『よげんの書』のヒミツ 2
第45話 君たちに頼みたいこと 1
わたしは『よげんの書』を見つけることが出来る人物を、まず探していたのだ。
そう、精霊は話を切り出した。あたしは前のめりになっていた体が、シャキーンと伸びた。ミコちゃんと顔を見合わせる。彼女もびっくりしていた。
「わたしの言葉を信じてくれる人間が必要だった。わたしは助けを必要としていたのだ」
「だから、その助けってなんだよ。なにを困ってるんだ」
ケイゾーは仏頂面だ。あたしは「黙っててよ」と彼をこづいた。
「わたしは困っている。だが、それは君たちも関係あることだ」
「どういうことですか?」
ミコちゃんが言うと、そちらに精霊が顔を向けてほほえむ。ちょっとうらやましいなと思ってしまった。それでも、精霊の話の先をききたかったから、口は挟まずに、つぐんでいた。
「わたしは、ある卵を守っている。とても大切で力のある卵だ」
「たまごぉ?」
ケイゾーがバカにした声をあげるので、にらみつけてやった。
ケイゾーは口をもぐもぐさせたが、静かにする気になったようだ。
なんだか、ものすごくふきげんに目を細めて、こっちを見てくる。
「君たちだから、話すのだが、これは大切で重要な秘密なのだ。口外しないと誓ってくれるか?」
内緒話をするように、体を前にかがめる精霊。
こくりと同時に、あたしたち三人はうなずいた。ちらっと横を見たときに、目に入ったケイゾーの顔は、半笑いで感じ悪い顔だったけど。
こいつったら、しょうがない奴だ。
反対側ではミコちゃんが真剣な顔をしているというのに。
こっそりケイゾーをひじでこづく。
すると同じようにこづき返され、あたしはキッとにらんでやった。
「この星は、そうだな……、ひとつの大きな卵だと思ってくれ」
「大きなたまごぉ?」また、ケイゾー。
「もう、話が進まないじゃない。ケイゾー、時間がないって言ってるでしょ!」
頭にきたあたしは、とうとう爆発した。
ケイゾーは「だってさ」と手のひらをつき出して、あたしをなだめようとする。
「卵だの、精霊だの。守ってるだぁ、秘密にしろだぁ? 次々出てくる言葉がぶっとんでんだよ。だいたい、こいつは誰だよ」
「だから、精霊だってば。地球卵を守ってる精霊で、『よげんの書』から出てきたの」
自分で言いながら、我ながら理解がはやいなと感心した。というより、すらすらと言葉が口から出た。頭で考えたっていう感じがしない。そう思って、精霊に目をやると、ほんの一瞬だったけど、何かを伝えようとする眼差しにぶつかった。
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