第16話 怒られちゃいました……

 いつも通りの時間に学校へ行って、朝の学活まで本を読んで時間を過ごす。咲良ちゃんが登校してきたら二人でたわいもない話をして朝の読書時間まで過ごします。


いつもなら咲良ちゃんと話すのはすごく楽しいことで何も不満なんてないんですが今は咲良ちゃんと話している中、頭の片隅で昨日考えていたことをずっと継続して考えています。

 

なんで山田君はあの時に得点を見せ合うことをしなかったんだろう。


 昨日は家で勉強をしてそれについて考える事を自ら放棄していましたが、学校に来て少しでも暇な時間があると否応なしにも考えてしまう自分がいます。

 ですがやっぱり考えても考えても山田君の考えは分からずに、答えがない問題を解いていくような感覚を覚えます。


 山田君に直接聞いてみようかな…。


 でも異性の人と話すのはいくら友達で同じ超能力者である山田君でも緊張しちゃって話しかけにいけないかもです…。屋上で話したときはおかしいぐらいテンションがどうにかなっていましたが、冷静になった今異性である山田君に自分から話しかけに行くのは気後れしちゃいます。同性の咲良ちゃんと話すのだってまだ慣れていないから緊張しちゃうこともあるのに……!!


 「─さん。」


いくら同じ超能力者とはいえ異性である山田君と話すなんてもっと無理…!!


 「笹森さん。」


 でも気になるし、でも話しかけに行くのは出来ないし、でもやっぱり気になります!!

 頭の中でどうやったら山田君と話す事が出来るかそれを考えて。考えて―


 「笹森さん!!」


 突然大きな声で私の名前を呼ばれて急激に意識が現実に戻されました。


 えっ!?えっ!?


 焦って、周りを見ると教卓の前に先生が困惑したような顔で私を見ています。


 周りのクラスメイトも私を見ています。


 「す、すみませんでした!!聞いてませんでした。」

  

 山田君のことを考えていたら先生の話を聞き逃しました。


 「ここの問題の答え分かりますか。」


 「えっと…。3ですっ!!」


 今は数学の時間で我に返った私は黒板に書いてある問題を急いで確認します。

そして急いで暗算して答えを言いました。


 「正解です。ですが話は良く聞くように。」


 「はい。すみません。」


 みんなから注目されて恥ずかしいです。顔が赤面していくのが自分でも分かります。


結局、最後まで自分からは話しかけに行くことは出来ずに学校の時間が終わってしまいました。


 頭のもやもやは晴れないですが自分で聞きに行く勇気もないので、咲良ちゃんと一緒に帰ろうと、校舎から下校しながら話をしていたときでした。不意に咲良ちゃんからこんなことを言われたのです。


 「ねぇ、結衣。勘違いだったらごめんなんだけど、なんか悩んでる?」


 「えっ!?」


 悩んでいるというか何というか…。山田君が何を考えているのか分からないから知りたいなんて、今のこの状況は悩みと言えば悩みになるんでしょうか。


 私の状態を一日過ごしているだけでパッと見抜いてしまうなんて、咲良ちゃんは良く人を見ているんだなと思いました。それとも私が顔に出やすいだけでしょうか。


 咲良ちゃんに正直に伝えるか伝えないか迷っていましたが、特段隠すようなことでもないため素直になんで山田君があの場面でテスト結果を発表しなかったのかを聞きます。

 

 「えぇ……。結衣そんなことで悩んでたの?気にしすぎ。あれはね順位を発表されてからみんなの前で結衣よりいい点数とってるのを自慢して優越感に浸りたいだけよ。」


 「えぇ!山田君そんなことしないよ!」


 「じゃぁほかにどんな理由があるっていうのさ。まぁ見てなさい。実際に掲示板にかかれた順位をみて泣きべそ書くのは山田の方よ!」


 「ふぇぇぇ……。」


 咲良ちゃんのテンションに押されてしまい。何も言えなくなってしまいました。咲良ちゃんの鼻息がフンスと音が出るぐらいあらぶってます。

 

 「じゃぁ結衣の悩みも解決したことだし、今日は帰ろうか。」


 「う、うん……。」


 どうやら私の悩みは解決?したようです。咲良ちゃんの勢いに流されるように私は家に帰るのでした。

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