第2話 キャバクラには靴が飛ぶ
まさかほんとに今日からとは・・・僕は店の前で深呼吸をし入るとまだ準備中なのか人はいない。きらびやかなシャンデリアと大きな器に入った高そうなお酒の数々が僕を圧倒した。
「す、すみませーん。今日面接をしていただくものなんですけど・・・」
ふと奥からコツコツと足音が響く。奥の暗い通路からモデルのような男が一人、歩いてきた。くだけたスーツ姿に黒いベストとほどけかけたネクタイが様になっており、肩までたらした黒紫の髪が鬱陶しく見えない綺麗な顔立ちをしている。
「あ、あの今日面接を受けさせていただきます。尾上かえでと言います!よ、よろしくお願いいたします!」
僕が頭を下げると、彼は僕の顔見上げた。見上げたのだ
「へ?」
彼は片膝をついてこちらを見ていた。そしてにこっとほほ笑み、
「店長は今買い出しに向かっておりますのでしばらくこちらにおかけください。」
彼は小さな布?を目の前に置き、テーブルの上のグラスをつまみ上げると氷を入れ棒で氷を回し、ガラスが白く曇ると中にお茶を注いだ。一つ一つの動作がきれいで思わず見とれてしまった。
「それでは私準備がありますので・・・しばらくお待ちくだs」
「ねぇん!のあちゃぁん!ごはんくらいいいじゃんかー!」
「あーもう店長しつこいよー」
扉の方から男の猫なで声と平坦な女性の声が聞こえた。
「しつこいくらいがいいって思わない?ねぇねぇ⁉」
僕はぎょっとしてそちらを向くと、
2mはあろうかという大男がでかいTシャツを着た子供くらいの女の子に抱きつき
引きずられていた。
あの年齢で働いていいの?そもそもどこにあんな力が・・・店長と女性のけもみみは求人誌に書かれていたコスプレなのだろうか? 僕の頭には無数のはてなが飛び交った。
私の前にいた彼は恥を見るような目でそちらを見ると、
「帰ってきたみたいですね。」
とだけ言って店長の方へ行くと何やら話してこちらを見た。帰りたい。
店長はようやく離れたかと思うと、のあちゃんと呼ばれてた少女に思いっきりぶっ飛ばされた後こちらにやってきた。
「どうも、店長のまがみです!これはお見苦しいところをお見せしました。いつものことなんで慣れたら気にならな、ぶっ‼」
さっきの少女からハイヒールが店長の頭に飛んできた。跳ね返った靴が僕の方にも飛んできて。。
「へ?」
一瞬空中で止まった。ように見えた。
僕の足元に靴が落ちた。しかし僕は腑に落ちない。
「じゅんちゃん、ちょっと止めるの遅いんじゃない?」
刺さったところから血を流しながら店長が最初に案内してくれた彼に叫ぶ。
「いえ、新人の方に当たる前に止めただけです。」
「いやーん。じゅんちゃん私よりも新人の子のが大事なの?妬けちゃうねぇ。」
彼はごみを見る目で店長を見ると煙草に火をつけて座った。
「彼はじゅん。もう一人のウェイターで半妖怪。」
「妖怪?なるほど店長さんのけもみみのように役があるわけですね。」
ここはコスプレキャバクラなのね、なるほど。
「そうそう飲み込み早いね。ここはいろんなところの女の子を集めたキャバクラってわけ!」
「なんとなくわかりました!」
「何か質問とかある?」
僕はさっきから気になっていることを聞こうとした。
「私お酒弱いんですけど大丈夫ですか・・・」
いろいろ聞きたいことはあったけどあいにく僕にはこういうところの地雷探知機は持ち合わせていないから無難なところから・・・正直に言うとビビっている。
「大丈夫、大丈夫。飲むのは女の子たちだから!」
「そうなんですね。よかったです・・・弱いので」
「全然だいじょうぶよ!そこにいるのあちゃんなんてお酒強すぎて付いたあだ名がくじr、甘いっ!」
店長は振り返ると右手でヒールをキャッチ出来ずに刺さった。
くじrじゃなっかった・・・のあさんと呼ばれている少女はこちらへ来ると一つ舌打ちをして低い声で言った。。
「ちょっとヒール血で汚いんですけど。店のヒール使うからね。じゅんーヒール出してー」
僕はひやひやしているとのあさんがヒールを拾い上げながらいった。
「新しいぼーいさん?この変態みたいに変なやつが多いけど頑張ってね。」
さっきとは別人のように変わってにこりとほほ笑む。僕はすごくどぎまぎしてしまった。落ち着け。
「あ、ありがとうございます!頑張ります。」
ちょろい。さすが童貞ちょろい。頑張ろう。
「店の女の子に手出したらお仕置きだからなー!」
「お前が言うな。」
再びヒールが頭に飾り付けられた。
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