源三郎江戸日記(弟四部)90 店に男と女が入ってくると、女中が兄ちやんどうしただと聞くと、ちょっと、わけありじあ二階を借りるぞと言うと、草履を懐にしまい椿さあと言って手を引き二階に上


源三郎江戸日記(弟四部)90


店に男と女が入ってくると、女中が兄ちやんどうしただと聞くと、ちょっと、わけありじあ二階を借りるぞと言うと、草履を懐にしまい椿さあと言って手を引き二階に上って行ったのです、

あれは女郎だな足抜けでもしたのかと言うと、おみなが何か訳ありですねと酌をしたのです、3人のごろつきが入って来て、おみち清吉が女を連れて来ただろう何処にいると言うと、知ら、

ないよと言うと、


隠しても無駄だおい家探ししろと言うので、こら人が飲んでいる、席に何をすると言うと、こいつの兄貴は女郎を足抜きさせやがったんです、お武家さんには関係ない事です邪魔しないで、

くだせいと言うので、お前達みたいなごろつきが痛めつけたのじあろう、その者はわしの知り合いじあ、渡すわけには行かんと言うと、なにおと匕首を抜いたので、おみなが抜く手も見せ、

ず切り払うと、


ぐわ~と言って匕首を落とし手から血が流れたのです、ばかものめ、表に出ろと三人を引き連れ出して転がすと、後の2人も匕首を抜いたので源三郎が仕方ないと刀を抜き、えい~と切り、

下げると匕首が真ん中から切れたのです、こんどはその首が胴と離れるぞと言うとひえ~と言って尻餅をついたのです、そこに十手を持った目明しが来て、どうしたんだと聞くと、ごろつ、

きが、


松蔵親分こいつが足抜きをかばうんですと言うので、お武家さん足抜きはご法度です、引き渡してくだせえと言うので、それはならぬ、大方お前も政吉から賂を貰うているのじあろうと言、

うと、お上に逆らうと為になりませんぜと十手を突きつけようとしたので、上段から切り下げると十手が真ん中から切れて、ポトリと半分が落ちたのです、わしは諸国巡察視の村上源三郎、

じあ、


奉行は治世不行き届きにつき切腹にするぞ、政吉とこの者達をひっとらえて牢にいれて置けと朱印状を見せると、ヘヘ~と平伏して三人に縄をうち連れて行ったのです、松蔵が奉行に知ら、

せると、ばかもの、港に幕府の軍船が入ったので騒ぎ起すなと言うておいたはずじあぞ、まずい、山上手代をつれて政吉達をお縄にして牢にいれろ、ヘタすると全員切腹じあぞ、松蔵お前、

も牢に入っていろと言ったのです、


源三郎が2人を呼んできなさいというと、二階に行き呼んで来たので座らせて湯のみをもってこらせて、女中が酌をすると、まずは飲めというと、ごくごくと飲み干して、見逃してくだせ、

えと言うので、お前達は知り合いかと聞くと、ヘイ、同じ村の者です、椿のおとっさんが怪我をして働けなくなり松蔵に1両借りたら、あっと言うまに30両になり、椿を肩に取られて女郎屋、

で働かされたのです、


客を取るのを嫌がったら、毎日折檻されたのですと、手や肩を見せると、ミミズ腫れになっています、何と無体な事をと言って、松吉は捕らえて牢に放り込んだ、お前は自由じあ、これで、

キズの手当てをするが良いと10両を渡すと、有難うございます、お役人様は仏様ですと言うので、さあ医師に見せて薬を塗ると良いと言って送り出したのです、女中が兄さんを助けてもら、

い有難う御座いますと言うので、


村の暮らしは大変かと聞くと、去年は干ばつで、米が半分しか取れず、藩は税を免除して下されたのですが、椿ちゃんのおとっさんが、山クジラを追いかけて、がけから落ちて怪我をして、

治療代を借りたのです、それが高利で返せなくなってこの前女郎屋に連れていかれたのですと言うので、そうか、干ばつではどうする事も出来なかったわけじあな、わかった、その村も何、

とかしようと言うと、


お願えしますだ、村では食うもんがなく、芋を食うて命を繋いでいます、給金は全部渡していますと言うので、わかったと返事したのです、それでは勘定だと言って1両を出すと、こんな、

大金ではお釣りがありませんと言うので、釣はお前にやるぞ、おとつさんに渡してやれと言うと、施しは困りますだと言うと、それでは明日村に行くので酒と岩魚を馳走するように言う、

てくれと言うと、


わかりましたお待ちしていますだと言って、親父を呼びこれは飲み代じあと2分を渡して釣はいらぬと言うと、有難うごぜえやすと受取り、おみちよかつたな店はいいから、おとっさんに、

持って帰ってお上げと言うと、両替して渡してきますと喜んだのです、才蔵が入って来て、政吉がもっていた賂の書付です、町奉行に月に50両渡しています、女郎屋の蔵には3500両があ、

りすと言って、


松屋の蔵には2万両があり、次席家老には年に1000両を渡していますと書付を出したのです、松屋は評判はよく、干ばつにあった村の米は2割り高で買っているそうです、時々は買った米、

もタダで配っているそうですが、とても足りないのでしょうと言ったのです、よく調べてくれた後は任せよと言うと、奉行所に行き不届きものは捕縛したかと聞くと、ハイ、牢にいれて、

ありますと言うので、


全員白州に引きだせと言うと、連れて来たので、政吉そなたはあこぎな金貸しをやり、払えなくなると女郎として働かせているそうじあなと聞くと、恐れ入りますと言うので、その所業、

ゆるすわけにはいかん、斬首申し付ける、ほかの者は50叩きの上領内追放とする、目明し松蔵はわしを知らなかったのであろう、特に目こぼししてやる目明しに戻るが良い縄を解いて、

やれと言ったのです、


斬首は直ちに行うものとする、奉行用意いたせ場所はここで良い、みなのもの、幕府の役人に逆らえばどうなるかよく見ておけと言うと、同心が水桶を用意したので、わしが処刑すると、

言って、縄を解いてやれと言って、縄を解かせて、末期の水を飲ませてやれと言うと、同心が水をやるとごくごくと飲んで、お助けくだせえと言うので、ならぬ、と刀を首筋に当てて、

地獄に行くが良いと言うと、


上段から刀を振り下ろすとヒシ~と空気を切る音がして、みんなが目を瞑ると刀は頭の先を掠めると、政吉は前のめりに倒れて気を失ったのです、後ろに回りカツを入れると息を吹き返、

して、ブル、ブル震えています、死んだと思うたろう、不正に蓄財した金を全部差し出せば命だけは助けてやるがと言うと、ハイ、総て差し出しますと言うので、子分に鍵を渡して持っ、

てこらせろと言うと、


鍵を差し出したので子分に取りに行かせたのです、山形が戻って来て、イカサマをやっていました、全員叩き潰しました、賭場には580両ありましたので総て没収しましたと風呂敷に包ん、

だ金を差し出したので、ご苦労じあった、さて奉行毎月50両の賂を貰い目こぼしするとは何事じあと書付を見せると、申し訳御座りませぬと言うので、貯めた金寸はいか程あるのかと聞、

くと、


2千500両に御座いますと言うので、ここに持って来いと言うと、差し出したので総て没収すると言ったのです、子分が3千500両を持ってきたので、没収して、政吉命は助けてやろう、この、

金500両を持ち領内を出ていくのだ、おまえは永代追放じあ、この金でまっとうな商いをはじめよ、ついて行きたい者あれば連れて行くが良い、ここに残るものは50叩きで勘弁してやろう、


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