第15話 家にて

 お母さんから手を洗うように言われた後、手を洗い、自分の部屋に戻って明日の学校の準備をします。準備をしている最中、今日あった出来事を思い出していました。テストで高得点をとれたことを思い出してまた幸せな気持ちになりました。咲良ちゃんとテストについて話せたこと、今日の給食は私の好きなスパゲッティだったこと。どちらもうれしい出来事で私の気分は良くなりました。しかしその後、帰り際に起こった出来事を思い出し憂鬱な気持ちになります。


 まず山田君とテストの点数で勝負しなきゃいけないんだよね…。公開を楽しみにっていってたから少なくとも山田君も上位30位以内には入れている自信があるっていうことなのかな。それともテスト結果が書いてある紙を見せ合えば良いのかな。でもあんなに自信満々だったし、掲示板に名前載ってるよね…。

そこまで考えたときにふと頭の中である考えがよぎります。


 どうしてさっきあの場所で得点言い合わなかったんだろう。二人ともテスト用紙も持ってたのに…。


 考えても考えてもどうして山田君が帰り際じゃなくて来週以降に勝負を持ちかけたのか私には分かりませんでした。

 どう頭をひねっても今の私には思い浮かばなかったので考えるのはやめて学校の勉強の復習・予習を始めることにしました。


 そしてだいたい三教科ほど終わった後、お母さんからご飯が出来たと言われたので下に降りてキッチンに向かい、私が食器を用意して、その上にお母さんが料理を盛り付けた後、それをまた私がテーブルまで持っていきます。

 料理の用意がすべて終わったその瞬間、玄関が開いてお父さんが帰ってきました。

 

 いつも通りだけど、二人はホントにテレパシーとか瞬間移動とか出来ないんだよね?


 心の中でそう思いながらお父さんにお帰りなさいの挨拶をして、お父さんが部屋着に着替えるまで数分待って、お父さんがテーブルに座ってから三人で夕食を食べます。


 今日はニシンの塩焼きを主菜とした和食メニューです。お母さんの料理はすごくおいしいので毎日のご飯がすごくたのしみです。食事中私のテストの話になり、テストの点数をお父さんに伝えるとお父さんも私の事を褒めてくれました。


 「よく頑張ったね。結衣。全部すごく良い点数だ。結衣は勉強が出来るけど、それは才能なんかじゃなくていつも毎日しっかり勉強しているからだって知ってるよ。そういう頑張り屋さんな結衣は僕たちの自慢の娘だよ。」


 「…うん。お父さんありがとう。」


 お父さんの言葉に私はなんだか恥ずかしくなりこの場から離れたくなって、気持ち急ぎ目でご飯を食べて、食器を片付けて上へ戻ろうとしました。


 階段に足をかけたその時、お父さんが私を呼びます。


 「結衣。勉強するのは良いけどあまり根を詰めないようにね。」


 いつも通りの優しい笑顔でそう言ってくれるお父さん。


 「うん。分かった。お父さん。」


 返事をした私の顔は少し緩んでいたような気がします。


 「よし。じゃぁ頑張っておいで。」


 お父さんに見送られた私は自分の机の前に座って残った教科の勉強を始めるのでした。


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