませんから仕方ないのですよと言ったのです、なる程何処にもネズミは、

いるのじあなと言ったのです、


それでは行こうかとおみなを連れて町に出たのです、温泉街はそんなに大きくありません、城下の繁華街に行きいつものとおり居酒屋に入ったのです、酒と肴を頼みおみなと杯を傾けた、

のです、さすがに巡礼姿で飲む人はいないようなので、女中にお遍路の者は酒は飲まないのかと聞くと、着替えて飲むのですよ、巡礼姿だとバチが当たりますよ、半分は旅の方ですと言、

ったのです、


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