LETTER TO YOU.
拝啓
君が目の前からいなくなってどのくらいの月日が経ったかな?
相変わらず芳香剤はラベンダーの香りはするのか?
約一年と半分かな?俺は君の活躍をずっと見てた。
まず、君がいなくなって半年。
君の写真が大きく取り上げられている雑誌を本屋で見かけたんだ。
まさか、本名で活動してるなんて思わなかった。
見かけた瞬間にすぐに飛びついてしまったよ。
『小柄でもスタイルだけは大人なんだよ?』のキャッチコピー。
君は確かに小柄だけど、大人だったかな?
俺の告白を何度も突き返して叫ばせるまで言わせた君は、大人というより小悪魔的
が正解だったんだんじゃない?
でも君を写真で見た時、少し大人びていた気がするよ。だから、意外と合ってる?
なーんて、やっぱ俺の中では少し小悪魔な君でいて欲しかったな。
ということで、この話は終了。次に君を見たのは……そうだった。
その半年後の修学旅行で東京に行ったときにどっかの通りを歩いた時に……
そうそう、なんかの事務所のモデル一覧のトップに君がいたんだよな。
もう、あの頃の面影がないような美貌にちょっと驚いちゃったよ。
というか、別世界の人間って言うの?全然違う人になってた気がする。
というか、へそ出しの写真の腹筋。あれどうしちゃったの?
俺は君のへそ周りを生で見たことなんてないけど……あれ、俺より割れてるよね。
あんなにきれいな縦線を見たのは生まれて初めてかもしれない。
これからもサボらずにちゃんと筋トレするんだぞ?笑笑
そして、それから半年……って現在の話か。あーー。なんだろう。
そうそう!俺、就職先が内定したんだよ!ちょっと早めの就活をしたらたまたま受
かっちゃったんだよ。職業は…秘密にしとくよ。いつか逢えたら教えてあげるわ!
だから、気ままにバイトして、気ままに暮らしてるよ。
でも、気ままに生きていて気が付いたんだよな。君がいないと辛い。
三歳で出会って、物心ついた時には君のことが好きで。
付き合ってみたら君は俺のことが好きなただの高校生っていうね。
あんだけ俺を使って、あれだけ俺にいたずらして……。結局どっか行くしよ。
俺、あの冬の花火の後に精神病んじゃってよ。学校にも行かなくなったし、
家に引きこもってゲームばっかしてた。二十四時間もったいないことに使ったよ。
本当に今はあの時の時間を取り戻したいほど後悔してる。
で、なんであの俺がどん底から立ち上がれたかって?
それはね恩師の言葉に救われたからだよ。俺が「恩師」なんていう言葉を使わう
柄じゃないことは分かってる。けど、本当にいたんだよ。
笑ってるかもしれんけど、本気ですくわれたんだ。だから、今度の就職先は
その人が経営している会社に勤めることにしたんだ。その人も復活した俺を
見て、気に入ってくれたみたいでよ。まあ、いろんなことがあったわけよ。
そうだ。もしもこっちに帰ってくる時があったらちゃんと言ってくれよ?
でないと、ばったり新しい彼氏とか連れてきてるところを見たら今度こそ
倒れて本気で引きこもっちゃうからよ。そこんとこヨロシクな!
と、これからバイトの時間だからここらで失礼しますかね。
まあ、風引かずに元気にやってる姿を見せてくれたらそれでええから。
じゃあ、またな。元気でやれよ。
モデルになった君へ。
近藤 勇雅
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