最終話 デレ度100パーセント

 翌朝。

 俺がいつも通りに目を覚まし、リビングへ向かうと、


「あ、おはようございます! お兄ちゃん!」


 そこには、満面の笑みを向けて話す空純の姿が。

 あ、なるほど。これ夢か。


 昨日あんなことあったばかりだし、夢に出てきても文句言う筋合いはねぇよな。

 と、思いながら席に着く。


「はいっ! お兄ちゃん、これ朝食です!」


「ありが……とう……」


 俺の目の前に出された料理は、料理と呼ぶと料理に失礼な感じのゴミみたいだった。


 ……?


 昨日がフラッシュバックする。

 たしか昨日空純と作った料理も、俺が手を加えなければ似たようなものだった気がする。

 忠実に再現された夢に戸惑いながら、料理を口に運ぶ。


「グ……ッ!」


 すごく苦い。苦味の中に謎の粘り気。極めつけは生ゴミと変わらぬ臭い。


「どうですか?」


 上目遣いで純粋に尋ねる空純。その美貌には、兄でも惚れてしまいそうになるなにかがある。

 てか、こんなこと言われたらさ、


「お、美味しいよ? 空純が作ってくれたんだから」


「本当ですか!? よかったぁ。えへへ」


 いつになったらこの夢が覚めるんだ? と、思いながら空純を相手にしていると、学校へ向かう時間が近づいてきた。


 一応支度を済ませるべく、自室にカバンを取りに行く。すると、机の上には空純の字で書かれた手紙と一冊の本が置いてあった。


『読み返してみると、この妹さんはとても可愛くて、私の理想とする人物でした。今日からあの妹さんの真似をし、私は私を改善していきたいと思います』


 その本とは、『お兄ちゃんが大大大好き』だった。


 本を手に持ち、リビングで掃除をする空純の元へ駆け下りた。


「おい! 空純は今日からその性格でいくのか!? 夢じゃなくて!?」


「ダメ……ですか?」


「いや……いいけどさ、無理してるんじゃないかなって」


「無理なんてしていませんよ? お兄ちゃん、学校頑張ってください!」


 笑顔を向けて話す空純。

 こういう妹……待ってました!!

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妹のツン度が高すぎる件 柊木ウィング @uingu

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